(Duo Piano)sym, 3, Overtures: Eckerle Piano Duo

シューマン：ピアノ・デュオのための編曲集 第3集

交響曲第2番の連弾ヴァージョンが日本人とドイツ人のデュオで発売されて間もないところに、今度は交響曲第3番の連弾ヴァージョンが別の日本人とドイツ人のデュオの演奏で登場することとなりました。
　ピアノ連弾版で聴くオーケストラ音楽は、４本の手を前提に、管弦楽の各パートを音型・音色・和声などによって適宜整理した上で移し替えたものなので、ピアノ曲としては非常に情報量の多い音楽となっているのが特徴でもあります。そのため、旋律的・情緒的な側面よりも、構造的な面白さが浮き彫りにされるという傾向もあるようです（究極はマーラー『復活』のダブル連弾版でしょうか）。
　このアルバムは、最初と最後にシューマン色の濃い『マンフレッド』と『ファウストからの情景』序曲を配置、間に交響曲第3番『ライン』と、ラ・マルセイエーズの引用で知られる序曲『ヘルマンとドロテア』 を置くという構成となっています。
　交響曲第3番『ライン』では、変化に富む作風の5つの楽章それぞれの音楽が面白い仕上がりで、音色の揃ったピアノ編曲ならではの動機展開や対位法のわかりやすさは、シューマン監修のうえで弟子のライネッケがアレンジしたヴァージョンというだけのことはあります。ちなみに第1楽章第1主題部では、マーラー編曲オーケストラ版で印象的なホルン音型が聴かれるので、もしかするとマーラーはこのライネッケ版も参照していたのかもしれません。（HMV）

【収録情報】
シューマン：
● 劇音楽『マンフレッド』 Op.115〜序曲（ライネッケによるピアノ連弾編）[11:55]
● 劇音楽『マンフレッド』 Op.115〜間奏曲（A.ホルンによるピアノ連弾編）[03:02]
● 劇音楽『マンフレッド』 Op.115〜アルプスの魔女の呼び声（A.ホルンによるピアノ連弾編）[02:03]
● 交響曲第3番変ホ長調 op.97『ライン』 (1850)（ライネッケによるピアノ連弾編）[33:38]
● 序曲『ヘルマンとドロテア』 Op.136 (1851/1852)（作曲家自身によるピアノ連弾版）[09:44]
● ゲーテの『ファウスト』からの情景 WoO.3〜序曲 (1853)（W.バルギールによるピアノ連弾編）[08:15]

　エッカレ・ピアノ・デュオ（マリコ・エッカレ＆フォルカー・エッカレ）

　録音時期：2013年10月31日〜11月1日
　録音場所：ドイツ、バーデン＝ヴュルッテンベルク、エトリンゲン・シュタットハレ
　録音方式：ステレオ（デジタル／セッション）
　日本語解説付き