Free Design

Free Design (フリー・デザイン) プロフィール

Free Design | プロフィール | CD、DVD、ブルーレイ(BD)、ゲーム、グッズなどを取り扱う【HMV&BOOKS online】では、コンビニ受け取り送料無料!国内最大級のECサイトです!いずれも、Pontaポイント利用可能!お得なキャンペーンや限定特典アイテムも多数!支払い方法、配送方法もいろいろ選べ、非常に便利です!

現在ソフト・ロックという括りで呼ばれているグループの中でも、フリー・デザインはその高い音楽性で非常に高い人気を誇るグループだ。「高い音楽性」という言葉を使ったが、彼らのサウンドは決して表面的に難しいという類のものではないのでご安心を。彼らの場合、ホントに美しく、ウキウキしてくるようなサウンドで、誰もが親しめるものに仕上げているのがエライのだ。

また、海外よりも日本での方が早く再評価されたということも付け加えておこう(ポリスター内の、コーネリアスこと小山田圭吾氏のレーベル、トラットリアから世界に先駆けて1st、2nd、4th、6thの計4枚が’90年代中期ごろCD化された(1999年末の時点で1st〜6thまでのアルバムがテイチクから、7thが徳間ジャパンから出ていたが現在は一部が廃盤)。

フリー・デザインはニューヨーク出身のデドリック兄弟からなるファミリー・バンド。彼らの高い音楽性はグループの作・編曲を手掛ける中心メンバー、クリス・デドリックの才能に負うところが大きい。クリスはニューヨーク州立大学で音楽を学び、その後マンハッタン音楽学校でジャズやクラシックなどオールラウンドにトランペットを専攻した優秀な学生だった。フリー・デザインに見られる、ジャズやクラシック、ボサノヴァの空気感・和声などを援用した浮遊感に溢れたサウンドは、こうしたアカデミックなバックグラウンドがあってのことだったのだ。

クリスの兄弟、長兄ブルース、妹のサンディはクリスと共に三人で、週末に集まってはフォーク・ソングを歌うようになった。音楽一家の兄妹だけあってピッタリと息のあったハーモニーを聴かせた彼らは、そのうちに周辺のフォーク・クラブに出演するようになる。これがフリー・デザイン結成のキッカケだった。

グループのためにオリジナル曲を書くようになったクリス。彼の作る曲は当然兄弟のコーラスを活かしたもので、尚且つ音楽理論に基づく高度な和声構造を持ち込んだその曲は当時のフォーク、ポップスのレベルからいってもダントツにプログレッシヴな印象を聴くものに与えたのだった。父親の援助もあってデモ・テープを制作した彼らは、そのテープをインディ・レーベルのプロジェクト3に持ち込んで契約を取り付ける。こうしてフリー・デザインというアートっぽい名前のグループはデビューを果たした。

’67年に発表されたデビュー作カイツ・アー・ファンは表題曲の出来が素晴らしく、彼らの代表作のひとつともいえる出来映えだ。既にこの時点で彼らの音楽上の特徴は完成されている。

’68年リリースの2ndユー・クッド・ビー・ボーン・アゲインから末妹のエレンが加入、四人組のグループとなった。この作品も音楽的には前作の延長線上にあり、1stに引けをとらない充実作だ。またこの年に彼らはクリスマス用の企画シングルも発売している(現在はテイチク盤のボーナス・トラックで聴ける)。

’69年の3rdヘヴン・アースは彼らの最高傑作とも呼ばれる作品になった。前二作に比べ、ジャズよりの要素などが目立ち、コーラスを含めたハーモニーの組み立て方などは恐ろしく複雑に計算されたのだろう、と思わせるサウンドが聴かれる(正直、楽典シロウトの私には理屈は解からないが)。別の言葉で表現すれば、気持ちイイ要素と何だか不可解でソワソワしてくるような感じが入り混じった印象の曲が並んでいるとも言えると思う。

’70年4thアルバムスターズ・タイム〜はやや地味な印象を残す作品となったが、同年発表の5thソング・フォー・インポータント〜は人気の高い作品となっている。子供たちに捧げたアルバムとクリス自身が語っているように、"セサミ・ストリート"のお馴染みのテーマ曲などが収められた企画盤だ。サウンド的にはシンプルな作風になっていて、アコーステイック・ギターやピアノなどを全面に出した、落ち着いた、でもキュートな仕上がり。サウンドもさることながら、子供たちのことをインポータント・ピープルと呼ぶタイトルにも、クリスの優しい感受性を感じる。この頃グループから長兄のブルースが脱退。

’71年の6th"ワン・バイ・ワン"はサウンド的に、ややくすんだ印象を受ける作品。ポップなサウンドが花開いた’60年代の空気感は消え、よく60’sのポップス・グループが’70年代に通り易い70’sぽい感触とも言えるだろうか。

’73年7thにしてラスト・アルバムゼア・イズ・ア・ソング 発表。アコースティック色の強いこの作品は唯一CD化が遅れたが1999年に目出たくリリースの運びとなった。ここで彼らのグループとしての活動は終わってしまうが、その後クリスはセッション・シンガーやアレンジャーなどのスタジオ仕事をしたり、CM音楽やTV音楽(ヒッチコック劇場、トワイライト・ゾーンなど)の分野でも活動。業界を支える裏方仕事で活躍した。

Compilations
本文で日本でのフリー・デザイン再評価が早かった、と書いたが’90年代後半に入ってリリースされた海外での初フリー・デザインCDがBubbles。英米以外のギター・ポップ系作品を多くリリースするスペインのSiestaレーベルから(この辺り旧渋谷系的再評価が決め手となった日本の状況と似ている)。内容は代表曲を聴かせるコンピレーション。続編的なRaindrops、Umbrellaも出た。またいち早くフリー・デザインクリスマス・シングルを限定アナログでリリースしたのがSiestaだった。但し、現在ではオリジナル・アルバムにボーナス・トラックを付けて発売したテイチク盤で聴ける。またRaindropsの後に、アメリカのレーベル Verse Saravandeからもベスト盤が出たのもまだ記憶に新しいところ。いよいよ世界規模の再評価となりますか?

Chris Dedrik
かねてから、‘72年に録音したクリス・デドリックの幻のソロ作品が存在するという話があり(一部は米Verse Saravande盤で聴けるようになってたが)、2000年になってエアメイル・レコーディングスから Be Free のタイトルで陽の目を見た。SSW風味にクリス一流のプログレッシヴなコード進行が絡む秀作だった。

%%message%%