コーマック マッカーシー

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越境

コーマック マッカーシー

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784151200564
ISBN 10 : 4151200568
Format
Books
Publisher
Release Date
September/2009
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

十六歳のビリーは、家畜を襲っていた牝狼を罠で捕らえた。いまや近隣で狼は珍しく、メキシコから越境してきたに違いない。父の指示には反するものの、彼は傷つきながらも気高い狼を故郷の山に帰してやりたいとの強い衝動を感じた。そして彼は、家族には何も告げずに、牝狼を連れて不法に国境を越えてしまう。長い旅路の果てに底なしの哀しみが待ち受けているとも知らず―孤高の巨匠が描き上げる、美しく残酷な青春小説。

【著者紹介】
コーマック マッカーシー : 1933年、ロードアイランド生まれ。大学を中退すると、1953年に空軍に入隊し四年間の従軍を経験。その後作家に転じ着々と評価を高め、「国境三部作」の第一作となる第六長篇『すべての美しい馬』(1992)(ハヤカワepi文庫)で全米図書賞、全米批評家協会賞をダブル受賞した。その後、三部作の続篇となる『越境』(1994)『平原の町』(1998)を発表。第九長篇『血と暴力の国』(2005)を原作とした映画『ノーカントリー』は、2008年アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した

黒原敏行 : 1957年生、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • ヴェネツィア

    ニューメキシコの辺境に生まれ育ったビリー。彼は16歳から20歳にかけて3度メキシコとの国境を越える。一度は狼と、次には弟と、そして最後は一人で。メキシコはさらに荒涼とした地ではあるが、風土や言語の上からの隔たりはそれほど大きくはない。いずれの時にもビリーはいとも簡単に越境してゆくし、彼も弟のボイドもスペイン語に不自由してはいない。しかし、越えた先はやはり異境だ。意志の疎通がなされる時もあれば、全く通じることなく暴力的な解決がはかられることもある。読者の目にはビリーは圧倒的なまでに孤独な存在に映る。⇒

  • 市太郎

    部分的に読み返しただけだが、今月読んだ本があまりに少ないのでここらで登録。何度も繰り返し読みたくなる本ってあまり無かったのだが読メを始めてからはありすぎて困っている。そんな中でこれは読メを始める前から時々読み返したくなる本。確かに作者の言葉は少し色あせてきたような気がしないでもないのですがそれでも心にズドンとくる感覚は今でも同じ。哲学的で何度読んでも意味がわからなかったり、やけに言い回しがまどろっこしかったりもするのですが、僕はその文章が大好きです。良かったら皆さんの「繰り返し本」も教えてください(笑)

  • えりか

    あぁ、やっぱりマッカーシーが好き。この辛い話の中に輝くかっこよさがある。廃墟と化した教会で孤独に生きる男も、盲目の男も、そしビリーも、全ての者が愛や光や世界など、大切なものを失いながらも、懸命に生きている。哀しみを受け入れて生きている。生かされている。哀しみを経験して、自分と世界を見つめている。自分と世界の在り方を見つめている。ニーニュがやられた時は、どうかもうこれ以上ビリーから何も奪わないでと願わずにいられなかったし、ラストはビリーの男泣きと一緒に涙を流してしまった。ずしんと胸に重たく響く物語だ。

  • ヘラジカ

    最新作の刊行に備えて、代表作をどれか読み直そうと思い手に取った。初読時には心に余裕がなかったのもあって感想も書けず、あまり味わえなかったこちらの作品を再読。数多の試練が待ち受ける過酷な通過儀礼の旅。暴力に支配された厳しくも美しい荒野、老人たちが語る冷徹で無慈悲な逸話、そこに少年たちの童心と純真が絶妙に混ざり合って、荘厳な神話世界を作り上げている。『ブラッド・メリディアン』の陰に隠れてしまっているが、この作品も相当な傑作だ。現代アメリカ文学必読の一冊である。

  • syota

    大変なものを読んでしまったという思いと、ちょっと待てよという躊躇とで感想がまとまらない。作者はドストエフスキーとメルヴィルを高く評価しているそうだ。確かにこの作品の構造は『白鯨』を受け継いでいるし、挿入される寓話は『カラ兄』の”大審問官”を想起させる。少年が、法律や建前、良識といったベールを剥ぎ取ったこの世界の真の姿を知り、その代償として大切なものを次々と失っていく壮大な物語だ。しかし、これが『白鯨』や『カラ兄』に比肩するかというと、うーん、と迷ってしまう。傑作なのは間違いないのだが…→

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