消散軌道風景 Vol.2 イカロスムック

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784802207928
ISBN 10 : 4802207921
フォーマット
出版社
発行年月
2020年01月
日本
追加情報
:
129p;29

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廃線跡の実地調査、古い資料や写真の紹介に...

投稿日:2021/04/12 (月)

廃線跡の実地調査、古い資料や写真の紹介により、いまはなき「鉄道」を対象に「考古学」をする雑誌、消散軌道風景の第2巻。投稿日現在、第3巻までと、その続編にあたるものが「廃線系鉄道考古学」にタイトルを変えて1巻分、計4巻が刊行されている。本巻の目次は以下の通り。 都電24系統 いまむかし  須永秀夫・岡本憲之  2 【特集】 知られざる軍都 赤羽周辺の失われし鉄路を求めて 中編  岡本憲之  9 chapter01 昭和47年、赤羽の線路“跡”  桟敷正一朗  29 chapter02 岩崎レール工業のあゆみ  西 裕之  35 Column 伝説の新幹線事業用車  岡本憲之・須藤行雄  43 chapter03 台湾からきた蒸機、かえった蒸機  台日鐵道交流促進協會・岡本憲之  44 chapter04 葛生の鉱山鉄道〔前編〕  岡本憲之・須永秀夫  50 chapter05 元・四国鉱発白木谷鉱山 ニチユ製104号機保存など  浜田光男  60 chapter06 続・思い出の東京都港湾局臨海線  須永秀夫・桟敷正一朗・岡本憲之  63 chapter07 モノレールの除雪方法を見る  黒田陽一  69 chapter08 記憶の奥のトロッコ探索  軽探団 情報家S藤  75 産業用鉄道カタログ&パンフレット〔第2回〕 日車のUDL  83 chapter09 東大秩父演習林軌道・滝川森林鉄道跡をめぐる  竹内 昭  89 chapter10 昭和20年代、東京近郊の私鉄  縄田 充・名取信一  99 chapter11 上野動物園「東京都交通局 上野懸垂線」  和田亮二・岸本篤志  102 Column ビューゲルの付いた客車  岡本憲之  108 chapter12 遠い日の記憶、築地市場貨物線  桟敷正一朗  109 Column 保線トラック車両  岡本憲之  115 街角探訪鉄道プラスα 第二回  116 chapter13  ナローゲージの保存車 第一回 北海道・東北編  日本ナローゲージ研究所  120 A4変形版という大きめのサイズを用いており、地図など細かいものを引用に耐えるものとなっている。巻頭の「カラーダイジェスト」以外、白黒印刷なのが残念だが、内容はとても興味深いものばかりだ。 冒頭の特集とchapter01では、前巻に引き続いて、赤羽のあまり知られてはいないだろう歴史にスポットを当て、戦時中付近に存在した線路と、ひとときみられた廃線跡風景を紹介してくれる。開発されていく住宅地の中に伸びる草蒸した廃線路とそこで遊ぶ子供たち、その横に停められた時代を感じさせる乗用車の写真が深い郷愁に誘う。 「岩崎レール工業のあゆみ」では、森林鉄道の権威、西裕之氏による木材運搬車等を製作していた岩崎レール工業に関する紹介。貴重な写真をまじえながら、古典車輛が示されるが、正確にはどこのメーカーが製造したか、確定の難しいものもあるようだ。岩崎レール工業が製作したと考えられるBタンク蒸気機関車など、じつに良い佇まいの機械であり、研究の進展を待ちたい。秋田の仁別森林鉄道の貴重な写真も紹介されている。 「葛生の鉱山鉄道〔前編〕」では、 栃木県の東武鉄道葛生駅を起点としていた軌間610mmのトロッコ軌道が紹介されている。葛生付近の風景は、様々な媒体で紹介されたもので、ナローの軌道風景が好きなフアンには有名であるが、当書で写真をはじめ、各情報があらためて紹介されており興味深い。石灰搬送用の「ひょろひょろ」という形容がふさわしい軌道が醸し出す得も言われぬ雰囲気の魅力に打たれる人は多いだろう。さらに同地にあった住友セメント唐沢鉱山軌道の様子も紹介されており、実に楽しい。こんな軌道が現在も運用されているのだったら、是非にも訪れてみるところなのだが。 「続・思い出の東京都港湾局臨海線」は、前巻からの連続記事。当巻で掲載されている日本水産の重厚なコンクリート建築を背景にしたディーゼル機関車の重々しい写真は、重工業地帯の情感に満ちて美しい。 「記憶の奥のトロッコ探索」では、トロッコのある風景が紹介される。使用を終えたトロッコが、自然に帰り行く周囲の中でたたずむ過去の一瞬などが紹介される。夕張にあったポール集電の電気機関車の廃車体、佐久の北中込の製材所の風景、静岡県河津町の金山跡に残されたレールなど、いずれも印象的。 「東大秩父演習林軌道・滝川森林鉄道跡をめぐる」は竹内氏ならではの森林鉄道跡のレポ。秩父にある入川森林鉄道は、軌道の一部、約2km強が、80年代のとあるひと夏だけ、資材搬送のために復活を遂げたことでフアンの間ではちょっと有名。現在もそのレールが一部残されているという。竹内氏の報告は、現在の軌道跡の様子を、重要なストラクチャーの写真と併せて、詳細に報告してくれている。ちなみに、入川森林鉄道が、80年代に限定復活した際の模様については、「トワイライトゾーンMANUAL 5」(絶版本)において、名取紀之氏による貴重な写真とともにレポートが掲載されている。また、その廃線跡については、平沼義之氏出演の映像作品「廃道ビヨンド」において、動画映像による紹介を見ることが出来る。本報告と併せて視聴することで、面白味が増すと思う。

ココパナ さん | 北海道 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • えすてい さん

    本社の地元民ながら、日車が産業用(坑内用)ディーゼル機関車「UDLシリーズ」を大量に製造してたのは知らなかった。こういう機関車はニチユを筆頭に日立・加藤等が主要メーカーだったのは知ってたが、日車も相当なシェアでUDLは600両を超すとか。UDLのカタログが本書に載っている。ニチユ製のこのタイプのDL、高知県「創造広場アクトランド」に保存展示された四国鉱発白木谷鉱山 ニチユ製104号機の記事には日立鉱山ビューゲル付き客車よりも「見惚れた」。今は殆ど見られなくなった産業用DLの詳細を少しは知ることができた。

  • えすてい さん

    ナローゲージを中心に、日本から消え去った、そして書店で鉄道コーナーにあるメインの鉄道雑誌や鉄道書籍でも殆ど取り上げられることのない車両(産業用・専用線)や、ナローゲージの機関車・客車、フルサイズの鉄道風景でも消え去った知られざる鉄道を写真とともに追憶していくもの。日立鉱山専用電気鉄道のビューゲル付き客車(電車ではなく照明用の電気をビューゲルから集電)、これは吉川文夫の著書で知ってた。専用線には軌道状態の劣悪なものも少なくなかったので、脱線も頻発してたらしい。小型車両だから簡単にレールに戻せたようだ。

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