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スピン流は科学を書き換える

齊藤英治

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784797681505
ISBN 10 : 4797681500
Format
Books
Release Date
December/2024
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

電流の先にあった、電子のもう一つの性質「自転」の流れ、スピン流。近年見つかったこの現象は、未踏の科学を開拓し、従来の法則には修正を求め、次世代テクノロジーの礎を築く可能性に満ちている。「大きな発見はもうない」と揶揄されることもあるが、科学やテクノロジーには、まだ先があった。

電子には二つの性質がある。電流のもとになる電荷と、磁石のもとになる自転のようなスピン。スピンはあまりにも小さく無視されてきた物理量だが、ナノテクノロジーの成熟によって、スピンが流れるスピン流の存在までもが見えてくると、この概念なくして微細な世界は語れなくなってきた。しかし、電流のように流れを打ち消し合うこともなく、絶縁体にも伝わっていくなど、今までの物理法則でスピン流を記述することはできない。さらに、力学や流体力学、電磁気学なども、スピンやスピン流の要素を加えて修正していかなければならなくなっている。
この新しい科学は、次世代テクノロジーの展開へと拡がり、消費エネルギーが桁違いに低いコンピューターや開発競争が激化する量子コンピューター、ロスが少ない発電や新しい方式の発電、超高感度センサーなどへの応用が見据えられている。さらには、「科学の宿題」である幻のマヨラナ粒子の発見や、ダークマターの検出への期待も膨らむ。
この最先端の科学とテクノロジーについて、実験や研究の豊富なエピソードを交えながら、世界的第一人者が平易に解説していく。

【目次より抜粋】
第1章 スピンとは何か
第2章 電荷が流れる電流、スピンが流れるスピン流
第3章 利用するためには計測を
第4章 スピン流の物理学が始まる
第5章 物質の性質をコントロールする
第6章 トポロジカル絶縁体は実在するか
第7章 スピン流で新たな物理法則が拡がる
第8章 スピン流は社会をどう変えるか

【著者略歴】
齊藤英治(さいとう・えいじ)
東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻教授。1971年、東京都生まれ。博士(工学)。東京大学工学部物理工学科卒業、同大学院工学系研究科物理工学専攻博士課程修了。慶應義塾大学理工学部物理学科助手などを経て、2009、年東北大学金属材料研究所教授、18年から現職。日本学術振興会賞(11年)、日本学士院賞(22年)など多くの賞を受賞。14年から科学技術振興機構「戦略的創造研究推進事業 総括実施型研究(ERATO)」研究総括。著書に『スピン流とトポロジカル絶縁体』(共著 共立出版)などがある。

【著者紹介】
斉藤英治 : 東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻教授。1971年、東京都生まれ。博士(工学)。東京大学工学部物理工学科卒業、同大学院工学系研究科物理工学専攻博士課程修了。慶應義塾大学理工学部物理学科助手などを経て、2009年、東北大学金属材料研究所教授、18年から現職。日本学術振興会賞(11年)、日本学士院賞(22年)など多くの賞を受賞。14年から科学技術振興機構「戦略的創造研究推進事業総括実施型研究(ERATO)」研究総括(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • みかん。

    読みやすいです。一読を推奨いたします。

  • 斉の管仲

    面白いです。文体も良い。寺田寅彦のエッセイ風なところもあり、楽しく読めました。スピン流など、本質的な理屈は難しいけれど、内容は理解できました。科学者って感じの方です。

  • Go Extreme

    スピン流の発見と研究ー物理学の新たな地平・情報技術の飛躍的進化と持続可能な未来社会の構築に貢献 スピン流の発見と定義: 電子にはスピンという自転のような性質 これが特定の条件下で流れる現象=スピン流 電荷を持たない情報の流れ 科学的意義: 電子機器の原理を根本から見直す 情報を電流なしで伝達できる物理現象 技術革新への応用: スピントロニクスとして次世代のエレクトロニクス技術へ応用 エネルギー効率の向上: 発熱が少なくエネルギー効率が高い情報伝達可能 持続可能な技術革新に貢献 科学的挑戦と新たな法則の探求

  • Hayato Shimabukuro

    著者の齋藤先生は私が東北大で学んでいた時期から名前の知られた研究者でした。今回、齋藤先生の「スピン流」に関する一般向け著書が発売ということで手に取ってみましたが、知らないことばかりでした。そもそも「スピン流」という存在が初耳でしたが、実験的検証、さらには将来の応用可能性について幅広く紹介されており、非常に興味深かったです。とはいえ、実験のセットアップは門外漢には難しく感じました。

  • ハラペコ

    電場と磁場はコインの裏と表のようなものである。電荷をもつ物質の中で最も豊富で自由である、電子自体の自転のスピン角運動量と、(原子核に対しての)軌道角運動量とスピン角運動量が織りなすスピン軌道相互作用の二つが主に話題となっている。これまでは大きさもエネルギーも減衰までの距離も小さすぎて測定しづらかったが、その実態と重要性が徐々に明かされているという。観測と客観性に、実生活ではおよそ感じないような不確かさがある量子力学に踏み込んでいるが、極力数式ではなく図解やイメージで解説されている。それでも6章は難しかった

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