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夕霧花園(仮)

タン・トゥアンエン

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784779127649
ISBN 10 : 4779127645
Format
Books
Publisher
Release Date
February/2023
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

1980年代のマレーシア。連邦裁判所判事の職を離れたテオ・ユンリンは、キャメロン高原の日本庭園「夕霧」を再訪する。そこは、30数年前、日本庭園を愛する姉の慰霊のために、日本人庭師ナカムラ・アリトモに弟子入りした場所だった。日本軍のマレー半島侵攻、戦後マラヤの「非常事態」を背景に、戦争で傷ついた人びとの思いが錯綜する。マン・アジア文学賞受賞。マン・ブッカー賞最終候補作。

【著者紹介】
タン・トゥアンエン : 陳團英。1972年、マレーシアのペナン島生まれ。ロンドン大学で法律を学び、クアラルンプールで知的財産弁護士として勤務した後に小説家となり、デビュー作The Gift of Rainが2007年、マン・ブッカー賞の候補作に選ばれる。2作目の本作『夕霧花園』は2012年、マン・ブッカー賞の最終候補となり、同年のマン・アジア文学賞のほか、2013年に歴史小説に授与されるウォルター・スコット賞を受賞。2014年には国際IMPACダブリン文学賞の最終候補作品となり、台湾語、オランダ語、フランス語、ドイツ語、インドネシア語、イタリア語、韓国語、ロシア語、スペイン語など17か国語に翻訳されている。また2017年に英国王立文学協会が主催したFavourite Second Novelの投票でジェイン・オースティンの『高慢と偏見』に次いで第2位に選ばれ、2019年には台湾のトム・リン監督によって映画化された。合気道は初段、伝統的建築物の保存に強い関心を寄せる

宮崎一郎 : 1952年生まれ。新潟薬科大学非常勤講師。茨城大学人文学部卒。高校教員を経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ヘラジカ

    本を開けば静謐な「夕霧」の空間が目の前に広がる。そしてその中で生きるユンリンの、日本軍に人生を破壊された凄惨な戦時の記憶も。アリトモとユンリン、単色ではなく縺れ合うような二人の複雑な関係も、美しい風景描写に彩られて一幅の絵画のように素朴で佳麗に収まっていると感じた。それぞれの人生、謂わば一つ一つの魂が、大きな暴力のなかでいかに単純化されてしまうか。加害国と被害者という戦後の枠組みのなかで人間の崇高さを描き切った傑作である。今年の終わりに読んだ本を想い返すとき、間違いなく真っ先に脳裏に浮かぶ一冊だろう。

  • 星落秋風五丈原

    1980年代、定年まであと2年のテオ・ユンリン連邦裁判所判事が、かつて1950年代に日本人庭師アリトモと過ごしたキャメロン高原の夕霧を訪ねる。歴史学者ヨシカワ・タツジがアリトモに関する著書を出版するために訪ねてきたのだが、ユンリンは最近記憶が飛び手が震える事があった。これが【現在】パート。彼女が回想する過去が二つある。一つは【近過去】で1950年代。もう一つはかなり後になって登場する【遠過去】で1940年代。ユンリンがなぜユンホンのために庭を作りたいと思ったのか、原因となる出来事が描かれる。

  • 本の蟲

    映画化もされた、マラヤ(現マレーシア)にある日本庭園が舞台の、戦争の記憶と愛憎の物語。引退した女性裁判官ユンリンは、再訪した夕霧花園で過去を回想する。姉と共に日本軍の強制収容所に連れられ、ただ一人生き残った凄惨な体験。姉が憧れた日本庭園づくりのため、日本人への憎しみを消せないまま夕霧花園の主、かつて天皇の庭師だったアリトモに依頼したこと。依頼は断られるが、庭園づくりを学ぶため彼に弟子入りし、夕霧花園で過ごした日々。戦後の共産主義ゲリラによるテロ。やがて失踪したアリトモの秘密。(続

  • ぱせり

    収容所時代を引き摺り、いまだになにかに囚われたままに見えるユンリンの解放の物語であり、伝説の庭師の謎を追う物語でもある。アリトモとともに歴史を刻み、忘れられてもなお秘密を抱いて黙りこんでいる庭が、まるで生き物のようだ。実際に、マレーシアの山中深く、「夕霧」という孤高の庭が、存在しているように思えてくる。

  • A.yukari

    戦後間もない英領マラヤ連邦(現在のマレーシア)。天皇の庭師だったアリトモと、収容された強制収容所で姉を失い、喪失感や罪悪感、日本軍への憎悪を抱えながら姉の夢だった日本庭園づくりに取り組むユンリン。愛と再生の物語で、それはユンリンがアリトモと過ごした1950年代と、ユンリンが死を意識し始める1980年代の2つの段階を経る。個人的に、アリトモは自らの意思で姿を消したのではないかと思う。哀しくも美しくもあった。マレーシアの歴史、多様なバックボーンを持つ人々、圧倒的な自然、独立前の混沌とした空気など興味深かった。

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