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アンナは、いつか 蝶のように羽ばたく

ウェイ・チム

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784908184413
ISBN 10 : 4908184410
Format
Books
Publisher
Release Date
March/2023
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

オーストラリアで暮らす16歳の少女アンナは、三人きょうだいの長女で、思春期の妹と幼い弟がいる。香港で生まれ育った両親は、幼かったアンナを連れてオーストラリアに移住したものの、母親は異国での暮らしになじめず、部屋に引きこもることが増えていく。中華料理店を営む父親は、妻のそんな状態から目を背け、仕事を逃げ場にして夜も帰宅せず、家のことは長女に任せきり。アンナは両親の教えを守って常に家族を最優先に考え、家事をこなしたり弟の面倒をみたりと、知らず知らずのうちに“ヤングケアラー”の立場にたたされ…オーストラリアの独立系書店の書店員が選出する賞インディ・ブック・アワーズ2020ブック・オブ・ザ・イヤー(YA部門)受賞作!

【著者紹介】
ウェイ・チム : アメリカ・ニューヨーク市で中国系移民の両親のもとに生まれる。家族間では広東語を話して育ち、本やテレビ、学校生活を通して西洋の文化を吸収していった。しばらく日本で暮らした後に、オーストラリアのシドニーを定住の地として今に至る。『Freedom Swimmer』はデビュー作のヤングアダルト作品で、リーディングス文学賞ヤングアダルト部門の第1回と、サクラメダルでショートリストに選ばれたほか、オーストラリア児童図書賞のロングリストにもノミネートされている。執筆のほかに、スターライト・チルドレンズファンデーションでデジタルプロデューサーおよびウェブ開発者として働いている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 星落秋風五丈原

    本書は二重の意味で珍しい。まず中国人が主役のYA小説というのが想像できなかった。更にヤングケアラーを主人公に据えているのも初めてだった。普通ヤングケアラーとは、他に面倒を見る大人がいない時に、子供が保護者の世話をするものだが、アンナには父がいる。しかし中国を出て外国で店を営む父には経営者として悩まなければならない事があった。アンナが相談しようとすると父が機先を制して彼女に用事を頼んだり、病院で「こんな事は何でもない事なんだ」と言い張ったりする場面が描かれ両親と言えど、大人を決して善人ばかりにはしていない。

  • ぽけっとももんが

    彼には彼なりの言い分があるのだろうけれどもわたしが一番腹が立つのは父親だ。引きこもり、どんどん精神状態が怪しくなる母と、まだ幼い弟の世話を15歳のアンナに押し付けてしまう。仕事して稼げばいいというものではないだろう。とはいえオーストラリアでマイノリティである中国人で、そのアイデンティティを保ち続けるとなると生きづらいのも想像がつく。あまり希望の持てそうなラストではないけれども、このタイトルのようにアンナ自身が羽ばたく日を願う。ああ辛い読書だ。

  • にたいも

    シドニーに住む高校生のアンナは、心を病んだ母や妹弟の世話に追われて学業もままならない。母の調子が悪いと家に帰らない父。ある日、父の中華店のアルバイトに応募してきた青年ローリーと出会って…。中国人として親孝行をしなければ、目上の人を敬わなくては、という制約は顕在化しているが、精神疾患は隠すべきもの、悩みは人に言わないものという父母から受け継いだ意識は言語化されていない。どのように、母の病と付き合っていくかを、ローリーとの幸せの中からアンナが学び取っていく。題材は重いが読後は爽やかだ。中学後半くらいから。

  • 青猫ノラ

    主人公は、オーストラリアで暮らすアジア系16歳の少女。精神疾患の母親を軸に物語が展開。ヤングケアラーやアジア系移民の生活、家族のつながり、メンタルヘルス、恋愛などなど、様々なテーマを上手くまとめている良作。LGBTもさりげなく取り入れているところも好感。入院や症状の描写がリアルで、しっかり作っている印象。この辺り、YAの新世代感。あと、二人とも、イチャイチャしすぎ!

  • 部屋から出てこない母親、経営する中華料理の店で寝泊まりする父親。アンナは妹と弟の世話をしながら学校へ通う。アジア系の民族への差別や精神疾患に対する偏見など、当たり前に存在しており、16歳のアンナから見える世界はなかなか厳しい。大好きな母親が壊れていくのは、恐ろしくて、先も見えず苦しいけれど、それを支える彼との初々しい恋が希望に感じる。誰も悪くないのだが、心の病とはなんと厄介なものだろうか?

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