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生そのものの政治学 二十一世紀の生物医学、権力、主体性 叢書・ウニベルシタス

ニコラス・ローズ

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784588010170
ISBN 10 : 4588010174
Format
Books
Publisher
Release Date
October/2014
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

19世紀以来、国家は健康と衛生の名のもとに、人々の生死を管理する権力を手にしてきた。批判的学問や社会運動が問題視したこの優生学的思想はしかし、ゲノム学や生殖技術に基づくバイオ資本主義が発展した21世紀の現在、従来の批判には捉えきれない生の新しいかたちを出現させている。フーコー的問題を継承しつつも、病への希望となりうる現代の生政治のリアルな姿を描き出す、社会思想の画期作。

目次 : 第1章 二十一世紀における生政治/ 第2章 政治と生/ 第3章 現れつつある生のかたち?/ 第4章 遺伝学的リスク/ 第5章 生物学的市民/ 第6章 ゲノム医学の時代における人種/ 第7章 神経化学的自己/ 第8章 コントロールの生物学/ あとがき ソーマ的倫理と生資本の精神

【著者紹介】
ニコラス・ローズ : 1947年生。イギリスの社会学者。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスBIOS研究所所長をへて、現在ロンドン大学キングスカレッジ教授。生物学研究から精神医学およびリスク研究に向かい、生物学や心理学、社会学との境界領域で、フーコーの生権力理論を軸に多産な研究をおこなう。現代社会における自己の統治と先端医療技術の関わり、生命科学・生命倫理の問題を、社会全体の権力論的構造のなかで探究する議論は、現代の生政治論への大きな貢献として注目を集めている

檜垣立哉 : 1964年生。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中途退学。大阪大学人間科学研究科教授。哲学・現代思想

小倉拓也 : 1985年生。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程単位修得退学。日本学術振興会特別研究員、大和大学非常勤講師。哲学

佐古仁志 : 1978年生。大阪大学大学院人間科学研究科単位取得退学。博士(人間科学)。立教大学・日本学術振興会特別研究員。生態記号論

山崎吾郎 : 1978年生。大阪大学未来戦略機構(第一部門)特任助教。文化人類学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • hika

    「ソーマ的倫理と生資本の精神」あとがきの章題となっているこのフレーズと書名からできるように、まず乱暴に言ってしまえばフーコーの生政治の概念を今の生物科学の状況で再検討するものだ。(著者は生物学から転じた社会学者)そう聞いて思いつく(かも)生の管理と資本化への警鐘と批判)という位相にはあんまりない。あえて一つ論点をあげるとこれまで偶然と運命の領域にしかなかった「生/身体」が「選択」と「介入」できる決断の対象となることであり、そしておそらくそれを前提として思考しなければならないという、身も蓋もなさだろう。

  • 鏡裕之

    著者は、今の生政治は、「分子的なレベルでの健康管理&予防」と、「能力のエンハンスメント(増進)」だという。1960年代では、音頭を取っていたのは国家だったが、今は家族が、その家族の成員が、音頭を取っている。健康のためにサプリを飲むというのもそう。受験のために脳にいいものを食べるというのもそう。

  • 鏡裕之

    著者は、生物学者ではなく、社会学者。フーコーが唱えた「生政治」について、1960年代ではなく、今の2000年代ではどうなっているかを示した1冊。かつての政治は「死政治」だった。つまり、反逆者に死を突きつけ、死をコントロールすることによって政治を行ってきた。19世紀以降の政治は「生政治」である。つまり、人の死を管理するのではなく、人の生を管理する――健康状態や精神をコントロールし、国家が健全と思う方向にリードしようとしている。

  • アルゴス

    生権力に対抗する生政治の道筋を考察した浩瀚な書物。戦線は広い。遺伝子操作からゲノム、抗うつ剤から免疫にいたるまで、わたしたちが生物としての身体をもつことによる攻撃と抵抗の場と可能性は多様なものである。たとえば人々を涌けなく襲う不安を抑える薬物は、常用することで、その人の生活全体を支配するものとなりうるのである。生命科学技術は人間の将来を救うものとなるか、あるいは滅ぼすものとなるか。それを決めるのはわたしたちである。

  • やいっち

     ハンチントン病などのような傷害における、疑う余地のない遺伝子的病理にかんする論理はあったとしても、そうした一見口を差し挟みようのないそうした遺伝的病理は、むしろ知覚の差異に由来する極端な例にすぎない」とも。(以上は、本書のp.377-378 参照)  テレビなどで、遺伝子解析が過大に評価され、誤解されかねない伝えられ方をされがちだが、ゲノム解析は、もっと入り組んだ、生命の仕組みをわれわれに求めているようである。

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