フェルディナント・ライトナー
アニヴァーサリー・エディション
ドイツの名匠ライトナーの記念ボックス
ドイツ・グラモフォンに200以上の録音を残したライトナーは1912年にベルリンで生まれ1996年にチューリヒで亡くなりました。彼は作曲をシュレーカー、指揮をプリューヴァー(ブラームスの愛弟子)に学んでいます。
芸風は暖かみのある弦楽に、木管などはときに第2オーボエなども強調して独特の立体感のある表現をおこなっていたのが印象的。
30年間シュトゥットガルト州立歌劇場の音楽監督を務めた後、チューリヒトーンハレ管首席指揮者、チューリヒ音楽院院長を歴任。
このセットは既発売のアルバムに、新譜『タメルラーノ』をセット化したものですが、評価の高かった『パルシファル』をバラで購入するよりお買得な価格設定となっております。
なお、2012年はライトナー・イヤーということで、北ドイツ放送交響楽団を指揮したライヴ録音集の発売も予定されています。(キングインターナショナル)
Disc1 (PH04063) 51:45
名女流モニク・アースとのモーツァルト:ピアノ協奏曲第23番ほか
【収録情報】
・ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲Op.56
シュトゥットガルト・ヴュルテンベルク州立管弦楽団
録音:1952年
・モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番イ長調K488
モニク・アース(P)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1953年1月23−25日
・ヴォルフ=フェラーリ:歌劇『マドンナの宝石』−間奏曲第1番
・ヴォルフ=フェラーリ:歌劇『マドンナの宝石』−間奏曲第2番
シュトゥットガルト・ヴュルテンベルク州立管弦楽団
録音:1949年4月28日
Disc2 (PH04051) 74:05
ハイドン『朝』『昼』『晩』
ハイドンの傑作交響曲3点セットの『朝昼晩』。近年早めのテンポの演奏が多い中、この楽々とした少しゆったりテンポはなんとも優雅。意外にもバイエルン放響の朝昼晩は初のCD。曲とバイエルン放響の美音的魅力が恐ろしくマッチ。空前の美演をライトナーの指揮のもと繰り広げています。絶品としかいいようのないハイドンでございます。音質も良好。
【収録情報】
・ハイドン:交響曲第6番ニ長調Hob.I-6『朝』
・ハイドン:交響曲第7番ハ長調Hob.I-7『昼』
・ハイドン:交響曲第8番ト長調Hob.I-8『晩』
バイエルン放送交響楽団
録音:1972年3月、ミュンヘン、ヘルクレスザール
Disc3 (PH04050) 71:10
ワルターの再来とも評されたライトナーのモーツァルト
ヴァントと同年生まれのドイツの巨匠ライトナー。得意のモーツァルト。『ブルーノ・ワルターの再来』と騒がれただけあって、重厚にして内声部が充実、なおかつヒューマンな味わいは確かにワルターを思わせます。しかも味わい深いサウンド。注目は劇場支配人で、なんと全曲。フィガロと同じ時期の作品なのでこの曲のフィナーレとフィガロのフィナーレを取り替えてもなんら問題のない知られざる傑作。90年代半ばのアーノンクール以来のすばらしい全曲盤の登場です。また録音もよく、残響豊かなホールの響きが美しくとられて陶然とさせられます。
【収録情報】
・モーツァルト:交響曲第28番ハ長調K200(189k)
・モーツァルト:交響曲第35番ニ長調K385『ハフナー』
・モーツァルト:歌劇『劇場支配人』K486(全曲)
バルバラ・キルダフ(S)
エディト・ヴィーンス(S)
デオン・ファン・デア・ヴァルト(T)
グイン・ハウエル(Bs)
バイエルン放送交響楽団
録音:1989年6月
Disc4 (PH04062) 66:31
シュナイダーハン&ライトナー / モーツァルト、ブルッフ、他
も名ヴァイオリニスト、ヴォルフガング・シュナイダーハン[1915-2002]の伴奏をモーツァルトの『トルコ風』と、ブルッフの第1番でおこなっているほか、ベートーヴェンのロマンスをケッケルトの独奏で2曲伴奏しています。
【収録情報】
・モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第5番K219
ヴォルフガング・シュナイダーハン(Vn)
ウィーン交響楽団
録音:1952年
・ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調Op.26
ヴォルフガング・シュナイダーハン(Vn)
バンベルク交響楽団
録音:1952年4月28−30日
・ベートーヴェン:ロマンス第1番ト長調Op.40
・ベートーヴェン:ロマンス第2番ヘ長調Op.50
ルドルフ・ケッケルト(Vn)
バンベルク交響楽団
録音:1953年2月18−19日
Disc5&6 (PH08037) 56:07/45:32
ウェーバーからワーグナーまでのドイツオペラの穴を埋める大穴オペラ
コルネリウス『バグダッドの理髪師』
ペーター・コルネリウス(1824−74)の代表作、『バグダッドの理髪師』。永竹由幸教授によると「ユニークな味を持った作曲家で、この曲もとぼけた味をうまく出し大変凝った名曲」とのことで、ブゾーニのような風合があります。1858年にフランツ・リストの指揮によってワイマールで初演されたオペラ。コルネリウス自身ワーグナーの助手でしたがワーグナーの影響が皆無なのが凄いところです。
裕福な青年ヌレディンはマルギアーナを愛しているものの、なかなかうまく進展できずに困っています。そこにお節介でお喋り好きな理髪師アブル・ハッサンが割り込んで、事態は混乱するばかり、というお話。
録音は、EMI にラインスドルフ盤、オイロディスク(現在はBMG)にホルライザー盤、モノラルのライヴ録音では、ホルライザー&ウィーン放送響盤、マツェラート&ヘッセン放送響盤などがありました。そこにこのライトナー指揮の録音が登場。しかも厳しく見積もっても現在最高の演奏のようで、初めて曲のすごさ、おもしろさを堪能できました。ハンス・ゾーティンの理髪師アブル・ハッサンをはじめ、ヘレン・ドナート、美声ホルスト・ラウベンタールら、充実したキャストの演奏です。また録音もセッションで大変優秀です。
【収録情報】
・コルネリウス:喜歌劇『バグダッドの理髪師』
ハンス・ゾーティン(Bsアブル・ハッサン)
フリッツ・ペーター(Tババ・ムスタファ・カーディ)
マルガ・シムル(Msボスターナ)
デイル・デュージング(Brカリフ)
ヘレン・ドナート(Sマルギアーナ)
ホルスト・ラウベンタール(Tヌレディン) 他
ケルンWDR交響楽団&合唱団
録音:1974年1月31日&2月1日,ケルンWDR
Disc7-10(PH09009) 60'02/41:31/61:30/76:41
ヴィントガッセン、メードル、ナイトリンガー
「冬のバイロイト」と呼ばれたライトナーとヴィーラント・ワーグナー率いる
シュトゥットガルト国立歌劇場のパリ公演ライヴ
モノラルとしては抜群の音質で、大変興味深い『パルジファル』が登場。きわめて豪華な歌手陣と、ドイツの名指揮者ライトナーが戦争の記憶生々しいドイツの旧占領地パリでおこなった公演のライヴ録音です。パリにおけるワーグナー演奏史に大きな足跡を残したとされる幻の公演が、良い状態で残されていたことに驚きですが、これだけの歌手がシュトゥットガルトの専属だったという事実にさらに驚かされます。当時、「ライトナー黄金のシュトゥットガルト」と呼ばれていたという証言にも信憑性が感じられるきわめて豪華な布陣による注目盤の登場といえるでしょう(この数年後にはかのヴンダーリヒも専属歌手陣に参加しています)。
ヴィントガッセン:1914年生。世界的ワーグナー歌手として有名。
メードル:1912生。バイロイトの常連。代表的ワーグナーソプラノ。
ナイトリンガー:1910年生。バイロイトの常連。ドイツを代表するワーグナーバスバリトン。宮廷歌手。
フォン・ロール:1916年生。ワーグナーバスとして高名。宮廷歌手。
プリュマッハー:1922年生。ザルツ・バイロイトの常連。ドイツの一時代を代表する名アルト。
【収録情報】
・ワーグナー:舞台神聖祭典劇『パルジファル』
ヴォルフガング・ヴィントガッセン(パルジファル)
マルタ・メードル(クンドリ)
グスタフ・ナイトリンガー(アンフォルタス王)
オットー・フォン・ロール(グルネマンツ) 他
ヴュルテンベルク州立歌劇場(シュトゥットガルト州立歌劇場)合唱団
パリ・オペラ座管弦楽団
録音:1954年3月26日パリ・オペラ座(ライヴ)
Disc11&12 79:59/65:16
ヘンデル:歌劇『タメルラーノ』全曲
ヘンデルの『タメルラーノ』は、歴史に名を残すティムール帝国の創始者、ティムールを描いたもので、タメルラーノとはティムールの名をイタリア風に変えたもの。彼は1402年にオスマン帝国を侵攻し、アンカラ郊外で皇帝バヤゼットを捉え捕虜として連行し、2人の統治者の血なまぐさい対立のエピソードが生まれることとなります。
【収録情報】
・ヘンデル:歌劇『タメルラーノ』[初CD化]
フランツ・マツーラ(Bsタメルラーノ)
ドナルド・グローブ(Tバヤゼート)
ヘレン・ドナート(Sアステーリア)
キート・エンゲン(Bsアンドローニコ)、
ライリ・コスティア(イレーネ)
カリ・ヌルメラ(Brレオーネ)
バルメン=ゲマルケ・カントライ
カペラ・コロニエンシス
録音:1966年3月25日ケルンWDR
フェルディナント・ライトナー(指揮)