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ISBN 10 : 4907105045
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ジョルジュ・バタイユによるヒロシマ論。
原子爆弾の人間的な意味は相手を「恐怖によって強制することにある」。だが投下された側は恐怖する間もなく「突如おぞましさのなかへ突き落とされ」「煙にあぶられた白蟻の巣」のような人知のきかない世界をさまよわされた。
バタイユはハーシーの衝撃的なルポルタージュ『ヒロシマ』(1946)をもとに被爆者たちの動物的な体験を重視し「この不幸を生きよう」と叫ぶ。ついで人間的な意味を捉え直し、文明こそ戦争の元凶とみなしていく。同情や憐れみを「曖昧な感性」と厳しく批判しながら、決然と感性を意識の極限へ向かわせ、そこでまた「動物的な苦悩の果てしない《不条理》」に出会うのだが、そここそは「夜の核心」、すなわち「毎年五千万の霊魂」を地獄へ葬り去る世界の巨大な消費の光景なのである。
ヒロシマをさらに大きな濁流へ開かせながら、バタイユは、戦争回避の普遍経済学を模索する。
原爆投下から一年半たたない1947年初頭に『クリティック』誌に発表された、《夜をさまよう人》バタイユの意欲的論文。
【著者紹介】
ジョルジュ・バタイユ : 1897‐1962。二〇世紀フランスの総合的な思想家。小説、詩も手がける。生と死の狭間の感覚的かつ意識的体験に人間の至高の可能性を見出そうとした。その視点から、エロティシズム、芸術、宗教、経済など、人文系の多様な分野で尖鋭な議論を展開した。キリスト教神秘主義、シュルレアリスム、ニーチェ哲学などに思想の影響源がある
酒井健 : 1954年東京生まれ。現在、法政大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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