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犬の力 下

ドン・ウィンズロー

User Review :5.0
(1)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784042823056
ISBN 10 : 404282305X
Format
Books
Publisher
Release Date
August/2009
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Product Description

血みどろの麻薬戦争に巻き込まれた、DEAのエージェント、ドラッグの密売人、コールガール、殺し屋、そして司祭。戦火は南米のジャングルからカリフォルニアとメキシコの国境へと達し、苛烈な地獄絵図を描く−−。

Content Description

熾烈を極める麻薬戦争。もはや正義は存在せず、怨念と年月だけが積み重なる。叔父の権力が弱まる中でバレーラ兄弟は麻薬カルテルの頂点へと危険な階段を上がり、カランもその一役を担う。アート・ケラーはアダン・バレーラの愛人となったノーラと接触。バレーラ兄弟との因縁に終止符を打つチャンスをうかがう。血塗られた抗争の果てに微笑むのは誰か―。稀代の物語作家ウィンズロウ、面目躍如の傑作長編。

【著者紹介】
ドン・ウィンズロウ : ニューヨークをはじめとする全米各地や、ロンドンで私立探偵として働き、また法律事務所や保険会社のコンサルタントとして15年以上の経験を持つ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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昨年のデニス・ルヘインの「運命の日」上下...

投稿日:2010/02/15 (月)

昨年のデニス・ルヘインの「運命の日」上下巻も、圧倒される傑作でしたが、今年の「犬の力」(書名も、作者の意図するところを実に巧に言い表しているものだと(キリスト教文化圏にない自分には、想像するだけですが)思います。主人公を誰に想定するかでいかようにも読み方が変わる重層的な物語のなかで、それぞれの去就に心を引き裂かれながら、現代の内包する巨大な原罪をいやおう無く突きつけられます。そして、その作品の素晴らしさは、これほど膨大なテーマと、多彩な登場人物を描きつくし、見事に面白く仕上げた、作者のものすごい腕力! 絶対お勧めデス。ミステリを読んでいてよかった、としみじみ感じることができました。

nasso さん | 岩手県 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ミカママ

    【原書】メキシコの麻薬カルテルと、なんとか米国内への麻薬流入を防ごうとするDEAエージェントの闘い。そこに描かれるのは殺戮・虐待であり、裏切りであり、憎しみであり、愛情、そして悔恨と赦しである。綿密な取材に基づいたフィクションではあるが、映像を観せられているかのような生々しい描写、ヒリヒリ痛むようなブレのない筆致に一気読みさせられた。わたし自身はもちろん主役のひとり、ノーラになりきって。 原書:https://bookmeter.com/books/2667699

  • W-G

    大満足。ラストに向かって二転三転、登場人物の関係性もコロコロと入れ替わり加速度を増していく。アダンが頭角を現してからの展開は本当にページをめくる手が止まらなくなってしまう。特にノーラとカランの繋げ方が非常に上手く、要所要所でその二人視点の章になるので、読むのを止められなくなる。二人のその先を明かさないのもニクイ演出。それまでの流れからいえば、明るいだけの未来なはずがないのに、どこか救いを感じる不思議な余韻。もうこの時点で『ザ・カルテル』が面白くないはずがない。

  • ヴェネツィア

    上巻はマチスモの横溢する、暴力と殺戮に満ち満ちたシーンの連続だったが、下巻ではそれが沈静化し、いたって政治的な次元で語られることになる。もっとも、読者である我々が惨殺に慣れただけかも知れないし、あるいは目前の小集団での戦闘が、より巨大な国家的規模の掃討に眼を覆われてしまったせいで鈍麻してしまったようにも思われる。ウィンズロウの大風呂敷はFARC(コロンビア革命軍)から、果ては中国人民解放軍へと、留まることがない。あるいは、それこそが真実であるのかも知れなのだが。終幕ではアートの寂寥感と虚脱感を追体験⇒

  • みも

    複雑な相関関係と錯綜する人間模様…全貌を掌握出来たかどうか、甚だ心許ない不如意な心持なれど、途轍もない傑作であると断言出来る。血で血を洗う麻薬ビジネスに係る暴虐の30年。人間の中の「義」と「邪」がせめぎ合う。愛憎、背信、敵愾心、復讐、虚実、悔恨、悲哀、戦慄…横溢する情動の坩堝が魂を搔き乱す。心に根付いた人物達が次々と葬られる苛烈さに胸を抉られ、加速度を増す疾走感と緊迫感に比例して心拍数は跳ね上がる。帰結点はこれ以外にないと思われる精妙な構成。甘過ぎず、非情過ぎず、そしてロマンスの残像…。翻訳も素晴らしい。

  • Tetchy

    とにかく一口では語れない色々な内容を含んだ作品だ。本書に書かれた麻薬密輸の証拠の獲得方法、コカインが通貨として成立する社会の話、隠密裏になされた“赤い霧”作戦、“コンドル作戦”、などなど書き足りないことは数多ある。しかしこの麻薬が生み出す凄惨な物語は一部ウィンズロウお得意の軽妙な語り口が混じってはいるものの、基本的にはハードヴァイオレンス路線の作品である。そして今までのウィンズロウ作品の中でも最も長い大著は、面白いとは思うものの、世評の高さほどには愉しめなかった。しかしこれは全く好みの問題。

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