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優しい暴力の時代 河出文庫

チョン・イヒョン

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784309467955
ISBN 10 : 4309467954
Format
Books
Publisher
Release Date
February/2024
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

「人間には人間が必要だ。恨むために、欲望するために、打ち明けるために」(「アンナ」より)。何かに傷つき誰かを傷つける時代の、奥底に流れる痛みと、新たな歩みをまっすぐに描き出した『優しい暴力の時代』に、現代文学賞を受賞した「三豊百貨店」を加えた日本オリジナル編集版。希望も絶望も消費する時代の、生活の鎮魂歌。

【著者紹介】
チョンイヒョン : 1972年、韓国ソウル生まれ。2004年「他人の孤独」で李孝石文学賞、06年「三豊百貨店」で現代文学賞を受賞。06年の長篇『マイスウィートソウル』がベストセラーとなりドラマ化。その後も良作を次々と発表し、その卓越した観察眼と巧みなストーリーで「都市の記録者」の異名をとる

斎藤真理子 : 翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • こばまり

    最初の一編でむむっと唸り、その緊張感が最後まで失われなかった。最後の「三豊百貨店」でどかんとやられた。これは日本版編者の勝利でもある。未読の作品がまだある幸せを感じたのは久しぶりのこと。チョン・イヒョン氏、遅ればせながら追い掛けます。

  • penguin-blue

    最初、ネットなどでの見えない人達からの言葉の暴力の話なのかとも思ったが、描かれているのは恐らく今より少し前の時代。家族、友達、同僚…身近な人達の間の微妙なすれ違い、無関心、差別意識やいらいらでのちょっとした意地悪。大きな諍いや激しい言葉がある訳ではなく、淡々とした描写を重ねて登場人物たちの間に生まれるもやもややわだかまりを巧みに描き出している。不動産の仕組みなど韓国特有のものもあるが、話は普遍的で我が身に置き換えやすく、自分自身の過去の人間関係の軋轢や行き違いを「暴力」と考えることで苦い読後感が残る。

  • にゃにゃころ

    タイトルがとてもいい。優しく傷つけ合うっていう感覚が若い頃はわからず、このことばがしっくりこるようになったのは年を取ったからかと思っていたけれど、時代背景の方が大きいのかも。韓国は日本よりも更に生き辛いような気がするけれど、日本よりも優しいとも思う。もう少し読んでみたくなるような作家さんだった。

  • Nishiumi

    ゆっくりゆっくり痛みを味わうように読んだ。日々の生活の中では決定的な出来事の方が珍しい。短編の主人公たちも、暴かれない罪の意識をいつまでも抱えていたり、一瞬のときめきに折り合いをつけないといけなかったり、近しい関係のはずなのにお互いを傷つけずにいられなかったり、何かしらのやり切れなさを抱えている。痛みの破片は間違いなく私の中にもあって、欠けた部分の形を確かめるように少しずつページを捲った。悲しい話ではあるけど、最後の三豊百貨店も好き。完全に断ち切られてしまった過去への慈しみと、いつまでもずぅんと鈍い痛み。

  • ちぇけら

    こんな時代だから、誰かと会うたび、ことばを交わすたび、わたしは傷跡を増やしていく。ありがとうということばにすら刃が仕込まれていたりして、お金も愛も希望も失われた人生で、拳をもたない暴力だけがわたしを抱きしめて離さなかった。わたしをぜんぶ無かったことにして、また生き直せたら、と思ってなみだがでる。わたしは便器にこびりつく滓のように誰かの思い出に残り続け、そうしてわたしと切り離された領域で、いつまでも損なわれ続けるのだ。生きているから傷つき、生きているから傷つける。そうやって、死ぬまで生きてゆくしかないのだ。

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