イタロ・カルヴィーノ

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木のぼり男爵 白水uブックス

イタロ・カルヴィーノ

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784560072110
ISBN 10 : 4560072116
Format
Books
Publisher
Release Date
January/2018
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

十八世紀イタリア、男爵家の長子コジモは、十二歳のある日、かたつむり料理を拒否して庭の木に登ると、以後、地上に降りることなく、木の上で暮らし始める。木から木へ伝って自由に移動し、森で猟をしたり、無法者と交際したり、読書に励んだりしながら大人になったコジモだが、時代はやがて革命と戦争へと動きだす。恋も冒険も革命もすべてが木の上という、奇想天外、波瀾万丈の物語。人間存在の歴史的進化を描いた“我々の祖先”三部作の第二作。

【著者紹介】
イタロ・カルヴィーノ : 1923年、キューバに生まれる。2歳の頃、一家でイタリアのサン・レーモに移住。トリノ大学農学部に進学し、第2次世界大戦中はパルチザンに参加、戦後、その体験をもとに書き上げた長篇第一作『くもの巣の小道』(47)で、ネオレアリズモ小説の旗手として注目される。変幻自在な語りと実験的手法を駆使した作品で世界的な評価を受け、「文学の魔術師」と評される。1985年死去

米川良夫 : 1931年、東京に生まれる。イタリア文学者。早稲田大学卒業。國學院大學名誉教授。2006年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • まふ

    1767年のイタリア。姉の作ったカタツムリ料理を拒んで木に登って再び地上に戻ることのなかった男爵家の長男コジモの一生を弟の立場から記録した物語。最初は面白半分、だんだん本格的になって恋も勉強も戦いも樹上で済ませる。過去の伝説、おとぎ話、民話などを集めて再構成したのかもしれない。中でも稀代の悪党「荒ら草ジャン」を高級な読書家に育て上げたりする奇抜なアイデアが光る。また、あれほどカッコよかったコジモが老衰でしょぼくれて死んでゆくおわり方も人間らしくて作者の冷静な設定に納得した。G1000。

  • ykshzk(虎猫図案房)

    不当なおしおきに反発して、家を飛び出したりする子どもは少なくないだろう。しかしこのおチビさんは、おしおきへの反発から木に登ったまま、一生木から降りずに過ごした強者。といっても一本の木ではなく、木から木へと伝ってかなり長距離移動することが出来、枝先から社会生活に参加し、恋愛もする。ということは、そこには樹冠が繋がった豊かな自然があるということなのだが。初めは樹上生活者の創意工夫や冒険譚として読んでいたが、物語終盤に近づくにつれ、話は政治や環境の変化へと移ってゆく。おかしさと物悲しさが入り混じった稀有なお話。

  • しろうさぎ

    荒唐無稽な逸話が次々繰り広げられる、男爵コジモの一代記。「最期まで木の上から降りなかった」彼は結局何者だったのだろう。高みから俯瞰して、世間と関わった型破りな英雄?地に足をつけて大人になることを、生涯拒否し続けた少年?どちらにも取れるが、つまらない現実の枠組みから飛び出す「物語の楽しさ」を、存分に提供してくれた人ということで良しとしよう。

  • kuukazoo

    18世紀イタリアがイタリアですらなかった頃、男爵の長男コジモは12歳の時に姉の作ったかたつむり料理を拒否して木に登って以来樹の上で生活するようになる。バッティスタ姉様のガストロノミーと呼ぶにはあまりな料理の破壊力。樹から樹を伝って移動し枝の間に生活空間を作り樹の上から人と関わるコジモの人生。こんなやり方で人の世界を脱け、距離をとりつつ関わるという発想が面白く(また寓意的に興味深く)、森や樹の上の世界の描写が素敵だった。語り手の弟による物語の閉じ方が悲しくも美しく印象に残る。

  • saeta

    カタツムリ料理を拒否し、終生樹の上での暮らしを選んだ少年の一代記である荒唐無稽な着想の作品。このまま樹上暮らしの世捨て人間にでもなって行くかと思いきや、様々な人とのポシティブな交流で成長し、果ては革命や戦争で重要人物にも。しかし、野生化した動物を臆面も無く捕らえるなど、12歳の子供にしては随分サバイバル能力に長けているなと驚いたが。寓話でもありファンタジー的要素もあるので、極端なCGを駆使しなくとも映像化出来そうな作品だが、過去に試みた人はいないのだろうか。

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