デイヴィッド・マークソン

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ウィトゲンシュタインの愛人

デイヴィッド・マークソン

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784336066572
ISBN 10 : 4336066574
Format
Books
Publisher
Release Date
July/2020
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

地上から人が消え、最後の一人として生き残ったケイト。
彼女はアメリカのとある海辺の家で暮らしながら、終末世界での日常生活のこと、日々考えたとりとめのないこと、家族と暮らした過去のこと、生存者を探しながら放置された自動車を乗り継いで世界中の美術館を旅して訪ねたこと、ギリシアを訪ねて神話世界に思いを巡らせたことなどを、タイプライターで書き続ける。
彼女はほぼずっと孤独だった。そして時々、道に伝言を残していた……
ジョイスやベケットの系譜に連なる革新的作家デイヴィッド・マークソンの代表作にして、読む人の心を動揺させ、唯一無二のきらめきを放つ、息をのむほど知的で美しい〈アメリカ実験小説の最高到達点〉。

「とりとめのない、ゆえに豊かな知的連想が、世界が終わった寂寥感と合流する、その独特さ。まさに唯一無二。」
柴田元幸

「地球最後の一人となってタイプを打つ女の物語に読者が共感するのは、書くのも読むのも孤独な営みだからだ。」
若島正

「究極の二十世紀小説は――誰も書かなかったのでデイヴィッド・マークソンが書いたのだが――正気を失った女が浜辺の家に暮らし、日々の出来事や思い出をタイプライターで綴りながら、そこに記された言葉と自分との関係の中にある絶対的本質をつかもうとする、そんな物語だ。」
訳者あとがきより


装画=ケッソクヒデキ
装幀=アルビレオ

【著者紹介】
デイヴィッド・マークソン : 1927年ニューヨーク州オールバニー生まれ。2010年没。小説家、詩人。若い頃はコロンビア大学などで創作を教えるかたわら、娯楽的な作品を執筆した。60歳の年に発表した『ウィトゲンシュタインの愛人』(1988年)が傑作として注目を浴びた

木原善彦 : 1967年生まれ。京都大学大学院修了。大阪大学大学院言語文化研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ヘラジカ

    木原先生が翻訳する実験小説ときたら読まないという手はない。「地球最後の女」となった語り手が終末世界でひたすらに綴る手記。とは言っても全くもって簡単なSFではなく、彼女が書き連ねるのは浮世離れした芸術や神話、哲学のカオスである。特異な世界設定で延々と垂れ流されるスノビズムな独語、合間にはワールドワイドな奇行の記憶。個々の文章にはそれほどの破綻はないが、話柄の反復や跳躍、曖昧さが合わさってじわじわと疲労感が滲む。狂気のドライブだ。成る程、確かに"空虚なる充実"との言葉が相応しい。恐らく今年一番の怪作である。

  • ケロリーヌ@ベルばら同盟

    その海岸に誰か住んでいる。美術館でも、王宮でも、図書館にでも住む事が出来るのに。湿気の多い家で、割れた窓ガラスを繕いながら、暖を求めて建具を解体しながら。『世界はそこで起きることのすべてだ』空と大地と海が交わる所。波と風の音が聞こえる所。頭に浮かぶ事柄を書き記すタイプライターの音をその世界に加えて。堆積する美術や歴史の知識は、時に不確かなものになる。けれど、それを検証はしない。ミイラの詰め物から見つかるサッポーの詩、レンブラント光線の秘密。発見の喜びは分かち合う等距離の存在があってこそ。嗚呼この壮麗な孤独

  • Vakira

    小説の挑戦。今までに読んだことのない読書体験。主人公の語りの記録は自分の発想と共に尽きることを知らない。発想は着想を呼び別の話へ繋がって行き、忘れた頃に元に戻される。チャンと元に戻るとなんとなく安心してしまう。どうやら自分以外人類は居なくなってしまった世界。理由も判らない。人間の友人となる犬やネコの存在もないようだ。一人の芸術家のゴシップからまた別の芸術家、小説家、哲学者、そして神話の登場人物へ。読者が繋がれるのはその部分。オ〜イ ケイトさん何処へ行く。

  • あさうみ

    世界に生存者が自分1人という極限状態の孤独『語りえぬものには沈黙するしかない』理論に抗うように言葉を流す。主人公の心の乱れ、ねじれ、苦しい精神状態をまさに言語の限界に挑み表現する。散文した空想、知識、過去に翻弄され読み進めた最後には状況が映像となって頭に浮かび、ざわつく心を射抜く怪作だった。

  • 田氏

    世界はそこで起きることのすべてだ。今タイプした文は、この本の題名にある哲学者の著書の最初の一行だ。実を言うと、正しくは"成立していることがらの総体である"だけれど。ところで、私はこの本を面白い小説と言って紹介はしないだろう。今の文は、この本が面白くないという意味を込められていない。この本には、1行から3行の命題が書き連ねられている。とはいえ、誓って言うが、この本には不思議な感じがある。今の文は何も意味していない。不思議な感じとは、語ることのできない感じのことだ。語りえぬものについては、沈黙せねばならない。

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