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その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか

アグラヤ・ヴェテラニー

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784309209142
ISBN 10 : 4309209149
Format
Books
Publisher
Release Date
September/2024
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

祖国ルーマニアの圧政を逃れ、サーカス団を転々としながら放浪生活を送る、一家の末っ子であるわたし。ピエロの父さんに叩かれながら、曲芸師の母さんが演技中に転落死してしまうのではないかといつも心配している。そんな時に姉さんが話してくれるのが、「おかゆのなかで煮えている子ども」のメルヒェン。やがて優しいシュナイダーおじさんがやってきて、わたしと姉さんは山奥の施設へと連れて行かれるのだったが―。世界16カ国で翻訳、奇蹟の傑作がついに邦訳!シャミッソー賞・ベルリン芸術賞受賞作。

【著者紹介】
アグラヤ・ヴェテラニー : 1962年、ルーマニアの首都ブカレストでサーカス家庭に生まれる。67年に亡命し、77年にスイスのチューリヒに定住するまで、サーカス興行のために各地をめぐる生活を送る。定住後にドイツ語を学び、俳優として活躍するほか、実験的文学グループ「Die Wortpumpe」を共同で設立し、新聞や雑誌に多数の記事を寄稿。1998年にベルリン文学コロキウムの助成金を受ける。1999年に初小説『その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか』を出版し、シャミッソー賞奨励賞、ベルリン芸術賞奨励賞を受賞。2002年2月の早朝に自死

松永美穂 : ドイツ文学者・翻訳家。早稲田大学文学学術院教授。シュリンク『朗読者』で毎日出版文化賞特別賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • buchipanda3

    「父さんの母語は、ピーマンと一緒にクリームで煮たベーコンみたいに響く」。幼少時、独裁政権から逃れたルーマニア出身作家の自伝的小説。題名からして独特な響きがある。可笑しみと残忍さが混ざり合う寓話的な味わい。本篇でも童心のような語りの妙味ある言葉遣いに思わずくすぐられるが、それは大人の都合に振り回され、不安感に苛まれることから逃れるための叫びに見えて心を傷めた。年齢が上がるにつれ、彼女が受ける非道さが風刺を越えて現実の度合いが強まる。苛酷さから守った民話は終わりを告げたのか。映画の場面と幸せの想いを重ねた。

  • 藤月はな(灯れ松明の火)

    故郷、ルーマニアを追われ、サーカスとして外国を流浪してきた少女の語る現実は『不思議の国のアリス』のように悪夢的だ。父による一方的な娘への近親相姦、男性に依存する伯母、娘の貞操を気に掛けながらも性的映像に娘を出演させる事に躊躇いはない母、満足な教育を受けていなかった事を知った時の自己弁護、神様を信じる一方でおかゆで煮られる子供たちに思いを馳せる。語られる事はちぐはぐだ。しかし、透徹とした語りがそれを奇妙な美しさにさせている。だが、それが崩れる箇所がある。それが「そして、子供は欲しくない」の羅列である。

  • ヘラジカ

    無垢なる少女の生のままの文章が、猥雑でグロテスクな大人の世界を鮮烈に映し出す。幼さのヴェールを通して見る現実は、時に誇張され、時に薄靄に包まれて語られるが、だからこそ悍ましき世界の核を捉えた「真実」を表していると感じる。俳優である父親や曲芸師である母親、それを取り巻く欲を剥きだした人々のエピソードによって、強烈なイメージが頭に焼き付く衝撃作であった。この恐ろしい才能を持った作家が夭折しているのは残念でならない。

  • naff1968

    よその国の選挙のことを自国のことより熱心に報道するメディアを眺めつつ、この哀しい物語を読み終えると、この世界は、もう引き返せないところまで壊れてしまったのでは、と絶望的な気持ちになります。

  • かふ

    ルーマニアの独裁者(チャウシェスク大統領)から亡命したサーカス一家の末娘の手記で多和田葉子がドイツ語で受賞したシャミッソー賞を受賞したという。ロマの小説。簡潔な言葉だけど詩のような題名は母が髪の毛で宙吊りになる芸の間に母が語ってくれた民話を姉が妹にし、妹は人形や飼っている犬にするというように代々伝わっている話で、姉の話になると残酷さを増すという。それをバンビという子犬に話すのだがある日事故でドアに挟んで殺してしまう。そのバンビを冷凍保存して旅回りしたとか、マジックリアリズムという感じなのかもしれない。

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