注文した直後にリヴィング・ステレオ第2集のセットが出て、あまりのダブりの多さに「いやあ、しまった」と思ったのですが、どうしてどうして。リヴィング・ステレオの第1集にも第2集にも収録されてないものの中に、けっこうな聴きものがあるではないですか。個人的にはベートーヴェンのコリオラン序曲、ギレリスとのチャイコフスキーの協奏曲を、同曲中最高の名演奏として推薦します。また意外な(?)名演奏がモーツアルトの「ジュピター」。ピリオドやそれをまねたインチキなモーツアルトばかりがもてはやされる昨今、「こんな演奏が聴きたかった」と思える、透明で純粋な演奏。ワルターやセルも一気に吹っ飛んでしまいます。これも文句なしの最高の名演。しかし何といっても、これらを上回る圧巻の演奏がスメタナの「売られた花嫁」序曲。完璧なアンサンブルはもちろん、驚くほどの透明感を持った演奏、凄すぎです。こんな凄い演奏ができるのはあとはセルしかいませんが、透明感の高さ、録音状態の良さでこの盤が圧倒的に優位でしょう。いままでこの指揮者をどちらかといえば敬遠していたことに後悔しきり。単に切れ味が鋭いだけの、四角四面の指揮者などでは間違ってもありません! これをお聴きになってぜひ確かめてください。本当に澄み切った「歌」が聴こえてきます。