詩人にとって「うたう」とは、自分の中にあるものを書き表して形作ることなのだけれど。こうして本物の歌手が歌を歌うところを聞いていると、別にオリジナルでなくとも、人に聞かせる歌の力というものはまた格別であると感じ入ってしまう。
例えば5曲目 Fear a Bhata はスコットランド古謡、歌詞はゲール語と来てはさっぱり聞き取れないのに、静謐な深い水面を覗き込むような、その上に雪の花が散っているような、底知れぬ感動を覚える。
このように優れた歌手が、さっぱり知られていないのがまた、小生にとっては驚くべき事実で、本物の才能は世界に理解されにくい運命にあるのだろうか。音楽好きの友人に教えてみたらやっぱり知らなかったらしく、手持ちのCDをコピーして布教活動中、皆さんCD買って音楽家を応援しましょう。惜しむらくは録音が少なく、これを含めて数えるほどしか出ていない。