戦国北条家の判子行政 現代につながる統治システム 平凡社新書

黒田基樹

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784582859584
ISBN 10 : 4582859585
フォーマット
出版社
発行年月
2020年10月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
240p;18

内容詳細

禄(財産)と寿(生命)、まさに穏やかなるべし―。戦乱の世に「禄寿応穏」をスローガンに掲げ、五代一〇〇年にわたり統治を実現した戦国北条家。判子文化、納税や裁判の制度、公共工事など、現代の統治システムの礎を築いた。領国統治の仕組みから、戦国大名国家と現代社会との継受性を明らかにする。

目次 : はじめに―現代の統治システムの礎が築かれた戦国時代/ 第1章 納税通知書と判子文化の成立/ 第2章 目安制が開いた裁判制度/ 第3章 一律税率の設定と減税政策/ 第4章 徴税方法の変革/ 第5章 市場関与と現物納/ 第6章 「国家」への義務の誕生/ 第7章 公共工事の起源/ おわりに―戦国大名と現代国家のつながり

【著者紹介】
黒田基樹 : 1965年生まれ。早稲田大学教育学部社会科地理歴史専修卒業。博士(日本史学)。専門は日本中世史。現在、駿河台大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • パトラッシュ さん

    早雲以来の後北条氏が百年余にわたり構築してきた統治システムが、江戸時代を経て今日の国家体制の基盤になっていたとは。天下統一という政治レベルは織豊時代の功績だが、納税や公平な裁判を行うための目安制、国家意識形成に公共事業など「国民のための行政」は北条氏のやり方が淵源と知ればれ歴史のイメージが刷新されてしまう。しかも公文書押印を北条氏が始めたことは、近代日本を支配したハンコ行政の開祖といえる。民を富ませようとした北条氏に対し、一度も反乱が起きなかったのも当然か。支配ではなく民政こそ政治の要だと納得させられる。

  • ようはん さん

    戦国時代は武将の動向や戦に注目しがちで戦国大名の領国統治に関してはあまり知らなかった。どの戦国大名も領国経営には腐心していたとは思うが、特に後北条氏は印判に記された「禄寿応穏」というスローガンの通りに領民の安寧を第一に考えており、それが後北条氏の領国経営システムの先進性を創り出していったと言える。

  • 鯖 さん

    毎度おなじみ黒田先生の北条氏の行政システムに焦点を当てた本。目安箱で知られる「目安」とはそもそも訴状を指し、集落が直接幕府や戦国大名に訴訟を起こすことはできず、領主を通じて訴訟するのが原則だった。しかし北条氏が集落からの直接訴訟を可能としたのが目安であり、目安制が代官の不正、ひいては村落同士の諍いにおいても訴訟制度として機能し、自力救済から解放されたとの指摘が興味深かった。

  • 組織液 さん

    いやぁ面白かったです!北条家が構築した行政制度や統治方法を、7つの項目に分けて前近代、そして現代と対比しています。薄いし黒田先生自身も一般向けに書いたと述べられていましたが、一番最初の章から「日下」とか書いてるんでほんとに一般向けかこれ…?とは思いました() まぁ内容自体は特別難しい訳ではないですね。ただ中世の行政などそこら辺の話はわからないところがかなり多いので(本書にも研究者であっても認識されていないとか書いてましたし)丹念に勉強していきたいです。

  • フランソワーズ さん

    対外戦争だけでなく、天変地異や飢饉といったものに絶えず左右されていた戦国時代。戦国大名国家は列島史上初の統治権力であり、それ以前の権力と異なり、「村の成り立ち」の維持・保証する責務があった。そのための政策として、判子行政や目安制、減税・増税・納税方法を含む税制改革をきめ細やかに行わなければ、領国は保てなかった。その好例が、残存史料が豊富な北条家。ここから様々なことが理解でき、それが実は現代にまで繋がっていることに驚かされました。→

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