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共食いの島 スターリンの知られざるグラーグ

ニコラ・ヴェルト

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784622087557
ISBN 10 : 4622087553
Format
Books
Publisher
Release Date
February/2019
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
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Content Description

西シベリアのオビ川に浮かぶ無人島、ナジノ島へ、1933年早春、モスクワとレニングラードから6000人が着のみ着のまま移送・遺棄され、事件は起きた。スターリンが「上からの革命」(富農階級の撲滅、農業集団化、第一次重工業化)に着手したのは1929年。その結果、穀倉地帯ウクライナは大飢餓におそわれる。農民は大挙して都市へ流入、都市では犯罪が激増した。秘密警察は1930年代前半、「大都市の浄化」と称して元富農や「社会的有害分子」の一掃を決め、西シベリアへは13万人強(1933年)が強制移住させられたのだ。ナジノ島の6000人という規模は、シベリアに送られた犠牲者総数の、ほんの芥子種一粒にすぎない。しかし著者は、発掘した「事件」関係の資料から、強制移住政策の全容を知ることになった―「壮大な計画」の立案、拙速な長距離移送が原因の大混乱、送られた人たちの運命まで。フランスの代表的なソ連史研究者ヴェルトは事実を淡々と語り、画期的な研究を実らせた。さらにこの「ミクロヒストリー」をとおして、スターリンの恐怖政治、収容所群島、秘密警察、ソビエト官僚制の実像までが見えてくるだろう。

目次 : 第1章 「壮大な計画」/ 第2章 強制移住地、西シベリア/ 第3章 交渉と準備/ 第4章 トムスク中継収容所で/ 第5章 ナジノ島/ むすび/ エピローグ 1933〜1937年

【著者紹介】
ニコラ・ヴェルト : 1950年生まれ。フランスのソ連史専門家。フランス国立学術研究所(CNRS)研究員、同研究所付属現代史研究所上席研究員を歴任し、2015年に退職

根岸隆夫 : 翻訳家。長くドイツとフランスに住み、戦闘期の欧州政治史、とくに全体主義に関心をもつ。パリ1968年5月、プラハの春、ベルリンの壁の崩壊、ソ連の自壊に遭遇(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • どんぐり

    1930年代のスターリン時代、富農(クラーク)、反逆者、犯罪者などの「反ソ分子」がウクライナやモスクワ、レニングラード(現在のサンクトペテルブルク)から西シベリア辺境に強制移送されていた。そこは道路がなく、鉄道から数百キロ離れ、過酷な自然環境と無限の空間が広がる場所。なかでもナジノ島は、オビ川にある長さ3キロ、幅500か600メートルの無人島で、水かさが増すと沼地しか残らない荒地だ。そこに6000人の強制移住者が遺棄され、そのうち3分の2が飢餓、消耗、病気、溺水で死に、一部の人間を人肉食に導いた。→

  • そら

    以前に読んだ「少女モモの長い逃亡」にショックを受けて、物語の背景となった旧ソ連の1930年代の黒歴史に興味を持ち本書を手に取った。戦争とはまた違う国家の狂気。富農から家も土地もすべてを取り上げ、国が潤うための輸出財源を作るための農業集団化により何万の人々は痩せた土地に強制労働させられ、家畜以下の扱いを強いられる。多くは飢餓と病気に苦しみ、逃げられない現実に絶望する。西シベリアのナジノ島に危険分子として排除された6000人の人々は、人肉を食らうほどの凄惨な歴史を持っていた。今の世があることに感謝し、黙祷。

  • こばまり

    無計画で非現実的な国策により、ホモ・ホミニ・ルプス「人は人にとって狼である」の諺通りの状況になった事件の全容。一個の人間が莫大な人数を構成する一要素になり下がると、また、酸鼻を極める出来事も繰り返されると次第に麻痺し、淡々と読み進めている己に気付き恐ろしくなった。

  • ちゃま坊

    スターリン時代のソ連の悪行。1933年。都合の悪い人間6000人を地の果てにある島に連行し遺棄した事件。十分な食料もなく餓死者が続出、人が人を食う地獄絵図が起こった。日本人捕虜のシベリア抑留の12年前にすでにやっていたんだな。強制収容所(グラーグ)はロシアの伝統のようだ。2019年発刊だが、訳者はあとがきでプーチン政権の危険性に触れている。まるで今のウクライナ侵攻を予言していたみたいに。

  • £‥±±

    1920-30年代のユートピア思想の名を借りた都市からシベリアへの強制移住計画が余りの杜撰さと隠蔽から移住民が餓死、病死から共食いに走るまでになったナジノ島事件を当時の文献を紐解き描いたドキュメント。明かな絶滅政策ではないにも関わらず結果としてそうなってしまった人命の扱いの余りの軽さに驚く。映画『わが友イワン・ラプシン』に出て来る凶悪犯罪者の出自がなんとなく解った気がした。彼らが心底ソビエト体制を憎むのも。ヴェルト氏はバルト系ドイツ人を祖先にもち祖父の時代に亡命した元ソ連人。祖父はプラハ侵攻に絶望、自殺。

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