Ettab: ハウサのディーヴァ

ハウサを代表する女性歌手の1992年の傑作！

サウジアラビア出身で、歌手／女優として活躍したことで知られたのがエッタブ（ETTAB）。彼女は1947年に首都リヤドで生まれたハウサ人（サヘル地方の人々）の末裔（2007年没）で、同国出身の女性アーティストとしては唯一、国際的なキャリアを持っていることで広く知られています。

1960年代よりキャリアをスタートさせた彼女は、「サウジアラビア初の女性歌手」として公の場で活躍するようになりました。もちろんアラブの中でも特に戒律の厳しい同国において女性が歌手として活動することには多くの障害がありました。当時若い少女たちが自分自身を表現すること自体拒まれた時代でしたが、そんな社会常識に風穴を開けたひとりがこのエッタブでした。彼女は1966年にファウジ・アル＝シモーニ作曲の「Ya Bent」を披露、その後クウェートに移って音楽シーンを席巻する新しい女性の声として注目されるようになりました。さらに1972年、エジプトのスター歌手アブデル・ハリム・ハーフェーズが、女性バンドと共演しサウジアラビアの民謡を歌ったコンサートで彼女を紹介したことで、さらなる知名度を獲得するまでになりました。

その後1980年にアラブ世界の音楽の中心地エジプト・カイロに亡命した彼女が、1992年にレバノンのレーベル、Relax-inで制作したのが本作で、彼女の代表作のひとつとして知られています。ハウサの音楽っぽいドロ臭さを感じさせるメロディ・ラインを、彼女の美声と共に、シンセを交えたポップなアレンジに仕立て上げて現代化をはかっている点に大きな聴き所が感じられます。 エッタブは生涯15枚のアルバムと数本の映画出演の後、2007年にカイロで亡くなるまで、アラブ音楽界における女性の権利擁護に人生を捧げ、アラブ世界、特に母国サウジアラビアを代表する女性アイコンとなりました。本作はアラブ音楽のファンには欠かせない傑作であり、本作がそんな彼女の再評価に繋がることは間違いありません。

（メーカーインフォメーションより）