基本情報
内容詳細
アウシュヴィッツのナチ将校、アイヒマン裁判への透徹した観察。〈悪〉の陳腐さを衝いた問題作。
■ 映画「ハンナ・アーレント」(マルガレーテ・フォン・トロッタ監督)
2013年10月26日岩波ホールほか、全国順次ロードショー。
世界的スキャンダルを巻き起こした、ナチス戦犯アイヒマンの裁判レポート。
60年代初頭、悪とは何か、愛とは何かを問い続けた哲学者アーレント、感動の真実。
***
「この本は全体として思考の独立性のすばらしい証言です。……彼女が哲学的にも思想的にも徹底した、アウグスティヌスの愛の概念についての研究で正学位を得たとき、それもまだごく若く、たしか23歳だったと思いますが、教授資格を得るようにと人々は勧めました。それを彼女は拒絶した。彼女の本能は大学を拒んだ。彼女は自由でありたかったのだ。1933年に彼女は著述を一切放棄した。……彼女はユダヤ人の目的のための実践活動に入り、シオニスト協会に加入した。……戦争中彼女は評論を書きはじめました。大抵政治的なものです。戦後になって一作また一作と著書があらわれた。……彼女がそれによって生きる根本のものは、真理への意志、真の意味における人間的存在、幼年時代にまで見られる限りない誠実、そしてまた、逮捕(1933)と証券なしの国外移住のときに味わった極度の孤独の経験です。」ヤスパース、1965
ハンナ・アーレントは1906年生れのユダヤ人。ヤスパースのほかに、ブルトマン、ハイデッガー、フッサールについて学んだ。亡きシモーヌ・ヴェイユとならび、今日もっとも大きな知的影響力をもつ女性である。
【目次抄】
読者に
第1章 法廷
第2章 被告
第3章 ユダヤ人問題専門家
第4章 第一の解決――追放
第5章 第二の解決――強制収容
第6章 最終的解決――殺戮
第7章 ヴァンゼー会議、ポンテオ・ピラト
第8章 法を守る市民の義務
第9章 ライヒ――ドイツ、オーストリアおよび保護領――からの移送
第10章 西ヨーロッパ――フランス、ベルギー、オランダ、デンマーク、イタリア――からの移送
第11章 バルカン――ユーゴスラヴィア、ブルガリア、ギリシャ、ルーマニア――からの移送
第12章 中欧――ハンガリア、スロヴァキア――からの移送
第13章 東方の殺戮センサー
第14章 証拠と証人
第15章 判決、上告、処刑
エピローグ
あとがき
ハンナ・アーレント Hannah Arendt
1906年ドイツのハノーヴァーに生れる。
マールブルク大学でハイデッガーとブルトマンに、ハイデルベルク大学でヤスパースに、フライブルク大学でフッサールに学んだ後、1928年ヤスパースのもとで「アウグスチヌスにおける愛の概念」のテーマで学位を得る。ナツィの政権掌握の1933年、ユダヤ人である彼女はパリヘ亡命し、著述を一切断念して実践活動に入り、シオニスト協会に加わる。1941年パリ陥落によりアメリカヘ亡命。プリンストン、シカゴ等の大学で講義し、ニュー・スクール・フォー・ソーシァル・リサーチの教授を勤める。1975年ニューヨークで没す。著書は『全体主義の起原』(全3巻、みすず書房、1972-74)『暗い時代の人々』(河出書房、1972)『暴力について』(みすず書房、1973、2000)『人間の条件』(中央公論社、1973)『革命について』(中央公論社、1975)『カント政治哲学の講義』(法政大学出版局、1987)『パーリアとしてのユダヤ人』(未來社、1989)『精神の生活』(全2巻、岩波書店、1994)『過去と未来の間』(みすず書房、1994)『ラーエル・ファルンハーゲン』(みすず書房、1999)『アウグスティヌスの愛の概念』(みすず書房、2002)が邦訳されている。
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(haro-n) さん
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藤月はな(灯れ松明の火) さん
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扉のこちら側 さん
読了日:2012/08/12
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