Books

幕末社会 岩波新書

須田努

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784004319092
ISBN 10 : 4004319099
Format
Books
Publisher
Release Date
January/2022
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:
須田努 ,  

Content Description

徳川体制を支えていた「仁政と武威」の揺らぎ、広がる格差と蔓延する暴力、頻発する天災や疫病―先の見えない時代を、人びとはどのように生きたのか。幕末維新を天保期から始まる長い変動過程としてとらえ、みずから動きだす百姓、自己主張を始める若者、新たな生き方を模索する女性に光をあて、その社会像を総合的に描く。

目次 : 序章 武威と仁政という政治理念(江戸時代 社会の枠組み/ 百姓一揆という社会文化/ 既得権益の時代)/ 第1章 天保期の社会 揺らぐ仁政(「内憂外患」の自覚/ 在地社会の動揺/ 無宿・博徒の世界/ 百姓一揆の変質 崩壊する作法/ 奇妙な三方領知替え反対一揆)/ 第2章 弘化から安政期の社会 失墜する武威(ペリー来航と政局の展開/ 国体・尊王攘夷論の形成と広がり/ 開国を受けとめた社会/ 地震とコレラに直面した人びと/ 「強か者」の登場)/ 第3章 万延から文久期の社会 尊王攘夷運動の全盛(在地社会に広がる尊王攘夷運動/ 出遅れる長州藩、動く薩摩藩/ 欧米列強との戦争と在地社会/ 地域指導者の転回)/ 第4章 元治から慶応期の社会 内戦と分断の時代(長州藩の復活から幕府滅亡/ 天狗党の乱と在地社会/ 北関東で連続する世直し騒動/ 戦場となった北関東/ 東北戦争と在地社会の動向)

【著者紹介】
須田努 : 1959年、群馬県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在‐明治大学情報コミュニケーション学部教授。専攻‐日本近世・近代史(民衆史・社会文化史)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

Customer Reviews

Comprehensive Evaluation

☆
☆
☆
☆
☆

0.0

★
★
★
★
★
 
0
★
★
★
★
☆
 
0
★
★
★
☆
☆
 
0
★
★
☆
☆
☆
 
0
★
☆
☆
☆
☆
 
0

Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

powered by

  • パトラッシュ

    幕末とはペリー来航以降だと無意識に思っていたが、本書はその20年以上前の天保時代を起点とする。幕府や各藩の失政に天災や疫病などが重なり、武士の権威が失墜し貧しい若者層による現状打破を目指す暴力事件が相次ぐ。先の見えない社会的不安が醸成されてきたところで開国と尊王攘夷運動が活発化し、これに在地社会の若者が合流し各地で暴動を引き起こしたのだ。封建体制は経験のない事態に対応できず、変化を求める民衆の意識が倒幕と維新へつながっていく。歴史は一夜で起こるのではなく、そこへ達するまでの前段階こそ重要なのだと痛感する。

  • skunk_c

    天保期から戊辰戦争までの歴史を俯瞰しながら、当時の「衆」(権力階級たる武士ではなく、富農・豪商から脱藩浪人・不満を持つ若者など多様なこの時代を生きた人々位の意味)の生き様を丹念に紹介し、幕府の武威と社会維持機能の決定的な低下の時代に、社会がいかに流動化したかを示している。ひとつのキーワードは暴力。幕藩体制は暴力を武士が独占しており、一揆も暴力とは異なる直訴のマナーがあったが、天保以降「打ちこわし」などの暴力が劇的に増える状況と理由を、様々な角度から考えている。自分たちの社会自衛のための武装まであったとか。

  • kawa

    徳川政権を支えた仁政(重い年貢の見返りに、農民の生命と家の相続を保障する)と武威(武士が武力独占するが、これを弱き民に直接行使しない)が揺らぐ幕末の庶民史。具体的には、庶民の一揆や騒動を飢饉・天災、欧米列強からの脅威等をからめて分析。甲州騒動と三方領地替え反対運動(庄内)の比較や天狗党の乱が特に面白い。これら事件は、義挙と評価されたり、単なるテロ・強奪事件と評価されたり、視点の相違によって180度変わる。当事者のご苦労や悲劇には言葉もないところなのだけれど、小説や映画の題材の宝庫でもありえ興味深い時代だ。

  • ホークス

    2022年刊。幕末期のあり様を庶民中心に、政治経済災害などの記録を元に掘り下げる。難しいけど著者のシニカルさ、常識に頼らない剛直さが魅力。飢饉に対する大規模一揆、関東に頻発した農民による世直し騒動、「勤王ばあさん」の間諜活動など事例多数。現代からは因習的で無計画に見えても、当時のモラルや価値観に照らしてみれば、関係者たちの老獪な戦略と強い解決姿勢が浮かぶ。私の理解では、幕末期には農業増産が行き詰まり、農家の二三男が都市や宿場に流れ込んだ。幕末の動乱では彼らが暴力装置として利用されたらしい。

  • 崩紫サロメ

    江戸幕府の崩壊期について、政治や制度からではなく、社会の様相から描き出す。例えば幕末の大事件として横浜開港や桜田門外の変が挙げられるが、民衆にとっての重大事件は地震であり、コレラであった。江戸大地震が「貧富の格差が平される」という意味で人々の「政治的批判」の要素が内包されているなど。ゆっくりとした変化の蓄積に、大きな政治変動が作用してきたとして”衆”として結集した現状への不安や不満を持つ若者たちのネットワークに着目している。

レビューをもっと見る

(外部サイト)に移動します

Recommend Items