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戦争と宗教の世界史

鈴木董

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784634152472
ISBN 10 : 4634152479
Format
Books
Publisher
Release Date
August/2024
Japan

Content Description

今日、宣戦布告による国際法上の戦争ではないが、実質的には大きな戦闘が続いている。このような中で、戦争と宗教の関わりを探ることも意味があろう。宗教には、殺すことへの禁忌、すなわち不殺生戒があるが、広狭様々であり、戦争についても、不戦・義戦・聖戦と様々である。原初の仏教では、人間すべてのみならず、生類すべてに対する不殺生戒があった。イエス時代のキリスト教では、生類すべてではないが、人間については絶対的不殺生戒があり、不戦が原則だった。モーセの十戒「汝、殺すなかれ」のユダヤ教では、「まともな人間」についてのみ不殺生戒が及び、エホヴァの神とその信徒を害する者を討つことは聖戦であった。最新の一神教イスラムも同様である。しかし、時とともに不殺生戒も、戦争についての宗教の見解も変化していく。原則、「不戦」であったキリスト教も、「義戦」を認め始める。本講では、代表的諸宗教の各々の不殺生戒と戦争論について、各々を専門とする第一線の研究者がわかりやすく解説する。
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〈目次〉
第一講 キリスト教の戦争論  黒川知文
      ――聖書と神学、クリスチャン(トルストイ、内村鑑三、ヴェーバーほか)の言説から

第二講 宗教戦争と民族紛争の本質構造  黒川知文
      ――十字軍、三十年戦争、パレスティナ戦争など

第三講 正教会(東方教会)の戦争論  黒川知文
      ――プーチン・ロシアにおけるビザンティンハーモニーの復活が意味するもの

第四講 ユダヤ教における聖戦  志田雅宏
      ――理念と実践のはざま

第六講 イスラームは「戦争」をどう考えるか  鎌田 繁
      ――クルアーンと古典的法学、「反体制派のジハード論」

第六講 ゾロアスター教の戦争イデオロギー  青木 健
      ――「世界最古の啓示宗教」とサーサーン朝ペルシア帝国
 
第七講 ヒンドゥー教の古典にみる「宗教と戦争」  杉木恒彦
      ――クシャトリア(戦士)の役割と救い

第八講 ジャイナ教の不殺生戒と戦争  上田真啓

第九講 初期仏教と上座部仏教の戦争言説  馬場紀寿
                              
第十講 大乗仏教から考える戦争と平和  箕輪顕量
      ――『法華経』『涅槃経』を手がかりに

第十一講 儒教における「人を殺すべき場合」  小島毅

【著者紹介】
鈴木董 : 1947年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、法学博士。専攻はオスマン帝国史、比較史、比較文化。東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • さとうしん

    世界の宗教は戦争、そしてその前提となる不殺生戒についてどのように議論してきたかをそれぞれの専門家が講義する。総じて当初教義レベルでは殺人を禁じ、戦争には否定的だが、国家とつながりを持つことで戦争を正当化するようになるという流れはおおむね共通しているようだ。徹底的な不殺生を説くジャイナ教が戦争については微妙な態度を採っていること、正教会の教権と俗権の一致の伝統がウクライナ戦争での教会の態度に影響を及ぼしていること、儒教の正戦論が戦前・戦中の日本の戦争観に大きな影響を与えているといったあたりが注目ポイント。

  • くらーく

    その道の専門家を集めてこのような書籍を作れるって、素晴らしい事だと思います。日本ならでは?とは思わないけど、国教が決められて、それ以外は異教として排除されるところでは無理だよね。 内容は、他のレビューアーさんが書いているし、あくまで各宗教の戦争論に対する講義なので、他宗教との関連などは無い。基本的には、どの宗教も不殺生なのだけど、それが政治と結びつき、宗教の盛衰がかかってくると、解釈が変わってくるようですね。理想と現実なのか、妥協なのかは、その時々で変わるのでしょう。何のための宗教なのかねえ、と思います。

  • kun_maa(หมา)

    世界の主要な宗教の『不殺生戒』と『戦争観』について第一線の研究者によるわかりやすい解説だった。最初は不殺生戒がある宗教でも宗教と国家・権力が結びつくと簡単に”聖戦”や”正戦”という考え方に結びついてしまうのだなぁ。

  • Go Extreme

    宗教と戦争を考える: 不殺生戒 一神教系 キリスト教ー非戦論→聖戦論 キリスト教の戦争論 宗教戦争と民族紛争の本質構造 正教会の戦争論 ユダヤ教における聖戦 イスラームは戦争をどう考えるか ゾロアスター教の戦争イデオロギ ヒンドゥー教の古典にみる宗教と戦争 ジャイナ教の不殺生戒と戦争 仏教と戦争―持たざる者の平和論 大乗仏教から考える戦争と平和―法華経・涅槃経        僧兵から考える日本仏教と戦争 儒教における人を殺すべき場合 道教と戦争 天地創造神を奉ずる一神教の不殺生戒 輪廻転生論と不殺生戒

  • takao

    ふmじゅ

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