トマス・スターンズ・エリオット

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荒地

トマス・スターンズ・エリオット

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784003225820
ISBN 10 : 4003225821
Format
Books
Publisher
Release Date
August/2010
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

「四月は最も残酷な月…」と鮮烈な言葉で始まる『荒地』は、20世紀モダニズム詩の金字塔である。本書には、『プルーフロックその他の観察』から『荒地』までのエリオット(1888‐1965)の主要な詩を収録し、前期の詩作の歩みをたどれるようにした。引用と引喩を駆使し重層性を持った詩を味読できるよう詳細な訳注を付す。

目次 : 『プルーフロックその他の観察』より(J・アルフレッド・プルーフロックの恋歌/ ある婦人の肖像/ 前奏曲集/ 風の夜の狂奏曲)/ 『詩集(一九二〇年)』より(ゲロンチョン/ ベデカーを携えたバーバンク、葉巻きをくわえたブライシュタイン/ 直立したスウィーニー/ 料理用卵/ 河馬/ 霊魂不滅の囁き/ エリオット氏の日曜の朝の祈り/ ナイチンゲールたちに囲まれたスウィーニー)/ 『荒地』(死者の埋葬/ チェス遊び/ 火の説教/ 水死/ 雷の言ったこと)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • アナーキー靴下

    これがエリオットか…と思わず遠い目に。詩自体は、古典のコラージュという手法によるのか、絵画的な色鮮やかな印象で、よくわからないままにも魅力的に感じる。が、半分くらいを占める訳注の威圧感。古典の多用はメルヴィルの「白鯨」のように、読者がイメージを受け取るための設定セットのようでもあるし、詩人が残したいものを詰め込んだインデックスのようでもある。神聖と卑俗、肥沃と不毛、そして生と死。あらゆる相反するもののを内包しつつ、その中心に立つ中庸。世界は性的な奔流に満ち、交わりながらも決してひとつになれない二律背反。

  • 絹恵

    "子供がギリシア語で彼女に「シビュラよ、何が欲しい」と訊くと、彼女はいつも「死にたいの」と答えていたものさ。"シビュラの死は世界の死であり、彼女が死を求めるのは、再生を求めているからだと思います。でも彼女や或いは神と呼ばれる彼に世界を背負わせて、滅びを眺める傍観者では荒地に置き去りにされます。だからこそ人々は平穏を願い、教え通りに従順に鼓動を重ねます。

  • 著者の生き様を学ぶ庵さん

    初エリオット。全323頁のうち、207頁を注と解説が占めるほど難解。「四月は最も残酷な月」で始まる『荒地』は言葉の言語性の否定であり、現実拒否と虚無と絶望らしい。唯一理解できたのは『ある婦人の肖像』=ダンディーなエリオットの自伝。詩からダンディー男の低音ボイスが聞こえそう。婚期を逃した感のある女が男にしがみつくが、二人の会話は噛み合わない。女の求愛を受け止めない男は女を心理的に凌辱したことになるか。女が死ねば男は罪を感じるべきか(ピューリタン的発想)。もっと成熟した大人にならないと、子供には分からないや。

  • かふ

    タイトルからもっと殺伐としたものを想像していたが違った。モダニズム。村上春樹に通じる。ブルジョア生活の中に宿る刹那さや孤独。一方にお洒落な婦人たちのおしゃべりな表層世界があり、インテリ青年の深層には詩的な精神世界が拡がる。しかしそれは引用によるもので、婦人たちのおしゃべりと同一なのではないか?魅力はその恋の駆け引きに感じてしまう。それも不毛な行為なのだが。そうした言葉が表層の砂埃にしかすぎないインテリ青年の嘆き。深層世界(文学、詩)への憧れ。これはネット社会にも言える。言葉が電子のごとく流れていく

  • マウリツィウス

    エリオットの開拓した荒地には英国の影響を受け続けるアメリカ文学の狭小を批判する二重姿勢を籠められる。神話的手法がジョイス論の援用で終始しないのはボルヘスが語る通りこの20世紀の卓越詩才はけしてユリシーズの航海に押し負けたわけではない。シェイクスピア的物語論を反映させることで複雑怪奇に過ぎないシンボルをその根源たるグレゴリ的異教譚と見抜く。正統キリスト教を宗派の狭間を克服する言語実験でダンテやミルトンの不毛スコラ理論を改正し異端追放を詩的象徴界にて達成する。この究極の調は美しき四重奏の前奏を調弦している。

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