Books

椿井文書ー日本最大級の偽文書の真実 中公新書

馬部隆弘

User Review :5.0
(1)

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784121025845
ISBN 10 : 4121025849
Format
Books
Publisher
Release Date
March/2020
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

中世の地図、失われた大伽藍や城の絵図、合戦に参陣した武将のリスト、家系図…。これらは貴重な史料であり、学校教材や市町村史にも活用されてきた。しかし、もしそれが後世の偽文書だったら?しかも、たった一人の人物によって創られたものだとしたら―。椿井政隆(一七七〇〜一八三七)が創り、近畿一円に流布し、現在も影響を与え続ける数百点にも及ぶ偽文書。その全貌に迫る衝撃の一冊。

目次 : 第1章 椿井文書とは何か/ 第2章 どのように作成されたか/ 第3章 どのように流布したか/ 第4章 受け入れられた思想的背景/ 第5章 椿井文書がもたらした影響/ 第6章 椿井文書に対する研究者の視線/ 終章 偽史との向き合いかた

【著者紹介】
馬部隆弘 : 1976年、兵庫県生まれ。1999年、熊本大学文学部卒業。2007年、大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。枚方市教育委員会、長岡京市教育委員会を経て、大阪大谷大学文学部准教授。専攻は日本中世史・近世史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

Customer Reviews

Comprehensive Evaluation

★
★
★
★
★

5.0

★
★
★
★
★
 
1
★
★
★
★
☆
 
0
★
★
★
☆
☆
 
0
★
★
☆
☆
☆
 
0
★
☆
☆
☆
☆
 
0
★
★
★
★
★
これほど多くの偽文書を作成した椿井政隆な...

投稿日:2021/03/05 (金)

これほど多くの偽文書を作成した椿井政隆なる人物には呆れを通り越して感動(?)すら覚えるが、これを掘り起こして一冊のものに成し遂げた著者に心から感服する。2021年3月現在入手困難になっているのが残念だが、古文書調査や文化財保護に携わる者は必読。自治体の文化財指定を受けてしまっている偽造古地図もあるが、指定した時点では年号の矛盾に気が付かなかったのはやむをえないかもしれないけれど、偽造が判明した以上は別の位置付けを検討してもらいたいものだ。私が住んでいる自治体のホームページでも、信頼度がはっきりしない古文書の記述(先行研究で明らかになっている事実とは異なる、はっきり言えば全くの間違い)を文化財に関する説明に使っているが、困ったことに間違いを指摘しても役所というものは訂正することが苦手らしい。私も含めてだが、文化財の研究、保護にかかわる者は古文書や歴史資料は心して検討すべきことを、この著書は教えてくれる。繰り返すが、研究者必読である。

禅済 さん | 三重県 | 不明

0

Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

powered by

  • 鉄之助

    「つばいもんじょ」というタイトルの読み方と、副題「日本最大級の偽文書」に、目はくぎ付け。NHKのBS番組にも取り上げられており、興味津々で手に取った。読んでよかった! 筆者は、なぜ歴史の開けてはならぬ「パンドラの箱」を開けることができたのか? その経緯を紐解く筆致は、まるで良質のドキュメンタリー番組を見ているよう。古文書に向き合う馬部さんの姿が目に浮かんだ。筆跡を変え、系図をでっちあげ、架空の絵図を作り上げる椿井政隆。その背景に、何があったのか? そこには、告発ではない、椿井に対する筆者の”愛”があった。

  • 遥かなる想い

    2021年新書大賞第3位。 偽文書作成に関わったという椿井政隆に焦点を当てた書である。身分上昇を図る富農が 企てる かつては 有力な武士だったと語る系図…ひどく日本的な偽文書は もしかしたら 全国に蔓延しているのかもしれない。 大阪枚方市の地域史に取り組んだ 著者の苦労がしのばれる…そんな書だった。

  • へくとぱすかる

    三崎律日『奇書の世界史』で知った椿井文書の参考文献の著者による詳論。古文書がニセ物なら、そこから組み立てられた歴史の根幹が崩れる。マユツバさの目立っていた「東日流外三郡誌」以上に影響は大きいだろう。地方史であるだけに、町おこしに活用されると、簡単に取り消せず、地元としてはウソでもありがたいという姿勢となり、学問的真実が通らなくなる恐ろしさ。偽文書は作られたときから、すでに利害関係の中にあること、紙も墨も新しいのに虚偽を見抜けなかった構造を、歴史の研究者は知っておくべき。そして椿井政隆は研究に値する人物。

  • HANA

    椿井文書とは江戸時代の国学者椿井政隆の作成した一連の偽書の意。偽史、偽書というと『竹内文書』や『東日流外三郡誌』のような荒唐無稽ながらどこか浪漫を感じさせるものが第一に思い浮かぶのだが、本文書はその逆で地味で地域密着型の偽書となっている。本書はその作成方法からどのように流布したか、受容の背景にその影響、現在までの研究者の視点と、その全貌が伺える一冊となっている。特に受け入れられた背景、疑いつつも自分たちに有利になるから受容する、同業者等への義理として受け入れる等は、現代の人文学にも通じる部分があるかと。

  • パトラッシュ

    自分の家の、村の、寺社の由緒を証明する縁起や絵地図があれば信じて疑わないだろう。やがて由緒は事実となり、文書は貴重な町おこしの史料とされた。ところがそれは後世に同じ人が作った関西一円に数百点ある偽文書だと言われたら、どう反応したらよいのか。石碑や説明板は恥さらしの象徴となったが、本書にある枚方市の伝王仁墓に関するサイト解説は一切変更されていない。役所は「恩知らずの元非常勤職員が」と怒っているか。人は信じたいものを信じ、信じたくない事実を突きつけられても認めるのを拒む。古文書を愛する磯田先生ならどうするか。

レビューをもっと見る

(外部サイト)に移動します

Recommend Items