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ISBN 10 : 4865030603
Content Description
美学の脱構築へ。古代から現代に至る広範な美学史や哲学史を参照しつつ、複数かつ単数の〈感覚=意味〉の問題として批判的に検討し直す、ナンシーによる芸術哲学の精華。解説=暮沢剛巳【芸術論叢書:第5回配本】
ミューズたちの名は、ある語根に由来している。それは熱情を、焦燥、欲望、あるいは怒りのなかに募る激しい緊張感を、知りたい、作りたいという熱意に充ちた緊張感を示している。より穏当な解釈では「精神の運動」だと言われる。ミューズは、励まし、駆り立て、搔き立て、揺さぶる。彼女は形態よりも力を見守る。あるいは、より正確には、彼女は力を込めて形態を見守る。しかし、この力は複数形でほとばしる。この力は当初から複数の形態で与えられている。存在するのはミューズたちであって、ミューズなるものではない。彼女たちの人数は、その属性と同じで、さまざまに変わるものだったが、ミューズたちはつねに多数いただろう。(本書より)
目次:
T なぜ、ただ一つではなく、いくつもの芸術があるのだろうか?(世界の複数性についての対話)
U ミューズたちを継ぐ乙女(諸芸術のヘーゲル的誕生)
V 閾の上に
W 洞窟のなかの絵画
X 芸術の残骸
Y 諸芸術は一方と他方で為される
Z プラエセンス
日本語版解説 ジャン゠リュック・ナンシーと洞窟壁画:一つの註釈として(暮沢剛巳)
訳者あとがき
原書:Les Muses, Édition revue et augumentée, Éditions Galilée, 1994/2001.
ジャン゠リュック・ナンシー(Jean-Luc Nancy)1942年生。フランスの哲学者。芸術論系の著書に『訪問――イメージと記憶をめぐって』(西山達也訳、松籟社、2003年)、『映画の明らかさ――アッバス・キアロスタミ』(上田和彦訳、松籟社、2004年)、『肖像の眼差し』(岡田温司/長友文史訳、人文書院、2004年)、『イメージの奥底で』(西山達也/大道寺玲央訳、以文社、2006年)などがある。
荻野厚志(おぎの・あつし)1972年生。パリ第7大学DEA取得。芸術学、仏文学。既訳書にジャン゠リュック・ナンシー『私に触れるな――ノリ・メ・タンゲレ』(未來社、2006年)など。
暮沢剛巳(くれさわ・たけみ)1966年生。東京工科大学デザイン学部教授。近書に『オリンピックと万博――巨大イベントのデザイン史』(ちくま新書、2018年)など。
【著者紹介】
ジャン=リュック・ナンシー : 1942年生まれ。フランスの哲学者
荻野厚志 : 1972年、東京都生まれ。一橋大学大学院言語社会研究科博士課程単位取得退学、パリ第7大学「イメージとテクストの歴史と記号学」DEA取得。専攻は芸術学、フランス文学。各種媒体に芸術論、文学論、翻訳を多数寄稿している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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