柔らかい土をふんで、 河出文庫

金井美恵子

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784309409504
ISBN 10 : 4309409504
フォーマット
出版社
発行年月
2009年03月
日本
追加情報
:
15cm,276p

内容詳細

柔らかい土をふんで、あの人はやってきて、柔らかい肌に、ナイフが突き刺さる―逃げ去る女と裏切られた男の、狂おしい愛の物語。ジャン・ルノワールの映画『牝犬』、それをリメイクしたフリッツ・ラングの『スカーレット・ストリート』をはじめ、さまざまな物語と記憶の引用が織りなす至福のエクリチュール。巻末に解題著者インタビューを掲載。

【著者紹介】
金井美恵子 : 1947年、群馬県生まれ。67年、「愛の生活」が第3回太宰治賞次席となり小説家デビュー。同年、第8回現代詩手帖賞受賞。小説に『岸辺のない海』、『プラトン的恋愛』(第7回(79年)泉鏡花文学賞)、『文章教室』、『タマや』(第27回(88年)女流文学賞)など、著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • ヴェネツィア さん

    難解な小説である。連想のままに連綿と切れ目なく語られる文体は、この作品に限ったことではなく、いわば金井美恵子の特質であるから、難解さや感情移入の困難さはそのせいではない。ここには表層だけが提示されており、そこにまた新たな表層が半ばは覆いかぶさるように重ねられていく。そして、全体を支える構造がきわめて見えにくいのだ。その上に、自転車に乗る娘のように、繰り返し現れるイメージもあり、時間感覚もまた解体されるのだ。読者は、ジャン・ルノワールを背後にもつ、金井美恵子の思惟と世界に幻惑されるしか術がないかのごとくだ。

  • zirou1984 さん

    その文章はさながら甘い蜜が持つ深い粘度、もしくは芳醇な囁きと共に漏れ出る長い吐息。それは言葉ー氾濫するイメージという表層としての言葉が持つ快楽を封じ込めようと、引き延ばそうと、到達寸前の悦びに留まろうとするかのように句点へと辿り着くことを拒絶する。何かを物語る小説ではなく、言葉に言葉を重ねていくことで絵画のように印象を塗り重ねていく。それは理解の埒外にあるはずなのに、不思議と魅惑されてしまうのを抑えられない。後書きにある通り、居心地の悪さがふとした瞬間に官能と幸福感に変わってしまうというのが腑に落ちる。

  • なる さん

    著者はこの作品を円環ではないと言う。ところどころにデジャヴを思い起こさせるパーツを散りばめ、読み手を幻惑させる。初めての読書体験にとても戸惑い、どう読み解いて行くのか戸惑った。これは詩のように読めばいいかもしれない、と確信して五感を駆使するその表現力を味わうスタンスで読んで行くと、「外套と短剣」辺りからストーリー性が姿を表してくる。難解な作品で読む人を選ぶのは間違いない。とにかく語彙が特徴的だけれど、メッキのような表面上の単語ではなくて、奥底にある深みに震撼する。多分この人しか描けない世界。到達している。

  • ちぇけら さん

    反復、言葉や情景や感情はなんどでも書き直され、語り直され、撮り直され、灼き直され、そうして反復されたものたちは表面が薄い涙の膜で潤んだ裸の眼球に喰い込み、フラッシュ、瞬く閃光とでも言おうか、光が散って、鈍器で殴られたときに生じる脳震盪のような、脳漿が一瞬揺らぐような、記憶の貯蔵庫が波立つような、鋭く、しかしそれでいて鈍い感覚に私は襲われ、なんども執拗に繰り返し描写される想念、色彩、匂い、それらが私を未開発の性感帯を愛撫されたときのように震え上がらせ、口から獣めいた匂いが立ち上るほどに官能的な不安に陥れる。

  • マッピー さん

    帯には『官能的長編小説』と書いてあった。目次はなく、いくつかの章に別れているが、それらの章はいくつもの出版社のそれぞれの雑誌に何年かにわたって発表されている。え?じゃあ短篇集なのでは?極端に句点が少なく、長々と続く文章。気を抜くと、主語がわからなくなる。5ページおきに読んでも感覚的には変わらないのかもしれない。湿った空気に感じるのは汗や血や吐しゃ物…つまり有機物。これが官能ってことなのだろうか。わからない。私の苦手な恋愛小説×私の苦手なフランス映画=理解不能

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金井美恵子

1947年、群馬県高崎市生まれ。67年、「愛の生活」でデビュー、現代詩手帖賞受賞。79年、『プラトン的恋愛』で泉鏡花文学賞、88年、『タマや』で女流文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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