コロナ禍、貧困の記録 2020年、この国の底が抜けた

雨宮処凛

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784780311556
ISBN 10 : 4780311551
フォーマット
出版社
発行年月
2021年04月
日本
追加情報
:
230p;20

内容詳細

連日届き続けるSOS。15年にわたり貧困と向き合う著者が支援現場から届けるコロナ禍の貴重な「助け合い」の記録。

目次 : 第1章 2020年・春(新型コロナウイルス感染拡大で蘇る「派遣村前夜」の空気/ 家賃、ローン、学費…。庶民の生活を知らない人が決定権を握っている悲劇 ほか)/ 第2章 2020年・夏(「死ね、と言っているのと同じ」―生活保護基準引き下げ違憲訴訟・名古屋地裁判決/ 生きる意味・価値を問うという傲慢―相模原事件・傍聴記 ほか)/ 第3章 2020年・秋(安倍政権、終わる―格差と分断の7年8ヶ月/ 「自助・共助・公助」―「共倒れするまで助け合え」という呪い ほか)/ 第4章 2020年・冬(10月の自殺者数、2000人超の衝撃/ 渋谷・女性ホームレス殺害―「痛い思いをさせればいなくなる」を地でいく社会 ほか)

【著者紹介】
雨宮処凛 : 1975年、北海道生まれ。作家・活動家。フリーターなどを経て、2000年、自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版/ちくま文庫)でデビュー。以来、格差・貧困問題に取り組み、この国の“生きづらさ”に関して、著作やメディアなどで積極的に発言。2007年に出版した『生きさせろ!難民化する若者たち』(太田出版/ちくま文庫)でJCJ賞(日本ジャーナリスト会議賞)を受賞。「反貧困ネットワーク」世話人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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本書は、15年にわたり貧困と関わってきた著...

投稿日:2021/06/16 (水)

本書は、15年にわたり貧困と関わってきた著者が、コロナ禍の貧困のありようを綴ったもの。ウェブマガジン「マガジン9」に連載されたものがベースとなっている。コロナ禍による貧困の問題は底が深い。日本の賃金低迷が長きにわたっていること、幾度となく比較対象として触れられるリーマンショックの後遺症ともいえる部分もあり、副題にあるように「底が抜けた」というのが実態なのかもしれない。著者たちのもとにきた相談者の状況を見ると、貧困というより、命の危険が迫っている人も少なくない。コロナ禍で大きな打撃を受けたのが飲食業・サービス業であり、そのためリーマンショックに比較して女性が多く追い込まれていると指摘している。また、生活保護を受けなければならないレベルなのに、拒否する人が多い背景として、2012年頃の生活保護バッシングを挙げているのも説得力を持つ。貧困者の増大は人道的な観点からも問題だと思うが、社会の不安が強まり、治安面も含め貧困に陥らない人も不安にしかねない。決して、他人事ではないのだ。

ねも さん | 兵庫県 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 真香@ゆるゆるペース さん

    図書館本。不況による失業者や自殺者がただでさえ多い中、コロナで更に困窮者が増えた2020年の日本の現場を取材・支援に携わってきた著者の記録。お上の評価できない対応は今に始まったことじゃないけど、本書を読んだら日本はもうダメかもしれん…と、怒りを通り越して絶望的な気持ちになってしまった。厳しい世の中だけど、困った時に死なないためのヒントが至る所から得られるので、誰もが読んで損はないはず。感染者数やワクチンの情報も大事だけど「コロナになってもならなくても死ぬ」と言う人がいることももっと取り上げるべきだと思う。

  • ヒデミン@もも さん

    もっとガンガンといく、いつもの雨宮処凛さんよりクール。コロナ禍で格差が広かった。悲惨なロスジェネ世代。今、マスコミはコロナ感染、ワクチン接種の報道に追われているが、「コロナになってもならなくても死ぬ」とつぶやく人がいることを知らしめて欲しい。

  • とよぽん さん

    2006年から貧困の現場を取材している著者は、2008年末の「年越し派遣村」をはるかに上回るコロナ禍の惨状であると書いている。若者、女性、自営、接客業、フリーランスなどが増えているのだ。雇い止め、非正規、会社の寮を出たら住むところがない、家賃が払えない、所持金200円、など窮状を訴える人が続々と相談に来る。そんな人々に、政府や役所は場当たり的で無慈悲な対応ばかり。困窮者の命と生活を守ろうとしない冷酷さに強い怒りを覚えた。もう民間のボランティアの奮闘では支えきれないほど逼迫しているのに。

  • 壱萬弐仟縁 さん

    本書内容は昨年20年の話。コロナ禍では、感染しても、しなくても、生活苦で死んでしまう(3頁)。恐ろしい生存競争、生存環境な日本社会。休業手当の補償をすればいいものを、語られずに極端な二択(命か、経済か)(7−8頁)。衆院選ではコロナ対策で人間の安保、生存権を死守できる候補を選ぶしかない。投票率を上げない限り、大政党が勝利する選挙制度ではだめだ。多くのフリーランスが補償もないままに放り出されている(46頁)。現在、貯金を切り崩して生活をしているという人は、生活保護制度を視野に入れておいた方がいい(48頁)。

  • 踊る猫 さん

    ドナルド・トランプ大統領出現以降の現象として、「分断」が重要なテーマになってきたと思っている。雨宮処凛は独自の感じやすさ・繊細さでそんな「分断」を崩そうとする。役所仕事がもたらす官僚的な態度と貧困であえぐ当事者の間の壁を壊そうとし、私たちに本当に見なければならないリアルを突きつけてくる。それはさながらケン・ローチや是枝裕和の映画を地で行くような世界だ。彼女の姿勢が独善に陥らない危険がないとは言わないが、しかしここまで緻密にかつ(いい意味で)感情的にラッシュをかける彼女の姿には本当に頭が下がる。リアルである

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雨宮処凛

1975年、北海道生まれ。作家・活動家。反貧困ネットワーク世話人。フリーターなどを経て2000年、自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版、のちにちくま文庫)でデビュー。2006年からは貧困問題に取り組み、2007年に出版した『生きさせろ!難民化する若者たち』(太田出版、のちにちくま文庫)はJCJ賞

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