キャサリーン・m・ヴァレンテ

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孤児の物語I 夜の庭園にて 海外文学セレクション

キャサリーン・m・ヴァレンテ

User Review :5.0
(1)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784488016524
ISBN 10 : 4488016529
Format
Books
Publisher
Release Date
January/2013
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

昔ひとりの女童がいて、その容貌は糸杉の木と水鳥の羽毛を照らす新月のようであった。彼女は魔物と呼ばれ、おそれられ、スルタンの宮殿を取り巻く庭園で野生の鳥のように暮らしていた。そこに訪ねてきたのはスルタンの息子。女童は自らの瞼に精霊によって記された物語を彼に語って聞かせる。つぎつぎと紡ぎ出され織り上げられてゆく、物語の数々。合わせ鏡に映しだされる精緻な細密画のような、果てしない入れ子細工の世界。比類なき迷宮体験。現代のシェエラザードが語る稀代の書。ミソピーイク賞受賞作。

【著者紹介】
キャサリン・M.ヴァレンテ : 1979年アメリカ合衆国シアトル生まれ。THE LABYRINTH(2004)でデビュー、「ローカス」誌で注目される。THE ORPHAN’S TALES:IN THE NIGHT GARDENはジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞を受賞、世界幻想文学大賞にノミネート、さらに続編IN THE CITIES OF COIN AND SPICE(2007)と合わせて、シリーズ全体でミソピーイク賞を受賞している。その後PALIMPSEST(2009)でラムダ賞を受賞、THE GIRL WHO CIRCUMNAVIGATED FAIRYLAND IN A SHIP OF HER OWN MAKING(2011)では、アンドレ・ノートン賞とローカス賞を、中編「静かに、そして迅速に」(2011早川書房『SFマガジン』2012年12月号所収)でローカス賞を受賞している

井辻朱美 : 東京生まれ。東京大学大学院人文系研究科比較文学比較文化専攻修了。現在白百合女子大学教授。著書に『ファンタジーの魔法空間』(第27回日本児童文学学会学会賞受賞、岩波書店)ほか多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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「孤児の物語」というタイトルにはワクワク...

投稿日:2021/06/29 (火)

「孤児の物語」というタイトルにはワクワクしなかったが、タイトルと2冊の分厚い背表紙に興味が湧いて手にとってしまった。瞳の周囲に物語が刻まれた少女が語る物語の登場人物が語り出し、その物語の登場人物が語り出し…と迷宮のような構造で眩暈がした。どの物語も既存の枠に囚われない手強いファンタジーで、別の物語の登場人物(人とは限らない)が入り乱れたりしながら、最後にすべての物語がひとつになる。確かに「孤児の物語」であった。

キつツき さん | 埼玉県 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 星落秋風五丈原

    瞼に文字を埋め込んだ女童が語る物語にスルタンの息子が足しげく通うようになる。この構図はまんま千夜一夜なのだが子供同士なのであくまで色っぽくはならない。本当に話中話のオンパレードで、時々この話はAという人の話に出て来るBという老婆が出会ったCという…」と再確認しながら読了。アラビアンナイトはもとよりアンデルセンやグリム童話、様々な民話のエッセンスを詰め込んだエピソードが登場。馬と人間の女性が交わるという話は長野県諏訪地方にもあったような。姉皇女は息子と女童の仲を邪魔しにくるが続編では態度を急変。

  • take0

    絢爛たるミザナビーム。人々から忌避され独り庭園に棲む女童が王子に語り始めた物語は、次々に語り手を変え次の物語を語り紡いでいく。生い茂り枝葉を伸ばしていく物語の中で、再会しその消息を知ることのできた者もいる一方、女庭師や鵞鳥の娘、その先を知りたくなった者達もいて、王子のように更に女童に続きをせがみたくなった。絡み合う蔓草のような縁(えにし)の糸で編み上げられ織り成されたその織物は、馥郁たる異国の香油と花の薫りの匂い立つ、血の赤と夜の漆黒、哀しみと別離で彩られた、気高い女達を讃えたタペストリーとなっている。

  • すけきよ

    少女が語る物語中のキャラクターが語る物語中のキャラクターが……と『千夜一夜物語』と同じ構造。次々と展開していく物語に、一つ前の物語を忘れさせるほど引きこまれ、今がどのレイヤーにいるのか見失う。ある物語では主役でも、別の物語では敵として語られていたり、別の視点の物語があったり、人生同様、全てのエピソードは相対的。非常に重層的であると同時に、以前登場したキャラクターが全く違う話で出てきたり、いくつかのレイヤーを貫いて存在するキャラクターがいたり、女童が語る世界は極めて立体的な構造をしている。

  • 静間

    奇妙な痣を持つ女童の語る痣に記された物語。白鳥の女。カワウソの王。皮を売り歩く男。女海賊。グリフォンを追う一つ目。語る女童も異形だが、語られる側も異形。万華鏡のようにくるくると移り変わり。迷路のように繋がり合い。語られる魔術のように奥深いお話。欲を言えばもう少し一つ一つのお話が長いと読みやすかった。次々と始まる物語に惑わされっぱなしだった。あるお話で出てきた人物が別のお話では別の立場で出てくる。私にもっと記憶力があったらもっと楽しめただろうな。読むごとに奥深く、その時の読み手の状態によって印象の違うお話。

  • rinakko

    素晴らしい読み応え。途方もない世界を駆けめぐり、時には悪夢めく異様な眺めに目を疑った…ので、大好きだ。次から次へと語り手を変え、奥の奥の方へ、めくるめく新たな驚異に捕り込まれる心地。耽溺した。後書きにもあるが、創世神話から始まり各々のモチーフに至るまで、既視感のないことが、魅力でもあり凄まじいところでもある。突然始まるグロテスクな展開。何故そんな発想が…と唖然としつつ、魅入られた。“王子なんてものをあてにするんじゃない”と、魔女は言い放つ。女童から老婆、聖女に女海賊に女予言者…と、女たちが力強いのも印象的

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