顔の剥奪 文学から“他者のあやうさ”を読む

鈴木智之

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784787292360
ISBN 10 : 4787292366
フォーマット
出版社
発行年月
2016年07月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
205p;20

内容詳細

探偵小説に描かれる死体、村上春樹の剥離する顔、多和田葉子のペルソナ、林京子の引き裂かれた顔、そして探偵メグレが試みる顔の回復―。文学・小説が語る「顔の不在」の表象と、それを読んだときに感じる私たちの不安の源泉を丁寧にすくい取り、他者との共在の困難と他者と出会い直すことの可能性を描き出す文学批評。

目次 : 序章 顔をなくした者たちの物語/ 第1章 顔の剥奪―探偵小説と死者の表象/ 第2章 剥離する顔―村上春樹『国境の南、太陽の西』における「砂漠の生」の相貌/ 第3章 異邦の顔―多和田葉子「ペルソナ」における他者の現れ(なさ)/ 第4章 引き裂かれた顔の記憶―林京子「道」における死者の現れ/ 第5章 顔の回復―他者の現れを待ち続ける探偵としてのメグレ

【著者紹介】
鈴木智之 : 1962年、東京都生まれ。法政大学社会学部教授。専攻は理論社会学、文化社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • らぱん さん

    顔は個体の識別の材料以上の意味があり、言い切ってしまえば「顔は人なり」が前提での話である。その上で、顔がないとはどういう意味を持ち、どんな影響を及ぼすのか。その切り口で個別の文学を評論している。現実ではコミュニケーションにおいて顔以外からも情報を受信発信している。それに比べれば、物語では情報はこちらからの取捨選択が出来ず、顔の存在は現実よりも重い意味を持つだろう。視点として面白いと思えたところはあったが、驚くような示唆はなかった。

  • 田中峰和 さん

    顔の剥奪とは何か、一つは探偵小説における首なし死体と毀損された顔、もう一つは表情のない顔。前者は人類が最初に体験した大量殺戮戦争である第一次大戦によって生じた膨大な屍の山を象徴し、ポオの作品などに影響を与えている。後者の表情については、多和田葉子の「ペルソナ」の解釈が興味深い。著者自身が体験なのか、ドイツで暮らす道子のデラシネ感が描かれる。東アジア人は無表情だから何を考えているかわからないというドイツ人の意見。韓国人と自分の容貌は違うという弟の発言にも違和感をもち、能面を被って街を歩く道子の姿が痛々しい。

  • らむだ さん

    探偵小説に描かれる顔のない死体。村上春樹・多和田葉子・林京子の小説に現れる『空虚な「顔」』、『異邦の「顔」』、『引き裂かれた「顔」』の表象を辿り、最後に探偵メグレの『顔の回復』の試みを示して閉じられる。 文学に登場する損なわれた顔から、他者との共在の困難と可能性を探った一冊。

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