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とるに足りない細部(仮)

アダニーヤ・シブリー

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784309209098
ISBN 10 : 4309209092
Format
Books
Publisher
Release Date
July/2024
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

1949年に起きたイスラエル軍によるベドウィン少女のレイプ殺人と、秘匿されてきたその事件の真実を追い求めるパレスチナ人女性。現代パレスチナ文学の旗手が描出する、けたたましい沈黙と張り詰めた不在の物語。

【著者紹介】
アダニーヤ・シブリー : 1974年、パレスチナ生まれ。イースト・ロンドン大学にてメディア・文化研究の博士号を取得し、現在はエルサレムとベルリンを拠点に小説、戯曲、エッセイなどの創作をおこなう。2009年、39歳以下の有望なアラブ作家39名を選出する「ベイルート39」に名を連ねる。本作『とるに足りない細部』は2017年にアラビア語で発表されたのち各国語に翻訳され、全米図書賞翻訳部門最終候補(2020年)、国際ブッカー賞候補(2021年)になるなど高く評価された

山本薫 : 1968年生まれ。アラブ文学研究者。博士(文学)。慶應義塾大学総合政策学部准教授。パレスチナやエジプトを中心に、文学・音楽・映画など、アラブ圏の文化・芸術について研究・紹介をおこなう。2014〜15年には、最も注目されるアラビア語小説の国際的な賞(International Prize for Arabic Fiction)の審査員を務めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • どんぐり

    パレスチナ生まれの作家といえば、カナファーニの『ハイファに戻って/太陽の男たち』が面白かったが、この作家もおススメ。イスラエル南部の砂漠地帯で掃討作戦を繰り広げるイスラエル兵。第1部は、1949年に実際にあったイスラエル兵によるベドヴィンの少女へのレイプ事件。イスラエル兵の宿営地に囚われた少女と主を見守る犬。第2部は、その事件を新聞記事で知ったパレスチナの女性がこの事件を調査するために、イスラエル国防軍歴史博物館で資料にあたり、事件の現場を訪れる。→

  • ケンイチミズバ

    灼熱の砂漠でサソリに刺され疲労と体調の悪化が思考を鈍らせる。敵が潜んでいる極度の緊張も。神話世界で描かれる愚かな人間のように導かれ将校はオアシスで休憩していた遊牧民家族をラクダもろとも銃の暴発のように一瞬で殺す。生き残った少女の「処置」に困り宿営地に連れ帰る。夜ごとベッドがギシギシ鳴る音が砂漠の闇に広がる。それは強い文明が弱い文明を飲み込む音。私には、じわじわ蹂躙される命の声に聴こえた。遊牧民の死ごとき、イスラエル建国という大義の前に些細な出来事でしかない。少女は狼の群れに放り込まれた羊。詩のような世界。

  • pohcho

    1949年に起きたイスラエル部隊によるベドウィン少女のレイプ殺人。2000年代になって些細な理由から事件に興味を持ったパレスチナ人女性は、身分を偽ってイスラエル領内に潜入。地上から消されてしまったパレスチナの現実を目の当たりにしながら、ついに事件の起きた場所にたどりつくのだが・・。150頁ほどの短い小説だが、終始息詰まるような緊迫感。今は更に酷い状況だが、20年前ですらパレスチナの人々がどれだけ不便な生活を強いられていたのかがよくわかる。そして、ベドウィンの少女の言葉は永遠に誰も聞くことができないのだ。

  • ヘラジカ

    第一部にも少なからぬダメージを受けたが、第二部は更に衝撃的で、”小品”と言って差し支えないような長さの作品であるにも拘わらず、読み終えたときに受けた傷は尋常でなかった。過度に感情が篭められていない淡々した文体は、透き通るように濁りがなく幻想性すら備えている。しかし、描かれている内容は迫真的であり、それだけに残虐の現実は一層際立っていて痛切極まりない。あっという間に過ぎ去った読書なのに何度も反芻してしまう凄まじい作品だ。こういう小説を読むと当然今のガザを思い浮かべざるを得ないし、現実に心が蝕まれそうになる。

  • ベル@bell-zou

    灼熱のネゲブ砂漠。起床、偵察、休息。刻まれるイスラエル将校のルーティン。化膿する脚。黒く濁る視界。暑さと痛みとが彼の精神を壊していく。少女の血が砂に吸い込まれていくよりもゆっくりと。1949年の事件。その少女の声なき声に囚われるパレスチナ女性。ただあの日が自分の誕生日と同じという理由で。爆風で割れる職場の窓ガラス。サイレンと砲撃音。借りた許可証、他人のレンタカー。重ねたイスラエルの地図で消える幾数の村々。緊張の検問。ふとした瞬間に心臓から頭へ駆け抜ける危険信号。この張り詰めた細部の連続が彼らの日常とは。

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