ギュスターヴ・フローベール

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ブヴァールとペキュシェ

ギュスターヴ・フローベール

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784861827556
ISBN 10 : 4861827558
Format
Books
Publisher
Release Date
August/2019
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

翻訳も、解説も、訳注もほぼ完璧である。この作品を読まずに、もはや文学は語れない。自信をもってそう断言できることの至福の悦び……。──蓮實重彦。厖大な知の言説(ディスクール)が織りなす反=小説(アンチ・ロマン)の極北、詳細な注によってその全貌が始めて明らかに!


フローベール自身は、この小説のテーマは「科学における方法の欠如について」であり、「近代のあらゆる思想を点検する」のがその野心だと述べている。これをあえて現代的なタームで言い換えてみると、十九世紀の知の言説が形づくる灰色のアーカイブに潜在的に含まれている喜劇の可能性を現勢化したのが、『ブヴァールとペキュシェ』という書物だということになろうか。……フローベールが千五百冊あまりもの本を読み、それについて逐一ノートを取りつつ、そこから拾い上げた「思想のコミック」を小説という形式にふさわしく練り上げたのが、「一種の笑劇風の批評的百科事典」なのだといってよい。それ故、ブヴァールとペキュシェの演じる一見珍妙な悲喜劇が、十九世紀という時代の直面した認識論的な諸問題を深くえぐり出していることは、実は何ら驚くべきことではない。──本書「解説」より

【著者紹介】
ギュスターヴ・フローベール : 1821‐1880。フランスの小説家。ルーアン市立病院の外科部長の息子として生まれ、父の死後、ルーアン近郊のクロワッセの邸に隠遁し、文学作品の執筆に専念する。『ボヴァリー夫人』によって一躍名声を得て、レアリスムの巨匠というレッテルを貼られるが、その真の革新性は、それまで卑俗な文学ジャンルとみなされていた小説を散文による言語芸術へと鍛え上げた点にある

菅谷憲興 : 1966年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。パリ第八大学文学博士。現在、立教大学文学部教授。研究領域はフローベールを中心にしたフランス十九世紀文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • まふ

    体型も性格も異なる中年の二人が偶然に出会って意気投合し、この世の真実を追求しようと懸命に勉強するが、ことごとく失敗するという未完の物語。彼らの興味は農学、化学、医学、地質学、考古学、歴史学、文学、政治学、戯曲、演劇、魔術、哲学、道徳、音楽、宗教、等々と多岐に亙るもののどれもこれも失敗するのが面白く、かつ読んでいてウレシくなる。フローベールはこの作品のために1500冊もの専門書を読破した、というが、それだけでもすごいことである。⇒

  • syota

    [G1000]二人の中年男が人文、社会、自然科学全般から宗教に至るまで各分野の専門書を手当たり次第に読み漁り、断片的知識を振りかざして実践したり、専門家と論争したりして失敗する。まさに今のネット時代を彷彿とさせる話だ。作品が書かれた19世紀より、むしろ現代のほうが共感を呼ぶのではないか。ただ、フローベールは愚かな二人組を笑うために、この小説仕立ての百科全書ともいうべき壮大な作品を書いたのだろうか。→

  • かんやん

    パリで出会った二人の筆耕はたちまち意気投合し、一人が遺産相続すると、田舎に引っ込む。そこで膨大な書物を漁りながら、農業を始めとしてあらゆる学問を研究・実践し、悉く失敗する。それが笑いを誘う(たまの成功は更におかしい)。二人の振る舞いは近隣から白眼視され、やがて孤立してゆく。笑っているうちに、段々と自分が批判されているような気になり、それから空恐ろしくなる。愚劣さを超えて、途方もない領域へと二人は至るのだ。ため息。愚劣に対置されるのは聡明ではなく、凡庸。貴族・医者・聖職者といった村の(良識的な)インテリ達。

  • ケイトKATE

    二人の中年男性ブヴァールとぺキュシェが仕事をリタイアして、ノルマンディーの片田舎であらゆる学問に手を出して失敗を繰り返す喜劇。ブヴァールとぺキュシェは農学に化学、医学、文学、政治、哲学、宗教と多彩な学問を真面目に学ぼうとするが、ど素人さと飽きっぽい性格から、ことごとく失敗してしまう。『ブヴァールとぺキュシェ』に取り上げられる学問書や作品、人物が多数登場して、丁寧過ぎる訳注がなかったら読破できなかった。『ブヴァールとぺキュシェ』はフローベールの急死で未完となったが、結末は劇的な話もなく終わったと予想する。

  • きゃれら

    ポケットマスターピースシリーズで抄訳を読んでいたので雰囲気は掴んでいたが、やっぱり変。しかしその変さ加減は、自分のことじゃないかと気づくとどんどん笑えなくなる。解説にもあるように、インターネット検索の全盛期である現代でさらに本書の意味が深まっている。医師や司祭との問答や論争では、全編間違いだらけの主人公2人の言うことの方が「専門家」より真っ当に思えたりするのだ。当時の科学的水準などと言って済ませていては気づけない問題があると僕は思う。文学としてだけでなく、時代を映す鏡として、極めて今日的な作品だ。

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