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現れる存在 脳と身体と世界の再統合 ハヤカワ文庫nf

アンディ・クラーク

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784150505912
ISBN 10 : 4150505918
Format
Books
Publisher
Release Date
July/2022
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

ゴキブリは尾角で検知した風速から敵を峻別し逃走を図る。粘菌アメーバは餌が尽きると個々の生物から移動する集団生物へと姿を変える。生きるための選択は外からの情報に支えられており―人間が言語を足場として世界を広げるように、生命の心は閉じた形ではなく、自己と環境の相互作用から創発する。認知科学の第一人者が知性に対する見方を革新し、人工知能やロボット、人工生命研究に多大な影響を与えた記念碑的名著。

目次 : イントロダクション―ゴキブリの脳を載せたクルマ/ 1 外なる心(自律的なエージェント―月面を歩く/ 状況に置かれた幼児/ 心と世界―移ろう境界/ 集合の叡智、粘菌流/ 幕間―これまでの概略)/ 2 外に広がった心を説明する(ロボットを進化させる/ 創発と説明/ 神経科学的なイメージ/ 存在する/計算する/表象する)/ 3 前進(心とマーケット/ 言語―究極の人工物/ 心、脳、それとマグロの話―塩水に浸かった要約)/ エピローグ―脳は語る/ 付録 エジンバラ大学哲学教授、論理学・形而上学講座主任教授アンディ・クラーク氏による講演とディスカッション

【著者紹介】
アンディ・クラーク : 1957年生まれ。哲学者。サセックス大学教授。心の哲学、認知科学の第一人者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • ばんだねいっぺい

    知的なヒントが渋滞しているすごい本。身体的認知にとっての外部環境がいかに大切かというところがいちばん 刺さった部分だ。

  • 原玉幸子

    ロボット工学から、脳神経学、認知科学、哲学や言語学まで考察を広げている本書は、A・ダマシオ『意識と自己』、渡辺正峰『脳の意識、機械の意識』などでの私なりの理解、「意識=(本書での)認知とは」が主旨の気がします。付録にあった「認知の統一理論」を目指す、との表現が分かり易いかと思います。ですが、専門的な箇所が難しいのか冗長で退屈なのかが分からないまま、結構読み飛ばしました(恐らく後者なのでしょう)。科学者仲間達が偉大な先生の論考を翻訳するのは、広く理解されるより「通好み」過ぎたかも。(●2023年・春)

  • mim42

    前世紀末に書かれた認知科学・心の哲学についての革新的な啓蒙書。中央集権管理器官としての脳が記号処理的に心を産み出すという視点から、脳と身体・環境の相互作用と共進化が「心」を創発するというパラダイムシフト。その証左的役割でコネクショニストモデル(=ニューラルネットワーク等の並列分散モデル)が至る所で登場するのは興味深い。20年後の自由エネルギー原理等の議論に自然に繋がりそうな仮説・推察。実際に、付録の講演の質疑応答ではサプライズ最小化の議論が行われている(殆どの質問者が稚拙に見えるのは逆過去美化バイアスか)

  • 武井 康則

    考えることを本書では精神とか心と言っているが、それは知識ではない。人工知能に知識を与え続けてもうまくいかなかった。学習すること、習得とは脳と環境が出会い、互いに働きあうことで到達、達成される。数々の実験からそれが実証され、アリなどの群れがリーダーのないまま一匹一匹が目の前の自然に働きかけることで創生が生まれる。現在人工知能の研究が脳の研究を加速させているが、その結果脳についての常識が覆り、知識の神話も崩壊しつつある。知恵は目の前の環境に全身で働きかけ、その中で様々な試みを繰り返し、織り成していくものだ。

  • 人生ゴルディアス

    文庫落ちなので油断していた。認知科学における対立する"脳概念"を議論するなど、かなりヘビーな内容だった。脳は外界から五感を通してシグナルとして受け取り、それを内部で計算して出力するだけのものではなく、また、シンボルという内的な概念を”心”に蓄えそれを操作するものでもないと言い、その中間を探っていく。脳は計算リソースを減らすために外界を構造化させ、構造化されたものを見た他人の脳が刺激されて新たなる構造化をする。そして人間はたまたまそれが他の動物より得意だっただけ……みたいな話が本当に面白かった。

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