チョン・ヨンジュン (Book)

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幽霊(仮)

チョン・ヨンジュン (Book)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784779127779
ISBN 10 : 4779127777
Format
Books
Publisher
Release Date
September/2021
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

政府高官ふくめた12名を殺害した容疑で死刑宣告を受けた、死刑囚の「男」。死を約束されたにもかかわらず、不気味なほど穏やかに日々を過ごす「男」に、好奇心を押し殺しながら接する担当刑務官のユン。殺害動機も自身の出自さえも明かさない「男」のもとへ、姉を名乗る女が面会に訪れる。沈黙していた「男」の感情は、それを機に少しずつ、静かに動き始める。

【著者紹介】
チョン・ヨンジュン : 鄭容俊。1981年光州生まれ。朝鮮大学校ロシア語学科卒業後、同大学大学院文芸創作学科修了。2009年に短編「グッドナイト、オブロー」が雑誌『現代文学』に掲載され文壇デビュー。2011年に短編「トトト、ト」で第2回“若い作家賞”を、2016年に「宣陵散策」(2019年、クオンより邦訳刊行済み)で第16回“黄順元文学賞”を受賞した。現在はソウル芸術大学文芸創作科で教鞭を執る

浅田絵美 : 1983年広島県生まれ。韓国学中央研究院韓国学大学院の人類学科修士課程卒業。日本の放送局にてディレクターとして勤務後、韓国でラジオのパーソナリティや翻訳の仕事をはじめる。韓国文学翻訳院の翻訳アカデミー特別課程を修了。同アトリエ7〜10期生(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • ケンイチミズバ

    私たちは世論に押される。政治も司法も空気を読むとこうなる。死刑も私刑も大差ないのかもしれない。先進国の自負や潮流もあり大臣が承認しないまま宙ぶらりんの実質死刑のない国と位置付けられているそうだ。発端は接見した牧師がマスコミに漏らした受刑者の告白にある。火に油を注いだ。世論は爆発。アイコンだけで盛り上がる世論を前に生身の受刑者を理解し始める刑務官や報道を見て現れた姉の存在ももはや無力。週末見た番組のアントワネットが民衆の手で断罪されるいきさつ、民衆の怒りが決めるカタルシス効果かこれが。と思った。後味の悪い。

  • 吉田あや

    一人の男の犯行により12名が殺された。犯人は全ての容疑を認め、犯行の動機すらなかった。飄々とまじめな死刑囚として過ごしていた四七四番だったが、たった一人の家族である姉が面会にやって来ることで様子を一変させ、早く死刑の執行をしなければ刑務所にいる人達を皆殺しにすると脅迫を口にする。姉と四七四番の間にあるものとは何なのか、死刑執行を急がせるのは何故なのか。存在を隠してこそ存在できる人間の慟哭は音無き悲鳴となり、読後タイトルは哀しみの残響となり心に深いシミを遺す。苦しくも抱きしめたくなる人の原点を問う傑作。

  • 星落秋風五丈原

    確かに心情を描いているのだけれどなぜ彼が人を殺すようになったのか、自称姉が彼をどう思っているのかは全てが説明はされていなかったですね。恐ろしい本でした。

  • くさてる

    12人を殺害した死刑囚と担当刑務官を中心に、男にひそむ心性の謎が少しずつ現れては消え、また分からなくなっていくスリリングな流れに引き寄せられました。といっても単純なサスペンスでも、観念的な純文学というわけでもない。凄惨な描写は時に生々しく、血の匂いがする。薄い本ですが、読みごたえは重かったです。

  • ROOM 237

    韓国サスペンス新刊本。1ダースほどの大量殺人を犯した死刑囚と好奇心を抱く刑務官とのやり取りを描いたストーリーは、亡きキムギドク監督が書いたのかってぐらいのギリギリの行き場の無さと絶望感。真冬の海みたいにくらぁいけど、この暗さが韓国独特だなぁと味わう。飄々と大量殺人を犯す一方で、自身の体に小さな擦り傷が出来ただけで念入りに絆創膏を貼るという矛盾点を軸に展開。冒頭に「砕氷船が凍りついた海を渡って…」とあり、この死刑囚が抱える闇とトラウマとの共存的表現としても、ゆったり静けさ漂う雰囲気にもマッチしておりました。

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