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野獣の血 扶桑社ミステリー

キム・オンス

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784594094997
ISBN 10 : 4594094996
Format
Books
Publisher
Release Date
July/2023
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

1993年、釜山の片隅の港町クアム。万里荘ホテルの支配人ヒスは、18歳の時にクアムの裏社会を仕切るソンに拾われて以来、やくざ稼業に生きてきた。クアムは長年、海を挟んだ影島の組織と睨み合いつつ共存共栄を保っている。だがある日、組が所有する工場が流れ者のやくざヨンガンに襲撃され、平和のバランスは崩れだす。背後に影島がいるのではと疑うヒスは、やがて利権を巡る抗争に否応なく巻き込まれていき…韓国発、裏社会に生きる者の哀切を描く圧巻のノワール遂に上陸。

【著者紹介】
KimUn‐su : 1972年、釜山生まれ。慶煕大学国文科修士課程修了。2006年に第一長編である『キャビネット』(論創社)で文学トンネ小説賞を受賞、また2010年に上梓した第二長編『設計者』(クオン)はフランス推理文学大賞候補作にもなった。2016年『野獣の血』で韓戊淑文学賞を受賞

加来順子 : 1989年、東京外国語大学朝鮮語学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • パトラッシュ

    笠原和夫がヤクザ映画のシナリオではなく小説を書いたらこうなるのか。釜山の下町が舞台だが主人公ヒスを筆頭に登場人物が関西弁で喋りまくり、小さなシノギを巡り殺しや裏切りのドラマを延々繰り広げるのだから。熱風吹きつける狭い土地にしがみついて生きる彼らは、最低な政治が続いてきた韓国でも最底辺の裏社会で何とか生き抜いてきた面々であり、せこい利権を巡って抗争する以外の生き方を知らない。その不器用さが巧まざるユーモアを生み、凄惨な暴力シーンすら和らげてしまう。ノワール小説というより貧民暴力組織を描くプロレタリア文学か。

  • 路地

    暴力が当たり前に飛び交い、時には死人まで出てしまう裏社会が本作の舞台。暴力組織に属する登場人物たちが表社会の商店主たちと持ちつ持たれつといった関係をおおっぴらにもっているのはひと昔前の時代設定(1990年代)だからか。韓国のノワール、サスペンス映画と共通するような、シリアスと乾いたユーモアが同居する緩急自在の展開がくせになる。あくどくなりきれない主人公が、大きな喪失と修羅場を経験した後に、過去を振り切るかのように新たなドンになることを予感させるラストは大好きな映画『新しき世界』を思い起こさせる。

  • Katsuto Yoshinaga

    釜山の片隅の港町クアムで、「王にならなければ、野宿するものの人生と変わらない」と考えるやくざ達が抗争を繰り返す。中盤までは、タイトルほどの剣呑とした感は、さほどない。主人公ヒスと彼の親分ソンとのやりとりはユーモラスで、それはまるで「仁義なき戦い(第一作)」を彷彿させる。つまりリアル感がある。そして終盤、「幼稚で汚くて卑しくて惨い」戦いへと転調。改行の少ないアウトロー文学の混然とした色調が、ノワール文学の黒へと塗り変わる。賛否あるようだが、台詞を関西弁で訳したことも効いている。好きだわぁ、この小説。

  • hikarunoir

    映画と違い詳細なシノギの陳腐さは穏便さから。盃の概念がなく、紐帯の緩さは双方印象的。日帝〜韓国現代史の残響、隠語等明かされるのが本の醍醐味。

  • しゅー

    ★★★後半だけ見ればよくあるノワールだ。しかし前半でじっくりと描かれるヤクザ稼業の日常が、関西弁で訳された会話の影響もあって魅力的である。「白い粉」ならぬ赤い粉唐辛子を中国から輸入して国産のそれと混ぜて売りさばいていたり、干物や洗濯工場の利権でもめたり、とにかくシノギがショボくて逆にリアリティあるのだ。登場する極道もカッコよさは皆無で、ところどころコメディのような面白さもある。そこをじっくり描くからこその700頁と納得した。メンツにこだわるあまり、私生活でも稼業でも不器用にしか生きられない主人公が悲しい。

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