Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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• ちょろんこ*勉強のため休止中

  読了日：2015/02/19

  賢いが平凡な女死刑囚が行政官の元で過ごす最後の日々。やがて語られる主人公の貧しい人生の軌跡、殺人に至るまでの経緯。全体がモノトーンの印象の中、独白部分が妙に緊迫感があった。何故こんなことになってしまったのか、謎を解きたい一心で引き込まれてしまった。いわゆる悪人サイドの物語だけど、他に人生の選択肢がない、こういう生き方しかない場合もあるのだなあ。殺人シーンのクライマックスも圧巻だが、ミステリーというよりも文学作品と思う。アイスランドの農民の暮らしっぷりも魅力。乳清、アザラシの革の靴、白鳥の革のお財布...。

• 藤月はな（灯れ松明の火）

  読了日：2019/03/26

  情夫でもあった主人を殺害し、その家屋に放火した事によって死刑宣告を受けたアグネス。その死刑執行までの間、ヨウンソン家に預けられ、農場の仕事を手伝うことになる。沈黙から徐々に明らかになる構成は『またの名をグレイス』を彷彿とさせる。だがヨウンソン家と共に過ごした事が彼女の本当の願いを叶えた人生の残酷さに内包された優しさが尾を引く。また、最初は無意識の虚栄心からアグネスに接しようとしたトウティ牧師補がアグネスの生い立ちを聞く内に一人の人間として向き合っていくのに対し、父やブリョンダルの偏見も際立ち、遣る瀬無い。

• みっちゃん

  読了日：2015/06/28

  本を閉じた後、暫く動けなかった。ｱｲｽﾗﾝﾄﾞ最後の女死刑囚の処刑までの最後の日々｡若き牧師との対話、農場の一家との触れ合いによって｢冷酷な殺人者｣の姿は消え失せ、そこに居るのは、働き者の、愛し愛される事だけを願う聡明な１人の女性だけだ。何と悲しい事件の真相だろう。しかし､決定は覆る事はない、結末は決まっているのだ！凍てつく空気、薄暗い部屋の人々の息遣いがすぐ傍に感じられる文章も秀逸だ。

• Ｒｉｎ

  読了日：2017/09/10

  【図書館】実話に基づいたストーリー。今までおかれていた劣悪な環境と、農場での生活。そこから少しずつ人間味を取り戻していく過程が静かだけれども迫ってくるものがある。人の心を知ることはできない。それでも極悪人と言われていた、他者から聞いた言葉だけでなく自分から知ろうとした牧師のひたむきな、アグネスに寄り添おうとする姿が切ない。誰からも信じてもらえなかった彼女の言葉に、耳を傾けてくれる人が現れて本当に良かった。でも心を取り戻し、人間らしい生活に安らぎを得ることができたアグネス。彼女の最後の言葉が胸に残りました。

• metoo

  読了日：2015/05/05

  心が凍えた。実在したアイスランドの最後の女性死刑囚アグネス。若い作家がアグネスのバックグラウンドをこの物語を通じて世に送る、それは、レクイエムだ。一人でも多くの人が本書を読むことによって彼女の死を悼む、そうすれば最後まで覚悟ができなかった彼女の魂は凍える墓を離れ天に召されるのだろう。厳しいアイスランドの自然と彼女の生き様が切なく重なる。

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