『啓蒙主義の時代』〜18世紀の音楽(29CD+1CD−ROM)
初回生産完全限定盤
ハルモニアムンディ・フランスから魅力的なボックス・セットの登場。同社の質の高い音源を用い、個別のテーマに沿って再編成するという凝った内容で、充実のブックレット、いつもながらの美しいパッケージ、そしてお買得な価格設定と良い条件の揃ったセットです。
今回のテーマは「啓蒙主義」。この時代は、理性によって世界のさまざまな事象について理解しようという「啓蒙思想」が市民社会にも広まり、音楽の分野でも、ルソーとラモーらによる「ブフォン論争」などを経て、バロック時代の王宮や教会での装飾過多気味でポリフォニックなスタイルから、旋律と伴奏という構造がくっきりしているホモフォニーへ移行しつつありました。
ソナタ形式の確立に伴う、ピアノ・ソナタや交響曲といったジャンルの発展や、室内楽ジャンルの大幅な進化。オペラでも、バロック時代の声楽作品のアリアに多くみられた繰り返しや簡易伴奏などの影響を残しつつも、過剰な装飾や、特定の歌手の技巧を主眼としたスタイルを避け、グルックの「オペラ改革」などを経て、音楽と劇の融合を目指した美しい作品が生みだされるようになるなど、大きな変化のあった時代でした。
こういった歴史の流れをわかりやすく把握できるように配慮してつくられたこのボックスは、廃盤で入手困難となっていた音源も駆使し、さらにオペラ全曲録音を3つも収めるなど、たいへん充実した編成内容となっています。
I. LE CLAVECIN FRANCAIS〜フランスのクラヴサン作品
Disc1:フランスのクラヴサン曲集
・F.クープラン:第25組曲、第26組曲&第6組曲
クリストフ・ルセ(チェンバロ)
録音:1993年9月、1994年5月
高名なオルガン奏者を輩出した一門の出身であるフランソワ・クープラン[1668-1733]は、トムランやダングルベールの影響を受けてクラヴサン弾きとなり多数の作品を残しています。円熟期に書かれ、クープランのクラヴサン人生の総決算とも言われる27の組曲から成る「クラヴサン曲集」から、ここでは古楽ファンに人気の「神秘的なバリケード」も入った第6組曲のほか、第25組曲と第26組曲を収録しています。
これらの作品にクリストフ・ルセが挑んだのは、彼がまだ30代前半だった頃ですが、その演奏には揺るぎのない自信があふれ、たしかな構成感、新鮮で瑞々しい感性、運動性、そして歌心と、全てにおいて驚異的な出来栄えを示すものとなっています。
・J-P.ラモー:コンセール用のクラヴサン曲集より第1番、第5番
クリストフ・ルセ(チェンバロ)、寺神戸亮(ヴァイオリン)、上村かおり(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
録音:1992年3月
ジャン=フィリップ・ラモー[1683-1764]は、オペラの世界で名を馳せたフランスの作曲家。ラモーによる唯一の室内楽である「コンセール用のクラヴサン曲集」は、サロンでの演奏用にと出版されたクラヴサンのソロを中心にした音楽で、オペラの作曲を重ねながら到達したラモーの円熟したスタイルを反映する作品群とみなされています。 若きルセの華麗なクラヴサンと、それを絶妙な間合いで支える寺神戸亮のヴァイオリンと、上村かおりのヴィオラ・ダ・ガンバによる優れた演奏です。
II. LA MUSIQUE SACREE〜宗教音楽
Disc2:宗教音楽=哀歌のたそがれ
・カンプラ:レクィエム
フィリップ・ヘレヴェッヘ(指揮)シャペル・ロワイヤル
録音:1986年8月
ヴェルサイユ楽派の作曲家、アンドレ・カンプラ[1660-1744]は、大聖堂で宗教教育を受け、聖歌隊に入って教会音楽の修行を積み、17歳で司祭となり33歳でパリのノートルダム大聖堂の楽長まで登りつめます。
しかし、若い頃から聖と俗、教会と劇場のあいだを揺れ動く傾向のあったカンプラは、ここでの在職中に、劇場音楽であるオペラ・バレエ『優雅なヨーロッパ』を作曲、立場上の問題から弟の名前で発表するものの、大きな成功を収めてしまったために後に事実が発覚、大聖堂の楽長の地位を追われることになってしまうのです。
長年勤め上げてきた教会の職を失ったカンプラですが、音楽家としての名声はすでに高かったため、コンティ公の宮廷楽長に就任、今度は晴れて劇場で活躍し大いにその名を高めることとなります。その後、カンプラは59歳のときには再び宗教の世界に戻り、83歳で亡くなるまでに数多くの宗教音楽を書きあげています。
有名な「レクィエム」は、カンプラが紆余曲折を経て宗教の世界に戻って3年ほど経った1723年に書かれたもの。
作風は豊かな旋律に彩られたきわめて美しいもので、165年後に書かれたフォーレのレクィエムのピエ・イェズに似た旋律があったり、随所に透明で優しい雰囲気を漂わせるなど、フォーレに与えた影響はかなり大きいのではないかと思われます。
ヘレヴェッヘ初期の名録音として知られるこの演奏は、作品の魅力をきわめて美しく示したものにも関わらず長年廃盤だったので、今回の復活は大いに歓迎されるところです。
・ペルゴレージ:スターバト・マーテル
アンナ・プロハスカ(ソプラノ)、ベルナルダ・フィンク(アルト)、ベルリン古楽アカデミー
録音:2009年12月
豊かな才能を持ちながらも、26歳という若さで亡くなってしまった作曲家、ジョヴァンニ・バッティスタ・ペルゴレージ[1710-1736]。ナポリの「悲しみの聖母騎士団」からの委嘱によって作曲された最後の作品『スターバト・マーテル(悲しみの聖母)』は、数ある同名の作品の中でも最も美しいとされる不朽の名作です。
重要な役割を果たすアルトを歌うのはベルナルダ・フィンク。コントロールの効いた、落ち着いた歌声が、十字架の下で嘆き悲しむ母マリアを切々と歌いあげます。ソプラノに迎えられたのは、1983年生まれの若手注目ソプラノ、アンナ・プロハスカ。現代ものから古楽まで、ピンと筋のとおった美声で歌いこなします。器楽パートをうけもつベルリン古楽アカデミーの切れ味鋭い演奏からも哀切感が漂い、深く澄みきった哀しみが忘れがたい感銘を与えてくれます。
Disc3-4:オラトリオ
・ヘンデル:『ソロモン』全曲
サラ・コノリー(アルト:ソロモン)
スーザン・グリットン(ソプラノ:ソロモンの王妃、第1の遊女)
キャロリン・サンプソン(ソプラノ:シバの女王、第2の遊女)
マーク・パドモア(テノール:ザドク、従者)
デイヴィッド・ウィルソン=ジョンソン(バス:レヴィ人)
ダニエル・ロイス(指揮)ベルリン古楽アカデミー、RIAS室内合唱団
録音:2006年5月
第3幕のシンフォニアが「シバの女王の入城」として知られる大作『ソロモン』は、ヘンデルが晩年に書いたオラトリオで、旧約聖書に現れる古代イスラエル王ソロモンが題材。第2幕に「大岡裁き」ともいうべき場面があることでも有名なこの作品ですが、肝心な音楽も充実したもので、力の入った合唱曲のほか、ソロや重唱にも聴きごたえあるナンバーが揃っています。
ダニエル・ロイス(レウス)は1961年生まれのオランダ人指揮者。2003年から2006年までRIAS室内合唱団の首席指揮者を務めており、この録音でもRIAS室内合唱団を完璧にコントロールして、ヘンデル晩年の書法の熟達をみごとに再現。歌手陣も、スーザン・グリットン、キャロリン・サンプソン、マーク・パドモア、サラ・コノリーと、有名どころが揃い、伴奏のベルリン古楽アカデミーもいつもの切れ味の良い演奏で大作を引き締めます。
III. LE CONCERTO〜協奏曲
Disc5:バロック協奏曲の典型
・ヴィヴァルディ:四季
ミドリ・ザイラー(ヴァイオリン)、ベルリン古楽アカデミー
録音:2009年9月
有名なヴィヴァルディの『四季』の過激な演奏。「夏」の嵐も、弦楽器の弓が弦にひっかかる感触、ミドリ・ザイラーのソロは、まるでロックかと思うような印象。アンサンブルが刻むリズムも、単に激しいだけでなく、打ち付ける雨粒、足元からずぶぬれになるような錯覚をおぼえるほど。美しい風景画ではなく、どこまでもリアルな感触の『四季』です。
・テレマン:ヴァイオリン協奏曲『蛙』
ベルリン古楽アカデミー
録音:2001年3月
柔軟な考えの持ち主で好奇心旺盛だったテレマンは、さまざまなスタイルの作品を書きましたが、中には非常に風変わりな作品もあり、たとえばここに収録されたヴァイオリン協奏曲イ長調には、蛙の鳴き声を真似た部分があるなど、実にユーモラス。ミドリ・ザイラーとベルリン古楽アカデミーによる活気のある演奏は、テレマンの楽しさをよく伝えてくれます。
・J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲第6番変ロ長調 BWV1051
アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージック、リチャード・エガー(チェンバロ、指揮)
録音:2008年5月
バッハの代表作でもあるブランデンブルク協奏曲は、作曲時期がバラバラの作品を集めて出版された曲集で、中で最も早い時期に書かれたのが、ここに収められた第6番となります。バッハ若き日、ヴァイマールの宮廷楽団時代の作品と推測されるこの第6番は、ヴァイオリンを除く弦楽合奏とチェンバロという制約の多い編成で演奏される独特な音楽。
イギリスのチェンバロの名手リチャード・エガー指揮するアカデミー・オブ・エンシェント・ミュージックの演奏は、弾むリズムとエッジの効いた表現によりメリハリのある仕上がりとなっています。
・ヘンデル:オルガン協奏曲op.4-3
アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージック、リチャード・エガー(オルガン、指揮)
録音:2006年11月
オラトリオの幕間に演奏されるために書かれたというヘンデルのオルガン協奏曲は、その目的ゆえか、気分転換にうってつけの明るく親しみやすい曲調が印象的で、ペダルのない小型オルガン前提のフットワークの軽い音楽が独自の魅力を放っています。
オルガンも巧みに弾くリチャード・エガーの手腕はここでも確かで、アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージックの面々とともに、なんともフレンドリーな演奏を聴かせています。
Disc6:ヨーロッパ征服
・タルティーニ:合奏協奏曲第5番ハ長調(メネジーニ作:ソナタop.1-5の編曲)(録音:1994年12月)
・タルティーニ:ヴァイオリン協奏曲イ短調(録音:1994年12月)
エンリコ・ガッティ(ヴァイオリン)、キアラ・バンキーニ(指揮)アンサンブル415
・モン:チェロ協奏曲ト短調(録音:2003年3月)
ジャン=ギアン・ケラス(チェロ)
ペトラ・ミュレヤンス(指揮)フライブルク・バロック・オーケストラ
・C.P.E.バッハ:チェンバロ協奏曲第5番ト長調Wq.43(録音:2010年5月)
アンドレアス・シュタイアー(チェンバロ)
ペトラ・ミュレヤンス(指揮)フライブルク・バロック・オーケストラ
・J.Ch.バッハ:チェンバロ、2つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲変ホ長調op.7-5(録音:1990年10月)
ロンドン・バロック、ラルス=ウルリク・モルテンセン(チェンバロ)
イングリート・ザイフェルト、リチャード・ギルト(ヴァイオリン)
チャールズ・メドラム(チェロ)
Disc7:パリからウィーンへ
・ハイドン:ヴァイオリン協奏曲第1番ハ長調Hob.VIIa:I(録音:2009年8月)
フライブルク・バロック・オーケストラ、ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ(ヴァイオリン、指揮)
・モーツァルト:協奏曲ニ長調K.107 no.2 (K.21 b,2) (J.Ch.バッハのピアノ・ソナタop.5-3による)(録音:1990年10月)
ロンドン・バロック
・モーツァルト:協奏交響曲変ホ長調 K.297-b(録音:2005年4月)
ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ(指揮)フライブルク・バロック・オーケストラ
・プレイエル:チェロ協奏曲Ben.106(録音:1996年2月)
イヴァン・モニゲッティ(チェロ)
ステファン・マイ(指揮)ベルリン古楽アカデミー
Disc8:古典派の協奏曲
・モーツァルト:ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467(録音:2006年4月)
ステファン・ヴラダー((指揮)ピアノ)、カメラータ・ザルツブルク
・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調 op.19(録音:2009年7月)
ポール・ルイス(ピアノ)イエジ・ビエロフラーヴェク(指揮)BBC交響楽団
IV. LA SYMPHONIE〜交響曲
Disc9:シンフォニアからシンフォニーへ
・ジュゼッペ・サンマルティーニ:シンフォニア ニ長調 JC14、ト長調 JC39(録音:1986年6月)
キアラ・バンキーニ(指揮)アンサンブル415
・W.F.バッハ:交響曲へ長調 Falck 67(録音:2001年10月)
ステファン・マイ(指揮)ベルリン古楽アカデミー
・C.P.E.バッハ:管弦楽のシンフォニア第1番Wq.183-1(録音:2006年3月)
アンドルー・マンゼ(指揮)イングリッシュ・コンソート
・J.Ch.バッハ:交響曲ト短調op.6-6(録音:2002年10月)
ステファン・マイ(指揮)ベルリン古楽アカデミー
・ボッケリーニ:交響曲ニ長調op.12-4『悪魔の棲む家』(録音:1988年7月)
キアラ・バンキーニ(指揮)アンサンブル415
Disc10:オーケストラの演奏
・ハイドン:交響曲第6番ニ長調『朝』、交響曲第7番ハ長調『昼』(録音:2001年10月)
ペトラ・ミュレヤンス(指揮)フライブルク・バロック・オーケストラ
・モーツァルト:交響曲第31番ニ長調K.297『パリ』(録音:2005年4月)
ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ(指揮)フライブルク・バロック・オーケストラ
Disc11:古典主義の記念碑
・ハイドン:交響曲第92番ト長調『オックスフォード』(録音:2004年2月)
・モーツァルト:交響曲第41番ニ長調K.551『ジュピター』(録音:2006年8月)
ルネ・ヤーコプス(指揮)フライブルク・バロック・オーケストラ
Disc12:交響曲
・ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調 op.125『合唱つき』(録音:1998年10月)
メラニー・ディーナー(ソプラノ)、ペトラ・ラング(アルト)
エンドリク・ヴォットリヒ(テノール)、ディートリヒ・ヘンシェル(バリトン)
フィリップ・ヘレヴェッヘ(指揮)シャペル・ロワイヤル、コレギウム・ヴォカーレ
V. L’OPERA〜オペラ
Disc13-15:フランス・オペラ(トラジェディ・リリック)の最後の栄光
・ラモー:歌劇『カストールとポリュックス』全曲
ハワード・クルック(テノール:カストール)
ジェローム・コレア(バリトン:ポルクス)
アニェス・メロン(ソプラノ:テライール)
ヴェロニク・ジャンス(ソプラノ:フェベ)
サンドリーヌ・ピオー(ソプラノ)
マーク・パドモア(テノール)
レザール・フロリサン
ウィリアム・クリスティ(指揮)
録音:1992年9月
双子座の由来を語るギリシャ神話を題材とする『カストールとポリュックス』は、「オペラ作曲家ラモー」の名を後世に印象付けることになった作品で、ドビュッシーを感激させた話でも有名。派手な演奏効果も追求した表情豊かなオーケストラ・パートに、全編にわたって多用される合唱など、当時としては型破りの音楽に彩られた3時間近い傑作です。
演奏は、ラモーのエキスパートとしても名高いウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサンによるもので、歌手陣もクルック、コレア、メロン、ジャンス、ピオー、パドモアと有名どころがズラリ揃えられて高水準。
1993年にリリースされたこの全曲盤は長く廃盤だったので、今回の復活は嬉しいところです。
Disc16-17:グルックのオペラ改革
・グルック:歌劇『オルフェオとエウリディーチェ』全曲
ベルナルダ・フィンク(オルフェオ)
ヴェロニカ・カンジェミ(エウリディーチェ)
マリア・クリスティーナ・キール(アモール)
フライブルク・バロック・オーケストラ、RIAS室内合唱団
ルネ・ヤーコプス(指揮)
録音:2001年1月
名高い「オペラ改革」理論の最初の実践作としても知られるクリストフ・ヴィリバルト・グルック[1714-1787]の『オルフェオとエウリディーチェ』は、後世にも大きな影響与えた傑作。
ヤーコプスはカウンターテナー歌手だった時代、1982年にシギスヴァルト・クイケン指揮ラ・プティット・バンドの演奏で、オルフェオ役としてこの作品を録音、入念な表情付けで見事な歌唱を聴かせていました。それから19年を経たこの録音では、指揮者として全体を統率、より起伏のあるドラマティックな演奏を展開しています。
オルフェオ役には古楽メゾ・ソプラノの第一人者ベルナルダ・フィンクが起用され、美しく落ち着いた歌声で、オルフェオの変化に富む心情を切々と歌いあげます。ヴェロニカ・カンジェミによるエウリディーチェ役の濃い表現、マリア・クリスティーナ・キールの天使のように美しいアモールも魅力十分。フライブルク・バロック・オーケストラとRIAS室内合唱団の活気に満ちた演奏が、作品全体の雰囲気にリアルな面白さを付与しています。ウィーン版使用。
Disc18-20:人々の生活
・モーツァルト:歌劇『フィガロの結婚』全曲
サイモン・キーンリーサイド(アルマヴィーヴァ伯爵)
ヴェロニク・ジャンス(伯爵夫人)
パトリツィア・チョーフィ(スザンナ)
ロレンツォ・レガッツォ(フィガロ)
アンゲリカ・キルヒシュラーガー(ケルビーノ)
マリー・マクローリン(マルチェリーナ)
コビー・ヴァン・レンズブルク(ドン・バジーリオ)
アントーニオ・アベーテ(バルトロ,アントニオ)
ニコラウ・デ・フィゲイレド(フォルテピアノ)
コンチェルト・ケルン、コレギウム・ヴォカーレ・ヘント
ルネ・ヤーコプス(指揮)
録音:2003年4月
封建社会における貴族の振る舞いを痛烈に批判した戯曲を題材に書かれたモーツァルト屈指の傑作『フィガロの結婚』。ヤーコプスはこの作品に内在する強烈なエネルギーに注目し、ロココ趣味とは正反対の情熱的で変化に富むスタイルにより、起伏のあるドラマを鮮烈に描き出しています。
その自在なアプローチは、歌手たちも刺激し、サイモン・キーンリーサイドは切れこみ鋭く傲慢で愚かな伯爵を演じ、ヴェロニク・ジャンスは美しいアリアに乗せて伯爵夫人の悲哀をじっくり描出、さらに、ロレンツォ・レガッツォのフィガロ役、パトリツィア・チョーフィのスザンナ役、アンゲリカ・キルヒシュラーガーのケルビーノ役は、どれも高い集中力で人物像を生き生きと描き出しており、雄弁を極めた名手フィゲイレドのセッコ伴奏と併せて、ヤーコプスの解釈をみごとに血肉化、最高の情報量を作品から引き出すことに成功しています。
VI. ‘A TRE’〜3で
Disc21:バロックのトリオ・ソナタ集
・ヴィヴァルディ:ソナタ ハ短調 RV53
・テレマン:ソナタ イ短調 TWV 41:a3
ポール・グッドウィン(オーボエ)、ナイジェル・ノース(アーチリュート)
スーザン・シェパード(チェロ)、ジョン・トール(チェンバロ)
・J.S.バッハ:ソナタ ハ長調 BWV 1037(録音:1985年2月)
・C.P.E.バッハ:ソナタ ヘ長調 Wq.154(録音:1994年4月)
・J.Ch.F.バッハ:ソナタ イ長調 F.VII/2(録音:1995年11月)
ロンドン・バロック
・ショーベルト:ソナタ へ長調 op.XVI no.4(録音:1988年10月)
ルッチアーノ・スグリッツィ(ピアノフォルテ)
キアラ・バンキーニ、ヴェロニク・メジャン(ヴァイオリン)
フィリップ・ボスバッハ(チェロ)
Disc22:ソナタから古典派トリオへ
・クーナウ:クラヴィアの新しい成果、または豊かな創造と技巧の7つのソナタより第3、5、7番(録音:1991年10月)
ジョン・ブット(チェンバロ)
・モンドンヴィル:声とヴァイオリンを伴うクラヴサン曲op.5(録音:1980年1月)
ユディット・ネルソン(ソプラノ)、スタンリー・リッチー(ヴァイオリン)
ウィリアム・クリスティ(チェンバロ)
・モーツァルト:ソナタ ヘ長調K.376、ト短調K.378(録音:1993年7月、11月)
キアラ・バンキーニ(ヴァイオリン)、テメヌシュカ・ヴァッセリノーヴァ(ピアノフォルテ)
Disc23:ピアノ三重奏曲集
・ハイドン:ピアノ三重奏曲第43番Hob.XV:27(録音:2001年6月)
エリッヒ・ヘーバルト(ヴァイオリン)
クリストフ・コワン(チェロ)、パトリック・コーエン(チェンバロ)
・モーツァルト:ピアノ三重奏曲ト長調K.496(録音:1990年5月)
モーツァルティアン・プレイヤーズ
・ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第3番ハ短調 op.1-3(録音:2006年7月)
アンドレアス・シュタイアー(フォルテピアノ)
ダニエル・ゼペック(ヴァイオリン)、ジャン=ギアン・ケラス(チェロ)
VII. LA SONATE CLASSIQUE〜古典派のソナタ
Disc24:古典派のピアノ・ソナタI
・ハイドン:ピアノ・ソナタ集(録音:2001年8月、2007年10月)
第33番ハ短調Hob.XVI:20、第39番ニ長調Hob.XVI:24、第60番ハ長調 Hob.XVI:50、第62番変ホ長調 Hob.XVI:52
アラン・プラネス(ピアノ)
Disc25:古典派のピアノ・ソナタII
・モーツァルト:ピアノ・ソナタ集
ソナタ変ホ長調K.282、ハ長調K.330、へ長調K.332(録音:2003年3月)
アンドレアス・シュタイアー(フォルテピアノ)
ハ短調K.457(録音:2010年1月)
クリスティアン・ベズイデンホウト(フォルテピアノ)
Disc26:古典派のピアノ・ソナタIII
・ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集(録音:2005年、2006年)
第1番ヘ短調 op.2-1、第17番ニ短調op.31-2『テンペスト』、第21番変ホ長調op.53『ワルトシュタイン』
ポール・ルイス(ピアノ)
VIII. LE QUATUOR A CORDES〜弦楽四重奏
Disc27:四重奏の誕生
・テレマン:フルート、ヴァイオリン、チェロと通奏低音のためのソナタ第1番(パリ四重奏第4番)(録音:2010年2月)
フライブルク・バロックコンソート
・モーツァルト:弦楽四重奏曲第4番ハ長調K.157(録音:2010年9月)
・ハイドン:弦楽四重奏曲第39番ハ長調op.33-3, Hob.III:39『鳥』(録音:2008年9月)
エルサレム弦楽四重奏団
・シュターミッツ:オーボエと弦楽のための四重奏op.8(録音:1996年10月)
ポール・グッドウィン(オーボエ)
アンナ・マクドナルド(ヴァイオリン)
ジェーン・ロジャース(ヴィオラ)
ヘレン・ゴッホ(チェロ)
Disc28:四重奏の名曲
・モーツァルト:弦楽四重奏曲第17番変ロ長調K.458『狩』(録音:2010年2月)
・ハイドン:弦楽四重奏曲ニ短調 op.76-2『五度』(録音:2003年4月)
エルサレム弦楽四重奏団
・ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第6番変ロ長調op.18-6(録音:2006年、2007年)
東京クヮルテット
Disc29:最後の四重奏曲
・ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第13番変ロ長調op.130(録音:2008年8月、9月 東京、王子ホール)
・ベートーヴェン:大フーガ op.133(録音:2008年8月、9月 東京、王子ホール)
・ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第16番ヘ長調op.135(録音:2007年11月 東京、王子ホール)
東京クヮルテット
Disc30:声楽作品(オラトリオ・オペラ)の歌詞テキスト収録CD-ROM