日本語解説付き
緩急自在なマメリの歌唱が光る、発見の面白さ満載のバロック・アリア集
バロック作品の精緻な解釈で知られるイタリアのソプラノ歌手ロベルタ・マメリが、知られざるイタリア古楽の魅力を発掘・紹介してきた「ARCANA」レーベルから世に問う新たなソロ・アルバムは、巨匠メタスタージオ以前の最も重要なイタリア劇音楽台本詩人のひとりA.ゼーノ[1668-1750]が1705年に手がけたハムレット悲劇のオペラ台本『アンブレート』に光を当てるプログラム。この台本はシェイクスピアの戯曲より古い12世紀初頭の史料を典拠としており、ハムレットの母やシェイクスピア劇のオフィーリアに相当する女性ヴェレモンダが大きな役割を演じるユニークな内容。
ガスパリーニ作曲による第1作の後もたびたび新作が書かれており、マメリはそれら後続作からのナンバー含め、作曲家の知名度に惑わされず優れた曲を厳選、ゼーノの台本で描かれた女性たち、あるいは初演時カストラートが演じた男性たちの心理をしなやかに解釈してゆきます。若き日のヘンデルやD.スカルラッティの秘曲、ポッラローロやガスパリーニらヴィヴァルディ前夜のヴェネツィアを沸かせた大家たちの充実作に加え、古典派前夜の時代に活躍したカルカーニによる1742年作のアリア群もスタイリッシュで魅力的。さまざまなソリストと活躍する南仏リヨンの古楽器集団ル・コンセール・ド・ロテル・デューも端正にして熱のこもった演奏を聴かせ、未知の作品と出会う面白さを幾倍にも際出せてくれます。(輸入元情報)
【収録情報】
01. ジュゼッペ・カルカーニ[1703-1779]:激しい怒りを抑えられない、それに嫉妬も!(歌劇『アンブレート』 (1742) より)
02. フランチェスコ・ガスパリーニ[1661-1727]:わたしは運悪く囚われの身となり(歌劇『アンブレート』 (1705) より)
03. ヨハン・アドルフ・ハッセ[1699-1783]:4声のシンフォニア(イタリア風序曲)ト短調 Op.5-6(c.1740)
04. ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル[1685-1759]:あなたは桂冠を受けるに値しない(合作歌劇『アンブレート』 (1712) より 原作:歌劇『アグリッピナ』 (1709))
05. ガスパリーニ:星々よ、運命を統べる者たちよ(歌劇『アンブレート』 (1705) より)
06. カルカーニ:愛し続けなさい(歌劇『アンブレート』 (1742) より)
07. D.スカルラッティ[1685-1757]:シンフォニア ニ短調
08. D.スカルラッティ:わたしは運悪く囚われの身となり(歌劇『アンブレート』 (1715) より)
09. カルロ・フランチェスコ・ポッラローロ[c.1653-1753]:怒りにまかせて剛腕に武具をまとえば(合作歌劇『アンブレート』 (1712) より)
10. ガスパリーニ:シンフォニアまたは序曲ハ長調(合作歌劇『アンブレート』 (1712) より)
11. ガスパリーニ:かつて親しき薔薇に囲まれて育ち(歌劇『アンブレート』 (1705) より)
12. カルカーニ:わたしはもう、あなたには貞節を捧げられないのですね(歌劇『アンブレート』 (1742) より)
13. ガスパリーニ:たとえ戦場に喇叭が轟き、剣が入り乱れようとも(歌劇『アンブレート』 (1705) より)
ロベルタ・マメリ(ソプラノ)
ル・コンセール・ド・ロテル・デュー(古楽器使用)
フランク=エマニュエル・コント(指揮、チェンバロ)
A=415Hz
録音時期:2024年4月22-25日、6月30日
録音場所:リヨン、ランテルヌ新教教会
録音方式:ステレオ(デジタル)
世界初録音(01,05,06,08,12)
輸入盤国内仕様(日本語解説付き)
解説訳、歌詞訳:白沢達生