Thomas Enhco | CD、DVD、ブルーレイ(BD)、ゲーム、グッズなどを取り扱う【HMV&BOOKS online】では、コンビニ受け取り送料無料!国内最大級のECサイトです!いずれも、Pontaポイント利用可能!お得なキャンペーンや限定特典アイテムも多数!支払い方法、配送方法もいろいろ選べ、非常に便利です!
クラシックの素養をしっかりと身に付けたThomas Enhcoが、様々なアイディアをその卓越したテクニックにより具体的な形(音)に仕上げた、素晴らしい作品。
Enhcoは、1988年パリの音楽一家に生まれ、3歳でヴァイオリンを、6歳からはピアノを弾き始め、なんと9歳で初舞台を踏んだという才気溢れるジャズピアニスト。
その華麗なテクニックと美貌ゆえに、わが国でも多くのファン(特に女性)を獲得し
ているようで、2013年には伊藤八十八氏のレーベルから、Jack DeJohnett(drums)、John Patitucci(bass)という超豪華なメンバーとの共演作「Jack & John」をリリースしています。
さて、本作のタイトル「Fireflies」とは、ホタルのこと。ジャケットには、線香花火のようなパチパチとした光の群れを手に掴もうとするThomas Enhcoが(中ジャケットにはクッキリと美顔が)写っています。 2012年5月に録音された、Enhcoの通算4枚目のアルバムで、自らプロデュースにあたったという意欲作。リズムセクションは前作「The Window and the Rain」同様、Chris Jennings (bass)、Nicolas Charlier (drums)が務めています。
冒頭の「The Outlaw」は、クラシカルな雰囲気からスタートしますが、徐々に激しい曲調に転じ、ちょっとした暗さも味付けされています。「You’re Just a Ghost」は、一転してリリカルな曲調へ。ピアノの美しい高音部にハラハラさせられもします。「Traumerei」は、正にシューマンの「トロイメライ」で、名曲を心を込めて奏でます。「Train de Nuit」は、夜汽車のタイトル通り、スピーディで、かつクラシカルなピアノソロで、Enhcoのテクニックに圧倒されます。
ベースのボウイングがシュールな雰囲気を醸し出すイントロの「Awakening」。そこから間髪を入れず演奏される「Wadi Rum」は、多彩な表情を持つ曲で、Enhcoがハイテンションで弾きまくるかと思うと、スローダウンし、煌めくピアノとベースのボウイングが幻想の世界へと誘ってくれます。本作のベストトラックでしょう。
「Soulmate」は、綺麗なメロディを説得力あるテクニックで聴かせるピアノソ
ロ。続く「Morning Blues」は40秒足らずのアップテンポの曲で、若さがほとばしります。
「La fenetre et la pluie」は、Enhcoの育ちの良さ?が表れた曲。ここでも卓越したテクニックが。「Ballade pour un Esprit Nocturne」は、ピアノとベースの対話に、ドラムスが少しだけアクセントを添え、最後まで穏やかに進んでいきます。変わったタイトルの「Boumboumboum」はイントロとあるように2分に満たない曲。抽象的ながら音の粒立ちがくっきりしています。切れ目なく演奏される「Open Your Door」は、印象的なテーマがリズミカルに奏でられ、アドリブにもEnhcoのひらめきが感じられる曲。
ラストは「Choral」。ショパンを思わせるような静かなピアノソロで、アルバムは
幕を閉じます。
今後、ますますファン層を拡大するであろうThomas Enhcoの優れた演奏力と構成力が存分に発揮された傑作です。