お市の方の生涯 「天下一の美人」と娘たちの知られざる政治権力の実像 朝日新書

黒田基樹

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784022951984
ISBN 10 : 4022951982
フォーマット
出版社
発行年月
2023年01月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
256p;18

内容詳細

「こころは男子に劣るべからず」戦国で最も著名な女性がのこしたこの言葉にはどんな意味が込められていたか。圧巻の独自研究!お市の方の動向を伝える史料は極めて少ないが、なぜ本書で本格的に取り上げるのか。それはお市の方の織田家における政治的地位に注目したいからである。さらに三人の娘(茶々・初・江)の生涯にどのように影響を及ぼしたのか、考えていくことにしたい。

目次 : 第1章 お市の方の織田家での立場(「お市の方」の呼び名/ 本名は「いち」/ 「いち」は「市」であったか/ お市の方の姉妹たち/ 確実に確認できる信秀の娘たち/ 生年は何年か/ 姉妹のなかでの長幼関係/ 母はどのような存在か/ 信長の養女となったか)/ 第2章 浅井長政との結婚(結婚に関する唯一の史料/ 結婚の経緯/ 浅井長政の前半生/ 長政は戦国大名か、国衆か/ 長政と織田信長との関係/ 三人の娘を生む/ 小豆袋の話の真実/ 小谷城からの退去)/ 第3章 柴田勝家との結婚(織田家での庇護者/ 柴田勝家と結婚する/ なぜ勝家を結婚したのか/ 信長百日忌主催の意味/ お市の方の覚悟/ 三人の娘を秀吉に引き渡す/ お市の方の最期/ 「天下一の美人」は本当か)/ 第4章 三人の娘の結婚(秀吉の庇護をうける/ 秀吉から茶々に結婚の申し入れ/ 江と佐治信吉の結婚は事実か/ 初と京極高次の結婚/ 江と羽柴秀勝の結婚/ 茶々は秀吉の別妻になる/ 江と徳川秀忠の結婚)/ 史料集

【著者紹介】
黒田基樹 : 1965年東京生まれ。早稲田大学教育学部社会科地理歴史専修卒業。博士(日本史学)。専門は日本中世史。駿河台大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • パトラッシュ さん

    お市の方の名は有名だが評伝は本書が初めてとは、戦国期の女性は正確な名前や結婚に関する史料すら残されない程度の扱いだった。その僅かな史料をかき集め、信長の天下獲りに重要な役割を果たした生涯を再現する。生まれた順序の確定から夫浅井長政の履歴と朝倉、織田との関係、さらに小豆袋のエピソードに柴田勝家との再婚、二度の落城の末の最後まで文字通り政治に翻弄され続けた一生だった。娘たちを通じて豊臣と徳川の天下を左右した「こころは男子に劣るべからず」と評された女の姿は、歴史における女の役割が決して従属的ではない証しだろう。

  • きみたけ さん

    「天下一の美人」と言われたお市の方の生涯と彼女の織田家における政治的地位に注目し、さらに三人の娘たちの生涯にどのように影響を及ぼしたのかを詳細に検証した一冊。著者は駿河台大学教授で日本中世史が専門の黒田基樹先生。もともと茶々について秀吉死去後の羽柴家における立場と果たした役割に注目しており、その政治的地位の源泉として母のお市の方の織田家における立場の把握のために取り組んだもの。「渓心院文」では夫浅井長政との死別が悔しかったこと、「柴田合戦記」では「こころは男子に劣るべからず」と発言した背景に迫ります。

  • bapaksejahtera さん

    近世初期の戦国大名を中心とする一般向けの本だが、テーマ性を失わず、かつ手を抜かない点で著者の本は好感が持てる。天下一の美人、お市の方の評伝。かく下司な関心を持ち読み始めたが、その評価の多くは江戸期もかなり後に成立した物。彼女に関する確実な史料は極めて乏しい。後に自身の三人娘の立身を因として広まった話の由。歴史の賽の振りようで、彼女も大名朝倉家の国衆の一人に過ぎない浅井の夫人に終わったのかも知れない。兎も角、家政に力を発揮する戦国の夫人たちの役割の大きさを、今日的な夫婦関係を基に推量せぬよう諭しつつ論証する

  • ようはん さん

    同じ黒田先生の著書である「家康の正妻 築山殿」でも書かれていたが戦国時代の女性はとにかく当時の資料には出る事はあまり無く、それはお市の方も同様になる。後世にて戦国一の美女とかのイメージが定着したが、読んでみては長政に殉じる事が出来なかった悔恨、秀吉の勢力拡大の中で信長の法要を行った事など武家の妻として誇りを貫いた人という印象になる。

  • nagoyan さん

    優。戦国一有名だが実態不明な「お市の方」。信秀の娘は何人かさえ不明。著者は、確実視できる4人の中で、お市は末の娘と考える。お市が浅井家に嫁したのは、信長の美濃併呑、上洛戦直前の永禄十年とされ、浅井氏側からの働きかけによる。当時、国衆浅井氏は六角氏への対抗上、越前朝倉家に従属。濃尾の戦国大名信長へは両属関係になった。お市は浅井氏滅亡後、信長叔父、信長母の庇護下。本能寺後、織田家との親族関係を欲する勝家に嫁す。勝家領国に秀吉の長浜が移されたのは、「小谷殿」お市の存在が。勝家と最後を共にした彼女の個性なのか。

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