発売以来40年近くも我が家のターンテーブルとCDトレイに収まり続けている(わたしにとっての)怪物的作品です。曲調と録音が素晴らしく、ギターのサステインにはメロメロになってしまいますし、ドラムズは地面に杭を打ち込むごとき、です。一級品の風格を漂させていても、バンド名に現れているとおり、高性能のB級ロックとして聴くことが正解でしょう。よく言われているような、捨て曲なしの完璧なアルバムなどではなく、けっこうしょうもない曲もありますし、ホーンのアレンジなんかは田舎くさいです。ところが、ビートの確かさとギター、ベースの的確さ、デ・バレスの存在感でそれを感じさせない、都会的なハードロックになっています。
3. Grim Reaper 、6. Aint None Of Your Business には曲が破たんする寸前ぐらいのカッコよさがあります。今になって思うのは、このバンドのメイン・クリエーターが誰だったのか、ということです。マイケル・デ・バレスは曲が書けるタイプではありませんし、ましてトニー・ケイは参加していただけでしょう。おそらくステッペン・ウルフ出身のモナークが曲を提供していたに違いないのですが、あまりにも垢抜けたスタイルです。これもよく言われているジミー・ペイジの傀儡グループだったとする説にもわたしは与しません。
最後にドラムズのジョン・ハイドとベースのボビー・ピケット。確かな腕前を聴かせるふたりなのに、ほとんど他の活動歴が知らされていません。デ・バレス以外のボーカルはハイドによります。