エーリヒ・クライバー・デッカ・レコーディングズ(12CD)
父クライバーのDECCA音源を網羅した12枚組ボックス。『英雄」と『田園」は2種類の録音を収録し、ケルン放送交響楽団を指揮したWDR制作・デッカ発売の放送用ライヴ音源も収録。オペラ全曲録音の『フィガロの結婚」と『ばらの騎士』も含む本格的な内容です。
録音は『フィガロの結婚』を除きすべてモノラルですが、プロデューサーにジョン・カルショウやヴィクター・オロフ、エンジニアにケネス・ウィルキンソンほかを起用したチームによる音質はモノラルながら品質が高く、細部まで凝ったエーリヒ・クライバーの音楽を鑑賞するのにそれほど不足はないため、往年のウィーン・フィルやコンセルトヘボウ管弦楽団の濃厚なサウンドの魅力を十分に味わうことができます。
2つのオペラでの豪華なキャスティングを見ると、エーリヒ・クライバーの人気の大きさも窺われますし、実際、1956年のウィーン・フィル初となるアメリカ・ツアーへの指揮者にも選ばれるほどだったので(代役はシューリヒトとクリュイタンス)、65歳での急死はとても残念なことでした。
エーリヒ・クライバーはまた、息子のカルロスに影響力があったことでも知られており、たとえばベートーヴェンの交響曲第7番第2楽章の終わりの部分などにもそうしたことは確認可能なので、このセットに収められたいくつもの演奏に別な楽しみ方を与えてもくれます。(HMV)
【収録情報】
Disc1
● ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調 Op.55 『英雄』
● ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調 Op.92
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音時期:1950年5月
録音場所:アムステルダム、コンセルトヘボウ大ホール
録音方式:モノラル(セッション)
Disc2
● ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調 Op.67 『運命』
● ベートーヴェン:交響曲第6番 ヘ長調 Op.68 『田園』
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音時期:1953年9月
録音場所:アムステルダム、コンセルトヘボウ大ホール
録音方式:モノラル(セッション)
Disc3
● ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調 Op.55 『英雄』
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音時期:1953年4月
録音場所:ウィーン、ムジークフェラインザール
録音方式:モノラル(セッション)
● ウェーバー:交響曲第1番ハ長調 Op.19
ケルン放送交響楽団
録音時期:1953年9月
録音場所:ケルン、フンクハウス
録音方式:モノラル(ライヴ)
Disc4
● ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調 Op.125 『合唱』
ヒルデ・ギューデン(S)
ジークリンデ・ワーグナー(A)
アントン・デルモータ(T)
ルートヴィヒ・ウェーバー(Bs)
ウィーン楽友協会合唱団
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音時期:1952年6月
録音場所:ウィーン、ムジークフェラインザール
録音方式:モノラル(セッション)
Disc5
● ベートーヴェン:交響曲第6番ヘ長調 Op.68 『田園』
● モーツァルト:交響曲第40番ト短調 K.550
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
録音時期:1948〜1949年
録音場所:ロンドン、キングズウェイ・ホール
録音方式:モノラル(セッション)
Disc6
● モーツァルト:4つのドイツ舞曲 K.600/1、K.600/5、K.602/3、K.605/3
● モーツァルト:交響曲第39番変ホ長調 K.543
● シューベルト:交響曲第9番ハ長調 D.944 『ザ・グレート』
ケルン放送交響楽団
録音時期:1956年1月(モーツァルト)、1953年11月(シューベルト)
録音場所:ケルン、フンクハウス
録音方式:モノラル(ライヴ)
Disc7-9
● モーツァルト:『フィガロの結婚』全曲
チェーザレ・シエピ(Bs:フィガロ)
アルフレート・ペル(Br:アルマヴィーヴァ伯爵)
リーザ・デラ・カーザ(S:アルマヴィーヴァ伯爵夫人)
ヒルデ・ギューデン(S:スザンナ)
スザンヌ・ダンコ(S:ケルビーノ)
ヒルデ・レッスル=マイダン(Ms:マルチェリーナ)
フェルナンド・コレナ(Bs:バルトロ)
マーレイ・ディッキー(T:ドン・バジリオ)
フーゴ・マイヤー・ヴェルフィンク(T:ドン・クルツィオ)
アニー・フェルバーマイヤー(S:バルバリーナ)
ハラルト・プレーグルヘフ(Bs:アントニオ)
スザンヌ・ダンコ(S:少女-1)
アニー・フェルバーマイヤー(S:少女-2)
ウィーン国立歌劇場合唱団
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音時期:1955年6月
録音場所:ウィーン、レドゥーテンザール
録音方式:ステレオ(セッション)
Disc7-9
● R.シュトラウス:『ばらの騎士』全曲
元帥夫人:マリア・ライニング
オックス男爵:ルートヴィヒ・ヴェーバー
オクタヴィアン:
セーナ・ユリナッチ
ファーニナル:アルフレート・ペル
ゾフィー:
ヒルデ・ギューデン
マリアンネ:ユーディト・ヘルヴィヒ
アンニーナ:ヒルデ・レッスル=マイダン
ヴァルツァッキ:ペーター・クライン
歌手:アントン・デルモータ
警部:ヴァルター・ベリー
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音時期:1954年5月29日-6月28日
録音場所:ウィーン、ムジークフェラインザール
録音方式:モノラル(セッション)
エーリヒ・クライバー(指揮)