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黒人理性批判 講談社選書メチエ

アシル・ムベンベ

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784065377932
ISBN 10 : 4065377935
Format
Books
Publisher
Release Date
November/2024
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

「黒人」の歴史は奴隷制や植民地の過去と切り離すことができない。1957年にカメルーンに生まれ、フランスやアメリカで学んだアシル・ムベンベ(Achille Mbembe)は、主著となる本書(2013年)を「世界が黒人になること」と題された「序」から始めた。それは、奴隷制や植民地が特定の人種に限られたものではないこと、そしてすでに過去のものとなった事態ではないことを冒頭で宣言することを意味している。新たな奴隷制や植民地、そして人種差別は形を変えて席捲しうるし、現にしている。それを可能にする構造が今の世界にはある、ということにほかならない。
だからこそ、不幸や苦痛、弾圧や収奪の歴史だった「黒人」の歴史を知り、共有しなければならない。そのとき「黒人」には新たな意味が与えられる。著者は言う。「途上にある者、旅に出ようとしている者、断絶と異質性を経験する者の形象として、「黒人」を新たに想像しなければならない。しかし、この行路と大移動の経験が意味をもつためには、アフリカに本質的な役割を与えなければならない。この経験は私たちをアフリカに回帰させ、または少なくともアフリカというこの世界の分身を通じて方向転換しなければならない」。
アフリカから到来する何か、「黒人」から到来する何かにこそ、悲惨にあふれ、いや増すことを予感するしかない現在の世界を普遍的に、そして原理的に転換する可能性はある。歴史的事実を踏まえつつその意味を明らかにした本書は、エドゥアール・グリッサンの言葉を借りるなら〈全−世界〉に向けられる希望の書である。

[本書の内容]
序 世界が黒人になること
眩暈するような組み立て/未来の人種

1 人種主体
仮構作用と精神の閉域/新たな等級化/「黒人」という実詞/外観、真実、幻影/囲い地の論理

2 幻想の井戸
猶予中の人類/所属決定、内面化、そして反転/白人の黒人と黒人の白人/名前のパラドックス/世界の巨像/世界の分割/国家‐植民地主義/軽薄さとエキゾティズム/みずから理性を失うこと/友愛の限界

3 差異と自己決定
自由主義と急進的悲観主義/誰もと同じ人間/普遍的なものと特殊なもの/伝統、記憶、そして創造/諸々の世界の交通

4 小さな秘密
支配層の諸々の歴史/謎の鏡/商品のエロティシズム/黒人の時間/身体、彫像、肖像

5 奴隷のためのレクイエム
多様性と超過/ぼろぼろの人間/奴隷と亡霊について/生と労働について

6 主体の臨床医学
主人とその黒人/人種の闘争と自己決定/人間への上昇/大いなる喧噪/被植民者の解放的暴力/栄光の影/民主主義と人種の詩学

エピローグ
たった一つの世界しかない

【著者紹介】
アシル・ムベンベ : 1957年生まれ。カメルーンの哲学者・歴史学者・政治学者。パンテオン=ソルボンヌ大学で歴史学の博士号を取得し、パリ政治学院で政治学の専門研究課程を修了。コロンビア大学、ペンシルヴェニア大学、イェール大学などで教鞭を執ったのち、アフリカに戻る。現在、ウィットウォーターズランド社会経済研究所(ヨハネスブルグ)研究主任

宇野邦一 : 1948年生まれ。パリ第八大学哲学博士。立教大学名誉教授。専門は、フランス文学・思想、映像身体論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ケイ

    カントの『純粋理性批判』の仏訳Critique de la raison pureになぞらえて、カメルーン人の作者ムベンベが書いたCritique de la raison nègreが原著タイトル。カントはいまだ読めていないから、作者がどのような皮肉と精神でこの本を書いたのかは判然とはしないが、まず白人(西洋人)がアフリカ人を(いろいろな人種がいるにもかかわらず)黒人と呼ぶことで作られた概念、その概念に起因する黒人の苦しみ、被支配。今の社会の被支配者を概念での黒人と捉えているのか。再読してから感想を。

  • 原玉幸子

    黒人差別は資本主義〜植民地政策に結び付いた、あかんこと……を、まどろっこしく、ぐだぐだと述べるエッセイで、表現が詩的抽象的感覚的で、一旦「もういいや」と思ってしまうと全く頭に入って来なくなり、言及されていた『やし酒飲み』と同じで、只々頁を繰っていた印象。本来であれば、難解な本を自身が読み込めなかった反省で、再読候補の◎と評価するのですが今回は白旗です。間違っても再読候補にしないとの、強い決意の●でご寛恕下さい。(●2025年・春)

  • sk

    資本主義により世界が黒人になろうとしている。

  • Go Extreme

    黒人の表象: 近代言説 偏見と誤解 存在と理性 言語の危機 歴史的背景:奴隷貿易 植民地主義 経済的搾取 社会的抑圧 人種問題:人種的無意識 偏見の継続 黒人アイデンティティ 再構築 人種主体:形成過程 社会的影響 新自由主義 階層化 幻想の井戸: 生と死 植民地主義の喪失 文化的治癒 文学と音楽 差異と自己決定:アフリカの多様性 植民地主義の影響 現代の再評価 アイデンティティ形成 奴隷制度の影響:経済構造 人種主義 植民地政策 文化的抵抗 文化と想像力:ネグリチュード 解放運動 芸術と抵抗 人種的未来

  • takao

    ふむ

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