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捜査・浴槽で発見された手記 スタニスワフ・レム・コレクション

スタニスワフ・レム

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784336071330
ISBN 10 : 4336071330
Format
Books
Publisher
Release Date
March/2024
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

イギリス各地の墓地にある死体安置所で奇妙な事件が起こる。初めのうちは死体が姿勢を変えたというちょっとした出来事だったのだが、やがて事件は死体が忽然と消えうせるという思わぬ事態へと展開する。いずれの場合も、死体消失が起こるのは霧深い深夜から早朝にかけてのことで、犯人も動機もまったく分からない。捜査の任を負ったスコットランド・ヤードのグレゴリー警部補が真相の解明に乗り出すが、真犯人につながる手がかりは見つからないまま捜査は難航を極める‥‥冬のイギリスを舞台に展開するメタ推理小説ともいうべき『捜査』、3000年前、初期軌道探査遠征隊が持ち帰ったハルツィウス因子が、地球全体でパピル分解疫を引き起こした。これによりすべての紙は分解され、地球文明は記録も知識も失って崩壊した。未来の考古学者は長年の調査の末、ロッキー山脈の地層の下の巨大地下建造物〈第三ペンタゴン〉の遺跡から、奇跡的に保存されていた1篇の手記を発見する。『新第三紀人の記録』と題されたこの手記には、多層の迷宮のような建造物の中をさまよい歩く書き手の驚くべき経験が記されていた――疑似SF的不条理小説ともいうべき『浴槽で発見された手記』、レムの多面性を示す2篇を収録。

【目次】
捜査
訳者ノート
浴槽で発見された手記

解説(久山宏一)
すべては暗号だ、暗号を解読せよ――『浴槽で発見された手記』訳者あとがき(芝田文乃)
解説 推理と不条理――SFに収まり切らないレム作品の多彩さ(沼野充義)

【著者紹介】
スタニスワフ・レム : 1921年、旧ポーランド領ルヴフ(現在ウクライナ領リヴィウ)に生まれる。クラクフのヤギェロン大学で医学を学び、在学中から雑誌に詩や小説を発表し始める。多くのSF作品を発表し、SF作家として高い評価を得る。小説から離れた最晩年も、独自の視点から科学・文明を分析する批評で健筆をふるい、中欧の小都市からめったに外に出ることなく人類と宇宙の未来を考察し続ける「クラクフの賢人」として知られた。2006年に死去

久山宏一 : 1958年、埼玉県生まれ。東京外国語大学卒、早稲田大学大学院博士後期課程中退。アダム・ミツキェーヴィチ大学(ポーランド、ポズナン市)にて文学博士号取得。東京外国語大学など非常勤講師。ポーランド語翻訳・通訳。専門はロシア・ポーランド文学研究

柴田文乃 : 1964年、神奈川県生まれ。筑波大学芸術専門学群卒業。ポーランド語翻訳者、写真家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • えか

    サンリオSF文庫廃刊から30年、漸く読めました。天王星第三衛星よりもたらされた、謎の因子により、紙媒体の記録が全て失われた三千年後、(註1)巨大地下施設の浴室から二体の遺体と共に発掘された記録。という設定から始まる(註2)。当然、読者としては、何故、浴室にこの手記が残っていたのか、二体の遺体は、誰と誰なのか、という疑問を頭の隅に浮かべながら、本文を読むこととなる。〈私〉は、“庁舎”とよばれる迷宮の中で、自分の命令も目的も全て失われ、敵も味方も判別できない(註3)まま、あちこちへと彷徨い続けることとなる。

  • 不見木 叫

    『捜査』SFとミステリの境界を漂うメタ推理小説。難解な謎の提示はレムらしさを感じさせつつも異質。閉ざされない物語。『浴槽で発見された手記』はスパイ小説の様でいてこちらも観念的。あやふやな読後感なのに後味が悪いというわけでもない。

  • ふみふみ

    「捜査」は推理小説の形をとってますけど、とてもパラノイア。途中から何を読まされているのかわからなくなります。「浴槽で..」はまえがきの長ったらしさに早くも心折れまして未読、残念。

  • きゅー

    今回は『浴槽で発見された手記』を読了。いかにも東欧的な官僚主義をおちょくるパロディ小説。たしかにカフカが思い起こされるが、レムと同じポーランド繋がりならムロージェクの『所長』などとも近しい関係にあるのでは。特別任務と言われつつもその目的が一切謎のまま庁舎を右往左往する”私”の姿は滑稽ではあるが、無慈悲な軛のもとで抑圧される人間だと見なせば哀れでもある。しかし、ここでいう無慈悲とは残酷や残忍の同義語ではない。慈悲という概念がない世界のことを指す。そしてそこには当然のことながら個人の遺志など存在しない。

  • きゅー

    まずは『捜査』を読了。遺体が消失した事件が発生し、警部補がその犯人を探す。というミステリ的な装いをまといつつも、実際には思弁的な小説。読者があっとおどろくような結末が待っているわけではなく、そもそも事件は解決せず、物語は開かれたまま幕を閉じる。それが不満かといえばまったくそんなことはなく、様々なジャンルがブレンドされた精妙な物語は、本を読むという時間の純粋さを味わわせる。小難しいイメージのあったレムだが、この一作をもって他の作品も読んでみたいと期待が高まった。

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