黒い波 ドラゴ・シュタンブク詩集

あなたが望むあらゆるものにわたしはなってみせよう。たとえこの身の破滅とわかっていてもただ一つだけなりたくないのは？あの黒い波に奪い去られるもの。「ドラゴの詩は謎に満ちている。けっして澄み渡る水のようではない。しかし、読んだ者に渇望を与える」（テス・ギャラガー）。世界各国でクロアチア大使を歴任しながら、母国クロアチアの代表的詩人としてグローバルな活躍をつづける著者の、本邦初の訳詩集。

目次 : 深き紅の歌/ 黒い波/ 一九一八年/ 隠者/ ドラゴンの島/ ヨナ/ 寄り道/ ブラック・ウィドウ/ わが父は聖域を満たしたもう/ 手首/ 荒涼の山並み、シナモンの香り/ 言葉の刃/ ベンガルの美しき女/ レイモンド・カーヴァーの指輪/ 環/ クレオパトラの毒蛇/ 輪廻転生/ 絶壁/ 夜のガスパール/ ハート型の魚/ 天の底/ ターニング・ポイント/ ＺＥＰＨＹＲ（そよかぜ）/ 日本の絵はがき

【著者紹介】
ドラゴ・シュタンブク : クロアチア共和国ブラチ島で１９５０年に生まれる。１９７４年、ザグレブの医科大学を卒業し、その後さらにザグレブ臨床医学センターにて内科を専攻、併せて消化器病学、肝臓学を研究。１９８３年から１９９４年までロンドンに在住し、肝臓病の研究とＡＩＤＳの実験的治療に従事。１９９１年から１９９４年まで駐英クロアチア外交代表、また１９９５年から２０００年の間に、インド、スリランカ、エジプト、スーダン、ヨルダン、クェート、レバノン、カタール、イエメンなど多数の国のクロアチア大使を歴任する。２００１年から２００２年まで、ハーバード大学特別研究員、現在、駐日クロアチア全権大使を勤める。一方で、１９７３年より創作活動を始め、すでに３３冊にのぼる詩集や評論がクロアチア語、英語、スペイン語などに出版されている。この他、彼の作品はクロアチア現代詩の重要なアンソロジーに多く収められ、母国をはじめ海外でも数々の文学賞を受賞している。２００８年にクロアチアン・アカデミー・オブ・サイエンス・アンド・アーツよりドラグティン・ダディアノヴッチ賞を授与された（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）