1989年にセット物として発売されたマーチのアルバムです。
現在のユニバーサルの一員であるフィリップスとマーキュリーを原盤としている。
簡単に収録内容は、1、2枚目がスーザのマーチを、フェネルとハンスバーガーがタクトを取り、イーストマン管楽アンサンブルが演奏したスーザ、3枚目は上記のイーストマン管楽アンサンブルやオランダ王立海軍軍楽隊、ポーツマス海兵隊軍楽隊によるスーザ以外のアメリカの行進曲、4枚目はアルフォードを中心にしたイギリス行進曲、5枚目は、ウィルヘルム・シュテファン指揮、西ドイツ連邦軍軍楽隊によるドイツ行進曲、6枚目はフランス夜間部隊軍楽隊や、フランス外国人部隊軍楽隊、オランダ海軍軍楽隊、イーストマン管楽アンサンブルによる、世界の行進曲集、7枚目は特別編成オリジナル海軍軍楽隊メンバーによる、日本の行進曲、8枚目はフィリップス系列のクラシック演奏家によるクラシック・マーチを収録したもの。
後に再発売されたものも多く、一部は抜粋だが、このCDでしか聴けない音源もある。
それは4枚目と7枚目である。
まず7枚目であるが、これは名前の通り旧日本海軍軍楽隊出身者により録音用に結成された特別バンド。
1975年の録音で、指揮者には旧海軍軍楽隊最後の指揮者、内藤清五や呉海兵団軍楽隊の河合太郎などの名前も並ぶ。
録音時平均年齢が60手前だっただけに、加齢による技術の衰えが感じられるのは残念であるが、甘く、力強いスマートな演奏はまさに海軍軍楽隊そのものです。
実は収録曲の大半は「海ゆかば〜蘇る栄光の海軍軍楽隊」というCDで復刻済みなのですが、行進曲『精鋭なるわが海軍』の様に本ボックスCDでしかCD化されていない音源もあります。
4枚目はイギリスの行進曲と書きましたが実質はイギリスのマーチ王アルフォードの行進曲集。
このアルフォードは、J.P.ラロ少佐指揮、オランダ王立海軍軍楽隊によって1973年に録音された音源。
オリジナルのLPは、アルフォードが残した18曲の行進曲から13曲を収録したものですが、これをそっくりそのままCD化しています。
この音源は現在に至るまでこのボックスでしかCD化されていない幻の音源です(厳密に言うならナイルの護りのみ1999年発売の、世界のマーチ・ベスト20に収録されましたが)
ラロ少佐時代の同軍楽隊らしい低音が充実して、歯切れの良い演奏は、ロイヤル・マリーンズ・バンドとは違った、ヨーロッパならではの重厚な演奏となっています。
特に『ホーリールード』『ナイルの護り』『後甲板にて』らは名演と言えるでしょう。
その他の巻も演奏は中々のもので、往年のフランスの響きが聴ける、フランス夜間部隊軍楽隊やフランス外国人部隊軍楽隊や、ドイツ軍楽の伝統的サウンドが残っていた時代に録音されたドイツ行進曲など聴きどころはあります。
録音は古い物が多いので、少々音が悪いのは残念。
またCDの裏ジャケットの演奏者と実際の演奏者とは違うトラックが幾つか見られるのも残念です。
とはいえそれらを別にしても十分おすすめできるCDです。