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蛇口 オカンポ短篇選 はじめて出逢う世界のおはなし

シルビナ・オカンポ

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784885881046
ISBN 10 : 4885881048
Format
Books
Publisher
Release Date
December/2021
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

数も形も明らかにされていない無数の蛇口からしたたる滴たちの轟音、鳥たちは蛇口の旋律を奏で、犬たちは満月の夜に蛇口の歌を吠える…チベットの奥地にある秘境を旅した思い出を、幻想かつ詩情あふれる文体で描く「蛇口」、ブチ切れるたびに自らの肉体を噛みちぎる猟奇的な自傷行為をくりかえし、自ら命を落としてしまう女の悲劇をユーモラスに語る「マルバ」、迷信深い女と結婚した語り手の男性が、見知らぬ女へと変貌していく妻を前に困惑する「砂糖の家」、ボルヘス風の幻想譚「見えない本の断章」など、1937年のデビュー作『忘れられた旅』から1970年の『夜の日々』までに書かれた5つの短篇小説集をもとにして編んだ日本独自の短篇選集。36篇収録。

【著者紹介】
シルビナ・オカンポ : アルゼンチンの作家(一九〇三‐一九九三)。ブエノスアイレスの裕福な名家で六人姉妹の末の妹として育った。幼いころから絵画を学び、パリでジョルジョ・デ・キリコに師事したこともある。作家アドルフォ・ビオイ・カサーレスと結婚後に小説を書き始め、独自の幻想的短篇小説でアルゼンチン文学史にその名を残した。詩や児童文学の作品もある

松本健二 : 1968年、大阪生まれ。大阪大学外国語学部准教授。現代スペイン語文学研究・翻訳(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • (C17H26O4)

    不条理なのか因果応報なのか、無情に突き放してくる意地悪さがある。余分なことは書かれておらず、ドライに淡々と話は進み、短く唐突に終わる。読み手が何かの責任を取らされるような居心地の悪さを感じるものが多いのだが、この後味が絶妙で、次第にクセになってくる。幻想文学+ブラックユーモアなど、幻想文学に何かひと味プラスされた味わい。一読するだけでは足りなく、読むごとに更に味が出てくるタイプの短篇集だと思う。オカンポ、今回初めて知った。アルゼンチンの作家でビオイ・カサーレスの妻。ボルヘスとも親しく交流があったらしい。

  • くさてる

    変わった名前の作家だな、としか思わなかったのだけど、「ラテン・アメリカ怪談集」に収録されていた「ポルフィリア・ベルナルの日記」の作者だと知り悲鳴を上げて読みました。期待にたがわずどころか期待を越えた幻想短篇ばかりで大満足です。海外文学ではあまりに奇想が過ぎると単に訳の分からない話になってしまうことがあるのですが、この作品集にあるのは、リアリティと幻想のバランスが絶妙で、なおかつ情熱があって美しい話ばかり。おすすめです。

  • おかだん

    ラテンアメリカ文学会のお歴々との濃密な関係性のある作者。それなりの巧さはあるが、それだけではすまない不可思議な魅力がある。どのような不条理な中にも何処か冷たいと言うか、あくまでガラス窓から状況を凝視しているような突き放した所が多出する。夫やボルヘス氏らとかなり複雑な愛憎関係があったとの事で、それを題材にした話もあるが、やはりこれもごく冷静な視点で綴られ題材として面白いな、ぐらいの気持ちでいたのか、実はかなりドロドロしているけど、押し殺す人だったのかと色々勘繰らされた。

  • ふるい

    これまで日本では「ボルヘスの盟友」「カサーレスの妻」と呼ばれるばかりで、翻訳が進んでこなかったオカンポ待望の短篇選集である。どれも奇妙な夢のような雰囲気で、嫉妬や憎悪がテーマの作品でもドロドロした感じはなく、良くも悪くもふわふわしていてあまり印象に残らない読後感。好きな人はかなりハマると思う。「ミモーソ」や「アメリア・シクータ」といった、犬や猫などの動物が絡むお話が好き。あとがきを読んで、オカンポ家は娘たちのヨーロッパ渡航のために、船に専用の乳牛まで積み込ませるほどの破茶滅茶な金持ちだったと知り驚く。

  • きゅー

    それぞれの物語が10ページ程度の掌編集。著者のシルビナ・オカンポは、1903年にアルゼンチンの大富豪の娘として生まれた。一家の持つ豪邸にはオルテガ・イ・ガセー、ストラヴィンスキー、ル・コルビジェ、タゴールなどの世界的文化人も訪れていたという。シルビナは多くの作品を書き遺したが、文学史的にはビオイ・カサーレスの妻という形でかろうじて名が知られている。今回訳出された物語の多くは、幻想文学に分類できるものであり、夢のモチーフが多用される。

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