基本情報
内容詳細
謎めいた姿で惑わす「微積分」の正体を探る
ギリシャ時代からの難問である作図問題を、
「曲線を方程式で表す」という着想に基づいて
明快に解き明かしたデカルト。しかし、なぜ彼は、
「曲線の法線を引く」ことに強くこだわったのか。
曲線の接線法と極大極小問題を同じやり方で
巧みに解いたフェルマ。しかし、なぜ彼は、
全く異なる問題が同じ方法で解けると見抜いたのか。
「万能の接線法」を発明し、どんな曲線にも接線を引ける
と言いきったライプニッツ。彼の言う、「無限小の長さを
無限につなげた曲線」とはどういうものであったのか。
微分積分学が生まれ育つまでの数学者たちの深い思索の森へ
読者を誘い、新しい数学が創られていく過程を
目の当たりに見せてくれる快著。
[著者紹介]
高瀬正仁(たかせ・まさひと)
昭和26年、群馬県勢多郡東村(現在、みどり市)に生まれる。九州大学基幹教育院教授。専門は多変数関数論と近代数学史。平成20年九州大学全学教育優秀授業賞受賞。2009年度日本数学会賞出版賞受賞。歌誌「風日」同人。著書に『ガウスの数論』『無限解析のはじまり』(ちくま学芸文庫)、『岡潔』『高木貞治』(岩波新書)、『ガウスの《数学日記》』『dxとdyの解析学』(日本評論社)『高木貞治とその時代』(東京大学出版会)『近代数学史の成立』(東京図書)『紀見峠を越えて』(萬書房)ほか多数。また、訳書に『オイラーの無限解析』『オイラーの解析幾何』(海鳴社)、『ガウス整数論』(朝倉書店)ほか。
著者コメント
西欧近代の微分積分学は「曲線の理論」として始まった。系譜をたどると、デカルトの著作『幾何学』からライプニッツの二論文(「ライプニッツ1684」と「ライプニッツ1686」)へと続く道が見える。デカルトの目的は『幾何学』の作図問題を曲線の理論を通じて解くことであり、そのために「曲線を知ること」であり、そのために「接線もしくは法線を引くこと」がもっとも基本的な課題として課されることになった。デカルトは曲線とは何かという問いを立て、「幾何学的曲線」という範疇を定めた。ライプニッツはこれを代数的曲線として認識し、この範疇を越えて超越的曲線の接線法を確立した。ここにおいて黎明期の微積分が完成した。
ライプニッツの次の世代の数学者オイラーは関数の概念を数学に導入し、曲線を関数のオイラーグラフとして認識した。このアイデアとともに微積分の基本的対象は曲線から関数に移行し、関数の微積分という、近代の解析学の成立の道が開かれた。
黎明期の微積分の実体は「曲線の理論」である。本書はこの事実認識に足場を定め、曲線の理論の姿形の再現をめざす。
【著者紹介】
高瀬正仁 : 1951年、群馬県勢多郡東村(現在、みどり市)に生まれる。九州大学基幹教育院教授。専門は多変数関数論と近代数学史。2008年九州大学全学教育優秀授業賞受賞。2009年度日本数学会費出版賞受賞。歌誌「風日」同人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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