ウェンディ・ブラウン

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寛容の帝国 現代リベラリズム批判

ウェンディ・ブラウン

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784588603136
ISBN 10 : 4588603132
Format
Books
Publisher
Release Date
November/2010
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

宗教、政治、人種などを越えて、他者に対して寛容であるとはどういうことなのか。倫理的な美徳や道徳的価値として推奨される寛容という言葉に内在する、その規制的で生産的な権力作用を徹底的に解剖する。

【著者紹介】
ウェンディ・ブラウン : 1983年、プリンストン大学で政治哲学の博士号を取得。カリフォルニア大学サンタクルーズ校およびウィリアムズ・カレッジで教鞭をとったのち、1999年よりカリフォルニア大学バークレー校政治学教授。おもに西洋政治思想史を担当

向山恭一 : 1964年生まれ。現在、新潟大学准教授。政治思想専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • ヒナコ

    他者の振る舞いを寛容という徳目で許す時、許す側と許される側に何が起こるのか? 寛容が付与される側は常に、未開で反リベラルな、フロイトに従えばナルシシズムを土着の集団に同一化させた超自我の存在しない連中と規定される。 それとは対称的に、寛容を付与する側は常にリベラルで自律的で普遍的な歴史的理性と考えられるが、果たして寛容な政治学とは、未開の個人と抽象化された理性との間の葛藤と言い切れるのか? 本著では、寛容を付与し時には停止させる側も、既に市場文化に同一化している歴史が隠蔽される構造が鮮やかに示されている。

  • フクロウ

    一見すると良い価値観の表明、推進すべき理念の提示に思える「寛容」言説は、しかし、その一方で、「寛容」を施す者と「寛容」の対象者との区別を前提とし、その区別が支配従属関係を作り出す(フーコー的な権力)。また、「寛容」を施す者/対象者の間の区別を脱政治化・自然化・存在論化するが、これはリベラリズムの対文化特権性の帰結である。しかし、アメリカ女性が社会の一般規範を背景に行う整形手術による鼻の切除と、アフリカ女性が文化・慣習から矯正される陰核切除との間に、いかほどの違いがあるのだろうか。

  • まつゆう

    寛容という言葉の、個人の努力と思われている点、あるいは不快なものを許容するというその態度の言説の権力をフーコー的に分析した本。マイノリティ、LGBT、移民…etcこれらを寛容で迎えるとは政治的に解決すべき話題を個人の努力に矮小化させ、その差異を本質主義的に固定化し、自らは中正無私で彼らより道徳的に上位にいるという優位を保つ態度である。少々冗長だが、フーコー理論が具体的に使われている本の中では読みやすい部類の本。

  • Go Extreme

    嫌悪の統制 寛容の脱政治化 脱政治化の言説 構造的原因の不可視化 権力の言説 寛容する側とされる側 嫌悪と条件付き許可 従属的地位の固定化 寛容と平等 平等は同一性、寛容は差異管理 統治性としての寛容 微細で浸透的な権力 国家暴力の正当化 博物館化する寛容 寛容の物象化 文明人と野蛮人 文明と野蛮の二項対立 文明論的寛容 帝国主義的暴力の正当化 寛容の両義性 許容される逸脱 寛容とアイデンティティ政治 寛容と新自由主義 文化的多様性への変換 包摂と排除の境界設定 文明化の使命 アイデンティティの本質化

  • 抹茶ケーキ

    自由主義国家は市民間の平等を約束するが、その約束が守れなくなったとき、寛容を強調しはじめる。なぜならそれによって差異の存在を前提とすることができ、切り詰められた形での平等が可能にすることで、平等の約束を守っているという体裁を保てるからだ。さらに言えば寛容という考え方には、そもそも「寛容する側」の「寛容される側」に対する優位が含意されているので、自民族中心主義的だ。みたいな話。確かに寛容って胡散臭いなと思っていたので、すごく腑に落ちた。

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