文豪たちの怪しい宴 創元推理文庫

鯨統一郎

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784488422059
ISBN 10 : 4488422055
フォーマット
出版社
発行年月
2019年12月
日本
追加情報
:
256p;15

内容詳細

討論会からの帰り道、ふと立ち寄ったバー〈スリーバレー〉。そこでの女性バーテンダーとの会話から、彼女が日ごろから感じていた夏目漱石の『こころ』に関する疑問点を論議する羽目に。文学部教授である私が、こんな場末のバーで講義することになるとは。しかも、途中からやってきた宮田という男は、あろうことか『こころ』を○×小説と断言したことで議論は白熱し……。さらに太宰治『走れメロス』、宮澤賢治『銀河鉄道の夜』、芥川龍之介『藪の中』のあれやこれやと、“鯨流”文学談義で贈る、文庫創刊60周年書き下ろし最新作。


【著者紹介】
鯨統一郎 : 1998年『邪馬台国はどこですか?』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • パトラッシュ さん

    文学談議をミステリとして展開するとは、作者の奇抜な着想には舌を巻く。『こころ』で存在も忘れられた下女をK殺しの犯人と名指ししたり、『走れメロス』をセリヌンティウスの見た夢とする視点は思わず膝を打ったし、明快な答えのない『藪の中』の殺人犯は実は真砂だったとする推理は見事だ。『銀河鉄道の夜』に賢治と父の諍いが隠されているとの推理も含め、どれも作家の執筆時の心理を読み解き、作品に反映した事情を納得させられてしまう。読了後、本作は歴史の謎を追ったシリーズの1冊と知った。これまで知らなかったが他の本も読んでみたい。

  • へくとぱすかる さん

    一気読みでした。宮田のぶつかり合いの相手が変わって、話題も文学になり、一味ちがったおもしろさで読了。「走れメロス」をネタにしたミステリはこれで2作目。もう1作は「古典部」シリーズでしたけど。ところでメロスの原案でもある古伝説など、実は存在しないらしいのですが。強引な推理ながら、その強引さが魅力です。「こころ」をミステリとして読めるとは意外。芥川の「藪の中」も、これこそ真相を推理した、という読後感。もちろん芥川の言いたかったテーマは違うと思いますが。

  • のぶ さん

    今までの鯨さんの本同様にとても楽しかった。ふと立ち寄ったバーで、女性のバーテンダーに宮田という男と文学教授の「私」が酒を飲みながら文学談議が繰り広げられる。俎上に上がるのは、夏目漱石「こころ」太宰治「走れメロス」宮沢賢治「銀河鉄道の夜」芥川龍之介「藪の中」。作品の内容を議論するうちに、解釈はとんでもない方向に脱線していく。「こころ」はクライム小説だとか、その解釈が笑ってしまうほどユニークで面白い。だが、名作の核心はしっかり押さえているところが本書の偉いところ。これらの本を改めて読み返したくなった。

  • buchipanda3 さん

    今度のはあの名作文学に鋭い仮説、はたまた面白いツッコミか。蘊蓄と屁理屈の文学談義ミステリ短編集。お酒も入ってほろ酔いでこんな言い合いが出来たら楽しいだろうなあ。メニューは「こころ」「走れメロス」「銀河鉄道の夜」「藪の中」。普通の読み方とは違った文豪たちの隠された意図が語られる。思わずえっとなるが、それらしい根拠の箇所が示され、あっとなる。少しでもひょっとしたらと思ってしまえば著者の思惑通りかも。特に「こころ」のは大胆不敵。だが論理的でもある。果たして本当かは文豪に真意を尋ねるしかないが、それはまさに…。

  • 雅 さん

    超有名な文学作品の新解釈。そう来たか!と唸る面白さでした。雑学知識の凄い別シリーズとは違った楽しみ方をさせてくれる

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人物・団体紹介

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鯨統一郎

1998年、『邪馬台国はどこですか?』でデビュー。その後も『タイムスリップ戦国時代』『幕末時そば伝』など、歴史学説をパロディー化する手法で斯界を仰天させる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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